日別アーカイブ: 2011/9/19 月曜日

【PNG紀行2】日常から非日常の扉をあける日

前回の旅日記はこちら【PNG紀行1】未知の国パプアニューギニアへと舵を切る

パプアニューギニア(PNGorパプア)へは成田空港から週に2便(水と土)に直行便が飛んでいる。※2011年9月現在では土曜日の週1便になっている。
自分の夏休みがちょうど水曜日から翌週の日曜までだったので、ほぼフルで休みを活用できてラッキーだった。

チケットを取ろうとしたら夏休みのピーク期間ということもあり、最初は復路の空席がなかったがキャンセル待ちで取ることができた。

出発は夜便だった。昼間は足りないものを買いに行ったり、ゆっくりと過ごした。そして、治安も悪いと聞いていたので、出来る限り荷物を少なくするように何度も荷物を詰めては出してを繰り返した。ただ、荷物が少なければ良いというわけでもない。現地で楽しむために、必要なものもある。特に今回は現地の状況が詳しくわかっていなかった。移動手段がどれだけ発達しているのかが一番不明。そこで、到着してからどこへ行けるか、何をして楽しめるかが分からない。海へ潜る、山へ登る、川を探検する。どれでも楽しむ装備を最低限持っていくことにした。

夜便で時間があったので、京成線でゆっくりと向かうことにした。電車の中でやることもなく、パプアについて思いを巡らす。この国に関しては事前情報がとても少なく、わくわくしながら成田へと向かった。成田ではチェックインをして、暇つぶし。

飛行機に搭乗すると、あまりにも空席が多くて驚いた。復路はキャンセル待ちだというのに往路は3割ぐらいしか埋まっていない。それも8月10日という出国ピークを迎える日なのに。パプア恐るべし。まあ、ゆっくりと過ごせるので、空いているにこしたことはない。ただ、パプアを旅する人はやはり少ないんだという少しの不安を抱えつつ、機内食を楽しみ、パプアのSPビールICEを飲む。そして、熟睡。

送信者 パプアニューギニア2011

あっという間に、着陸態勢だ。なんと日本からパプアまでのフライト時間はたったの6時間30分。こんなにもすぐに到着してしまう。10時間以上も走ったりトライアスロンしたりする習慣がついているので、何もしなくてよくて、さらに6時間30分なんて本当に短い時間に感じてしまう。

時差もたったの1時間。なんだかまだ日本にいるんじゃないかっていう感覚だった。ビザも日本でとってあったし、すんなりと入国。空港で日本円とドルから現地通貨キナに両替。街中に出ると両替がメンドクサイとのことだったので、多めにキナに替えることにした。しかし、ここで油断した。ドルを交換するときに、厳密にいくらを渡したかを度忘れしてしまった。両替の受付の人が言った額よりも100ドル多く渡した気がしたのだが、曖昧だ。俺の目の前で数えてくれたがやはり彼女が正しい。ああ、ドルを渡した直後に財布をしまって下を見る時間があった、その間に100ドルを隠されたのかもしれない。でも、俺が疑っているだけで、彼女はなにもしていないかもしれない。もう、どうしようもないので、言われた額を受け取った。着いてそうそう、日本の感覚を引きずってしまい最初の洗礼を浴びることになった。気をつけよう。

一緒に飛行機に乗ってきた客の半分は国際線に乗り継ぎでオーストラリアなどに飛んでいった。パプアで出国した残りの半分も大半が迎えの人が来ていてポートモレスビー市内へと向かっていった。俺は首都のポートモレスビーからすぐに国内線に乗り継いで、マウントハーゲンへ行くチケットを買っていた。国際線ターミナルから国内線に移動する。到着時間が早朝でまだ外は暗い。国内線ターミナルへは外を歩いていかなければならなかった。未知の国に降り立ったドキドキを胸に、国内線方面に。

国境や空港はまだ感覚をつかめていない旅行者を狙った人で溢れている。このパプアにおいては空港を出てもワサワサ人が溢れていることはなかった。逆に人がまばらで怖いほど。少し歩くと、若い兄ちゃん二人がいた。いかにも怪しい。用事もないのに、ぶらぶらして獲物を探している目。俺がかなり警戒しながら早足で彼らの前を通り抜ける。案の定、後ろを振り返るとついてくる。徐々に間を詰めてくる。ああ、きましたね。

何度も後ろを振り返り警戒しながら、いつでも走り出せる準備をして、逃げ込める場所を常に探して、歩いて行く。しばらくすると、あまりにも警戒しているので、諦めたようだった。無事に国内線ターミナルに移動して、チェックイン。といきたいところだったが、まだまだ早すぎた。出発まで4時間弱。ポートモレスビー市内へ行き遊ぶ時間はないが、空港で待つには長すぎる。

