日別アーカイブ: 2011/5/11 水曜日

石巻での日記 2日目 組織について考えた日

2日目の朝がやってきた。夜寝るのが早いので、5時過ぎに起きて朝食を済ませてゆっくりしてもまだ7時30分。ゆっくり寝たからすがすがしい。夜はかなり冷えたが、山で使っているシュラフとエアマット&銀マットで寒さに振るえることはない。空を見上げれば快晴。

自分の使う水はまかなえるだけの水を持って来たが、ボラセンにも仮設トイレがあり、使えるお水もあったのでとても助かった。何をするにも水は本当に大切だ。水があるから、飯、トイレ、手荒いなどができる。

送信者 記録

今日は大街道南というところで庭のヘドロだし。かなり広い庭かつ近くに米の倉庫があったらしく、大量の米が流れ着いていた。米がカビて腐敗してすごいニオイだった。お酒の発酵した匂い、腐った匂い、何にもかもが混ざった感じで、ヘドロよりも強い匂いだった。マスクは2重にして作業をした。

送信者 記録

今日のチームは全員男だが体力ない人が多いのと同じ作業で腰にきて、モチベーションを保つのが大変だった。屋内の荷物の搬出なら、担いで、運んで、捨てるというプロセスがある。一方で庭のヘドロかきのみだと、スコップでヘドロをかくだけである。腰にくる。

今日は二日目ということもあり、かつチームの結束もあまり良いとは言えなかったので、いろいろと思う所があった。まあ、朝初めて出会ってチームになり作業をするのだから、日によって差があっても当然だ。しかし、今回のような比較的単純な作業をするだけでも、これだけの違いがでるのかと驚いた。単純作業でない仕事をする組織であれば、チームの状態がアウトプットにどれほど大きな影響を及ぼすのかということを改めて気づかされた。

そして、思いの強さで思いつくで解決策の選択肢も圧倒的に違うことにも驚いた。執着心、当事者意識、何としてでもやろうと言う気持があれば、必死で考え知恵を絞り、周りに聞き、解決策の糸口を見つけ出す。当たり前だけれど、その思いと言うものは人間の思考そしてアウトプットを大きく左右するという事実も目の当たりにした。これも当たり前だけれど、今回のような単純作業、かつ即席の組織だと顕著に現れる。

日々の仕事がルーチン化してしまったり、マンネリ化した時は、一回極端に振った状態を作り出したり、そうした思考で考え直してみると、気づかなかった問題や良いことに気づくことを再認識した。

今日おなじ作業をした方を批判している訳ではない。人それぞれ体力も違うし、無理をして怪我をしても意味がない。あくまでボランティアだから動機もやる気、能力、体力、価値観も様々なのだから。ただ、ボランティアで同じ作業をするとなった時に明らかにパフォーマンスが違ったり、手を動かさず口ばかりの人も出てくる。金銭的報酬や何らかのリワードがない環境で頑張って結果を出した人をどのように報い、そしてその人自身でも納得するかはボランティアが長期戦になると、よりいっそう仕組みとして大切になると思う。企業の様に金銭で報いる組織ではない、ボランティア組織においてチーム運営が難しいことに気づき、その組織や仕組みのより良い継続するあり方に興味を持った。

送信者 記録

そんなことを考え、小雨まじりの中作業を続けた。僕も2日目で腰が張っていたり、正直な所モチベーションも高い所で保つのが難しく1日目よりも動きが悪かった。ヘドロをかきだし、一輪車にヘドロをのせて、近くのゴミ集積場まで運んだ。パワーショベルがきて、家の前や集積場にあるヘドロを一気に持って行ってくれた。

終了時間が迫り最後まで作業できないことが分かると、優先順位の高い米の除去をメインに行った。放置すればさらにカビがひどく、発酵が進む。匂いがどんどんきつくなる。家の方も、雨の日は近寄れないとおっしゃっていた。

送信者 記録

さらに、震災直後の話しも伺った。ご主人が外にいて、地震の2,3日後に水位が1メートルぐらいになったので、家に家族を助けに来たと言う。しかし、家の中に入っても家族はいない。どうしたんだ!?と思ったら、助けに来た少し前に自衛隊のヘリコプターで救助されたとのことだった。ただ、どこの避難所にいるか分からず、探しまわったと言う。地震後の2,3日は食料があり問題なかったとのことだった。ちょうど家族は買い物の帰りで、食料はあり2階に逃げて無事だったらしい。

そんな話しを聞きながら、長靴の汚れを落とさせてもらった。ある程度キレイになり、石巻専修大学へと戻った。長靴で作業をして足が蒸れるが風呂にはもちろん入れない。そこで消臭スプレーとウェットティッシュで足の指と脇など拭いた。これで、かなりすっきりして気分が良くなった。今日は夕日が見えない。

軽くスープを作って飲んだ後は、ボランティア向けの炊き出しがあったので、ならびに行った。メニューは麺にトマトベースの野菜スープがかかっていた。あと野菜サラダも。炊き出しで前にいたおっちゃんと仲良くなりテントに呼ばれごはんとお酒を少しいただいた。神奈川の海の団体でいろんな方がいらっしゃった。40歳ほど年上の方と真剣に話したのは久しぶりだった。政治のこと、ツイッターのことなど。世代経験の違いによる価値感のちがいもあり、議論が面白かった。その後、夜遅かったけど友達と話した。今日はいろいろと考えることがあったので、友達と語り合ってよかった。話すって大切だなと実感した。

夜シュラフにもぐり、今日のコトを振り返った。まず、距離が大切だということ。目の前で感じること、伝聞、マスメディアを通して知ること。全ての間には大きな差がある。今日感じ、考えたことも実際にこの場に来なければ分からなかったことばかりだった。目の前にある全てに反応する五感かの動き。それが感じられる日々に感謝した。そして、団体・組織の力。群れとか団体はあんまり好きじゃないけど、それでしか発揮できないことがあるのも事実。個人ではできないことをやってくれる組織にには何も言えない。テントサイト、トイレ、水、作業に使う資材一式などを用意して頂き、作業をアレンジしてくださる組織にはただただ感謝。明日も精一杯やろう。おやすみ。