日別アーカイブ: 2011/5/18 水曜日

石巻での日記4日目 また来たいと思った日

夜中、何度か目を覚ました。バタバタと近くのブルーシートがうるさい。風がモノスゴイのだ。山の稜線でガンカン吹いた時みたいだ。自分たちのテントはペグをしっかり打ってあって特に問題はなかった。

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朝になっても風はいっこうにやまなかった。今日の天気はくもり、ずっと風が吹いている。ストレッチをして朝飯を食べた。

今日の作業をしたら、東京へ戻る。そこで、テントを片付けて、作業へ向かうことにした。石巻駅から仙台へのバスの時間を考えると、作業から戻ってテントを片付ける時間がなさそうだったのだ。

荷物をすべてバックパックに詰め込んで、作業へと向かう。今日は廣済寺の墓地掃除だ。すでに2,3回ボランティアが入っているようで、墓地の通路のヘドロは除去されていた。
ただ、個別のお墓に積もったヘドロは残ったままだった。我々はここを掃除する。

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我々のチームは完全に、通路のヘドロ除去だと思い込んでスコップなどの準備をしてきた。個別のお墓を掃除するには大きすぎる道具だ。そこで、俺が小さなスコップやほうき、ちりとりなどを取りに帰った。

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今日のリーダーは携帯電話が使える&石巻でのボランティア経験があるという理由から石巻の大学に通う青年。おっとりとした優しそうな青年だ。ただ、自分で判断してチームを導いていくという経験があまり無かったみたいだった。

サポートしつつ、でもあまりでしゃばり過ぎてもいけない。そのさじ加減を考えながら接した。ビジネスに限らず、こうして人を育てていくというのはなかなか難しい。特に即席で集まったチーム、かつ1日限りの場所で。そんなこと考えつつ、現場作業ではただ大きい声をだせるというのも大きな能力だなと実感した。多少方向性がイマイチでも、ぼそぼそと正しいことをいうよりも、大きい声で言った事のほうが伝わるし、みんなの結束も高まる気がした。

そんな、グダグダした話はさておき、風がむちゃんこ強く、乾いたヘドロが砂ぼこりで舞った。細かい砂が眼や鼻、口から容赦なく入ってくる。だから、ゴーグルはマスト。もちろんマスクも2重、3重だ。

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昼休みになり、休憩。隣に避難所があったので、避難所をのぞいた。昼飯はクラムチャウダーに生卵なども出ていた。この避難所は生鮮食品も届いているようだった。

そして、色々な思いが巡った。現場を見て感じたことは、何が起ころうと、どんな状態になろうと、人間は日々を生きようとするし、生きていくしか道はない。ただ、ただそう思った。夢も、希望もなく、悲しみ、怒りしかなくても、ただこの一瞬を重ね上げて行くしかない。

午後からも、乾いたヘドロを掃除する。個人のお墓なので傷をつけないように、失礼のないようにと慎重に作業した。細かい作業なんで小さなスコップが活躍した。

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大きなお寺で最後までは作業ができなかったが、4時が近づいたので今日のお寺の墓地掃除は終了。帰り道は少し渋滞した。

石巻専修大学に戻り、スコップなど洗い着替えてタクシーで石巻駅へ。17時のバスで仙台駅へ戻った。バスの車窓から見た、夕焼け空が美しかった。

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この4日間のボランティア活動した日々を回想した。様々な経験をしてきたが、今回もとてもいい経験だった。自分にとって良い経験というと、非常に自分勝手に映ってしまうかもしれないが、失礼ながらそうだった。もちろん、被災された方のために少しでもお役に立てればと思い、活動したのは紛れもない事実だ。一方で、自己満足的な要素も大きかったのも事実だ。

俺の中の行動する源泉として、自分が知らないことを知りたいという気持ちが強い。やっぱり現場を見たり経験したい。もちろん一人の人が何から何まで経験できないけど、聞いた話で語ることはいくらでもできるし、そんな人にはなりたくない。効率悪くても、地味でも自分で考え、行動して物事は語りたい。そりゃ、経験しても全ては見れないけど、やっぱ違うと思う。俺は行動したいし、行動した人を信じる。

こんな風に書くと堅苦しいが、せっかくやるなら、何でも楽しくやりたい性格だ。現地で迷惑をできるだけかけないで、お役に立つのはもちろんのこと、同じアウトプットなら楽しまなきゃ損だ。そんな風に考えるから、瓦礫撤去などの作業はトレーニングだと捉えていた。マラソンやトライアスロンも肉体を使うんだけど、せっかく使うなそのエネルギーが価値をみいだす方がいい。役に立てればトレーニングと兼ねて一石二鳥。

さらに、普段のランやスイムでは鍛えれない、腕と背筋が鍛えられる。なんとも素敵な時間。そんな風にしていると、昼間はトレーニングになるし、役に立てて心も充足する。テントサイトに戻れば、友達とキャンプ気分で夕食を作り、夕日を眺め、星空を眺めて、ちょっとお酒を飲みながら話しをする。

こんなことをしていると、また来たいなと思えてくる。被災地でのボランティアはある意味で常習性がある。特に肉体労働を伴うと、トレーニングにもなるし行きたい。もっといえば、東北に行って作業=運動してこようぐらいの気持ちだ。

そんなことを考えていると、友達からメールが来た。その友達は東京に住んでいるのだが、旦那さんの実家が仙台ということで、GWを使って夫婦で東北を巡っていた。仙台にいるならメシを食おうと誘われ、もちろん即答。旅人だけあって、いろいろなところで会うな~。

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仙台駅近くで、シャワーだけ浴びて、仙台牛のうまい店へ。集合よりも少し早かったので、となりのオシャレーな立ち飲み屋で友達と二人で、乾杯。その後、ビストロFlat平という店で、みんなで乾杯。

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仙台で働いている、友達の友達も着ており、震災当日の話や現在の避難所の話、ボランティアの話などをした。みんな、真面目な気持ちを持ちつつ、とても陽気な仲間なので、とても面白い時間を過ごせた。あっという間にバスの時間になってしまい、階段を駆け登って、夜行バスへと向かった。こうしてGW前半の石巻での日々は幕を閉じた。