2時間前からチェックインだというので、空港スタッフの人と談笑しながら暇つぶし。俺が持っているものを何かくれとひたすら言ってくる。たまに、こういった性格の人が多い国に行くが、ここもそんな国の一つなんだと、現地の人とコミュニケーションをしていくとだんだんと感覚がつかめてくる。

さて、チェックインをして待合室へ。とても小さな国内線の待合室だった。売店が1つあり、値段を見るとコーラが150円だか200円だかして、テンションダダ下がり。高い高い。高すぎる。本当に食べ物も宿も交通手段も日本と変わらない物価。まあ、何も買わず飛行機でもらった水とジュースで暇つぶし。日本人の旅人が一人いたので、今回の旅行予定について情報交換をした。

送信者 パプアニューギニア2011

9時前になり搭乗。60人乗りぐらいの飛行機はほぼ満席で驚いた。窓際に座り空からパプアの大地をじっくりと眺める。噂通りのジャングルと川。道路は本当に見当たらない。ああ、首都のすぐ近くでこんな風景が広がるのかと少し驚きつつ。この国が抱く自然の豊かさに感嘆した。

送信者 パプアニューギニア2011

わずか1時間弱でマウントハーゲンに到着した。降り立った空港は非常に簡素であったが、滑走路はアスファルトだった。滑走路の横にプレハブ小屋がひとつあり、そこが入り口兼出口。小屋の横のフェンスには地元の人がかぶりついて飛行機や降りてくる人を見ていた。もちろん彼らは飛行機に乗る予定はなく、暇だから1日2度ぐらい着陸する飛行機を見に来ているだけなのだ。

送信者 パプアニューギニア2011

小屋の中は到着した人と迎えの人手で溢れかえっている。おお、異国にきたという気持ちが盛り上がる。日本からpaiya tourのPym(ピム)とやり取りをしていた。初日の宿だけ頼んでいたのだ。現地につくとPym(ピム)がいて、話すとああ、そうだっけ。と。予約した宿はいっぱいでもう泊まれないから別の所を紹介するよ、と。キタねー。キタねー。このいい加減さと怪しさ。まあ、どうしようもないし他の旅行者もピムに頼んでいる人がいた。市街地まで距離もありそうなのに、バスもタクシーも空港にはなかったので、ピムに車に乗せてもらうことにした。

ただ、ピムともう一人のパプア人の二人に対して車には俺ともう1人の旅行者。何かあったら負けるなという心理になる。旅先で致し方なくこういった状況になると常に、いかに逃げるかを考え、その逃げ道を確保しておく。車の窓ガラスを少し開けておいたり、車のロックを開けておくなど。

送信者 パプアニューギニア2011

パプア第3の都市の空港なのにバスもタクシーもないという状況に驚きつつ、車は出発。もちろん、空港を出ても土の道だし、建物もほとんどない。あるといえば、藪(ブッシュ)の中に木とココナッツの葉で付くたあばら屋が見え隠れするのみ。そう、この国に来て信号をひとつも見なかった。

送信者 パプアニューギニア2011

降り立ってすぐに、そんなパプアの風景を目の当たりにして少し驚きつつ、マウントハーゲンの市街地へと。市街地はとても小さく500メートル四方ぐらいしかない街だった。第3の都市と聞いていたので、この町のサイズにびっくり。町には飲食店、商店、スーパー、雑貨屋、銀行がいくつかあるぐらいだった。車が止まったのはルザランゲストハウスというところ。ゲストハウスなのに、2メートル以上はある鉄板の塀があり、大きなナイフを持った門番がいた。いやー、こんなゲストハウスにも門番がいるとは驚き。それに、こんなにも高い塀があることに威圧感を感じると共に、やはり治安が悪いのかなという危機感が宿る。

送信者 パプアニューギニア2011

宿にはフランス人の旅行者とパプアの他の地域の旅行者などが泊まっていた。フランス人はよい宿だよと教えてくれた。こんな言葉を聞くとすこしほっとする。とりあえずこの宿でOKだとピムに伝え、明日以降のハーゲンショーについて聞いた。

すると、paiya village(パイワ村)の祭りが明日にあり、明後日明明後日にハーゲンショーだという。この国ではタクシーが通ってないし電車ももちろんないし、何かとアクセスが不便なので祭りまでのバスをお願いすることにした。

部屋はとてもシンプルながら、清潔でシャワーとトイレがついていた。1泊食事なし50キナ(2000円)。この国では一番安いクラスの宿だ。一番安くてこの設備と清潔さなら快適だなーと思いながら、着替えた。

さて、祭りは明日からだしやることがないぞ!食事なしの宿だし、飯を買いに行くついでに町でも探検するかと、いつものパターン。でも、治安がかなり悪いということで宿の人にも気をつけるように言われた。泊まっていたフランス人は個人では外に出ないと言っていた。まずは、出てみないと分からないので、襲われてもいいように準備。カメラはかばんにしまい、走って逃げやすいように靴に履き替え、お金も宿に半分置いた。宿もまだ信じれないので、自分が半分持って宿に半分置くのがベター。

俺の背よりもはるかに高い門をあけて、外をチラチラ覗く。暇そうな男の人がたくさんたむろしているが、そこまで危険な香りはしない。ただ、肌が黒く、みんな筋肉ムキムキ。見た目が怖いのだ。

外出目的は昼食、そして水の購入と町の雰囲気をつかむこととした。背後や自分の持物を意識して歩く。近くにある商店を目指す。パプアの人は「ハブヌーン」と挨拶してきたり、笑って絡んできたりやさしそうな雰囲気。ただ、2割ぐらいの人はおれのポケットをひたすらジロジロ見てくる。お金を狙っているのかただ見ているだけなのか。気になりながら、いくつかの商店やスーパーを物色。2リットルの大きなペットボトルやパンを購入。

送信者 パプアニューギニア2011
送信者 パプアニューギニア2011

そして、KAIBAR(カイバー)と呼ばれる食堂みたいなところで、食事をとった。ライスに鳥肉のシチューをかけたもの。味付けは濃い感じだったが、うまかった。ボリュームもあり満足。ジュースをつけて15キナ程度(600円)。お腹も満たされて宿に戻る。ほんの少しだが、町を歩くと感覚がつかめる。人々のキャラ、売っているもの、生活スタイルなどなど。

送信者 パプアニューギニア2011

部屋に戻って、疲れや睡眠不足もあるので昼寝。目が覚めて、暗くなる前にまた、外へ出ることに。次は夕食と翌日の朝食、そしてもう少し町を探検すること。

送信者 パプアニューギニア2011

建物がたつエリアを少し離れ、もう少し貧しそうなゾーンへ。この通りは露天がたくさん出ており、人もかなり多く賑わっていた。イメージで言えば、新市街地と旧市街地の旧市街地にあたる。まあ、この町にそんなたいそうなものはないので、貧しくて治安のよくなさそうなエリアというのがわかりやすい。でも、人間味や生活感が溢れていて面白そう。そんなエリア。
歩くと外人が来ることはほぼないためか、無邪気にからんでくる。話しかけてくるし、笑いかけてくる、モノを買えと言ってくる、写真を撮ってといってくる。そして、みんなが取り囲んで、俺の周りに200人以上が群がった。まだ、この国に慣れていないのに、この状況はマズイなと感じた。別にすぐに襲われる感じはしなかったが、感覚をつかんでいないから。何かあったら逃げれない。仲良くなるきっかけではあったが、足早にこのエリアを後にした。

町のエリアまで歩いていくと彼らはついてこなかった。やはり、こんなに近い場所でも住んでいる人の層がハッキリと違い、その間では行き来がないんだなと実感した。

送信者 パプアニューギニア2011

町で一番立派なスーパーへ。パンとピーナツバターを購入。ピーナッツがパプアでとれるのでいちごジャムとかと比べると半値以下でかえるのだ。ただ、甘さは超控えめだった。あとは、非常食用にクッキーを2袋買う。夕食は何にしようかと考えるが、あまりバリエーションはない。昼と同じようにカイバーで豚肉の煮込みとライス。そして、味のついてない揚げパン。沖縄のサーターアンダギーみたいなものを購入。

送信者 パプアニューギニア2011

宿に戻るときには町からかなり人が減っていた。乗合バスに乗って、家に帰るとこだった。藪の中にある家に戻っていくのだ。それにしても、何も用事がないのに人としゃべりに毎日毎日、町に来るんなんて。

宿に戻って、夕食。お腹も満たされて、熟睡。星空が見えるかと思ったら、雲が出てきてさらに大雨になった。毎日毎日夕方から明け方に駆けて大雨が降るという気候なんだと、この国の気候がわかり、それに合わせた行動もとれるようになる。さて、明日は祭りだ。祭りだ。

旅日記の続きはこちら 【PNG紀行3】祭りの始まり