【PNG紀行3】祭りの始まり

前回の旅日記はこちら【PNG紀行2】日常から非日常の扉をあける日

朝起きて、買っておいたパンを食べる。パサパサとしたパンだが噛んでいるとほんのり小麦の香りを感じる。ピーナッツクリームを塗るけれど、このクリームも水分が少ないのか伸びない。砂糖もかなり少なめで甘くない。まあ、そんな朝ごはんを食べる。ほぼ毎日こんな朝食を続けた。

今日はパプアニューギニアに来て1つ目の祭りに行く。泊まっているマウントハーゲンから1時間程度バスで移動したところにあるパイワ村(paiya)で年に1度行われる祭りだ。明日から見る予定のマウントハーゲンショーと比べると規模が非常に小さい村の祭り。この祭りはパイワ村にある小さな広場で行われる。

まずはゲストハウスからバスでパイワ村へと向かう。同じゲストハウスに宿泊している何人かの外人観光客と一緒に移動。すぐに町を抜けて進んでいく。たまに、青空マーケットがある。そこには多くの人が集まり賑やかだ。

送信者 パプアニューギニア2011
送信者 パプアニューギニア2011

マウントハーゲンは名前の通り山岳エリアだ。パイワ村へ行くときも山の間をグングンと進み、さらに高度を上げていく。バスは大きな唸り声を上げて頑張って登る。メインの道路はアスファルトに舗装されているが、アスファルトが波打っていたり、削れている部分も多く、ジャンピングバス。車窓からは滝や川が流れていたり、美しい山々が続いていた。たまにココナッツん葉で作られた家が点在していて、その横には畑があり野菜を育てている風景を目にした。本当に自然の中で自給自足をしている人が多く、かつ1家族だけなど少人数で生活している人が目についた。

送信者 パプアニューギニア2011
送信者 パプアニューギニア2011

1時間ほど行き、脇道にそれてとても細く土の急登を登り始める。凸凹でバスは右に傾き左に傾きゆっくりと登っていく。隣は崖なので、落ちないでくれよと祈るのみ。しばらくして到着するとパイワ村ではなく、1軒のロッジがあった。ちょっと高そうな雰囲気で眺めも良い場所にあったのだが、ここで誰かが乗車するわけでもなく、何か荷物を預かるわけでもなかった。俺も降りて近くを歩いて散歩した。

また急な坂道をドキドキしながら下り、パイワ村へと向かう。メイン道路からは村があるかどうか分からなかったが、バスが道をそれて進んでいく。土のでこぼこ道を。すると、家が数軒たっていた。おそらくだが、800も部族がいて、対立も多かったという。メインの道路からは分かりづらいところに集落を作り生活していたことが予想される。

送信者 パプアニューギニア2011

バスを降りて村の中に入っていく。この建物は儀式の準備をする建物、ここは生活する家、これは豚小屋などと教えてくれた。この村は建物が10棟ぐらいある小さな村で、家の前のスペースではすでに祭りのために準備が始まっていた。村の男や女が鳥の羽や木々の葉を身にまとい、木の実などで赤や黄色に化粧をしていた。香水のように匂いをつけたり、テカリを良くするために油を吹きかけたりもしていた。淡々と準備を進めながらも、彼らは自慢気に衣装や飾りを見せてくれた。彼らと話していると顔にペイントをしてくれた。赤や黄色に。樹の枝を細かく割いて作った刷毛のようなもので、ぬられていく。ヒンヤリこそばゆい。木の実などを原料とした顔料だが、とても鮮やかで鏡でみたら笑えてきた。けれど、現地の部族たちには成りきれなかった。。。

送信者 パプアニューギニア2011

近くの村からいくつかの部族が来ており、それぞれの衣装や化粧、飾りの準備をし始めていた。中には子どもも参加する部族もあり、とても可愛らしかった。ドレスアップが終わると、歌やダンスの練習を始めた。太鼓を叩いたり、ジャンプしたり、歌ったり、踊ったり。こういった部族の踊りを総称してシンシンと呼ぶ。シンシンは英語のsingが訛ったものとされていて、結婚式やお客さんが来た際などに行われるお祭りのようなもの。

送信者 パプアニューギニア2011

どの部族もだいたい10名前後でシンシンを行っていたが、パプアにいる800の部族がそれぞれのスタイルのシンシンを持っており、その800の部族の中でも厳密にはさらにシンシンが細分化されているという。同じハイランド地方(山の地方)とはいえ、身にまとうものや歌、踊りが全然異なる部族もいた。その土地で取れるものを使用して身につけるといった点では似ているのだが、部族の身体的特長も影響しているという。背が小さくて普通だと戦いに負けてしまうので、体を灰色に塗ってお面をかぶり、さらにゆっくりとノシノシ歩くだけ。そんな風に不気味さを出して、敵が逃げていくことを狙ったりと様々。さらに、現代では銃を模した木を持っていたり、戦争時期の名残か日本国旗のようなデザインがあったりと近代の影響も受けているようだった。

送信者 パプアニューギニア2011

広場には村の人や近くから見に来た現地の人達、そして観光客が円を描くように座っていた。各部族が順番に広場に入ってきて、それぞれのシンシンを披露する。ひと通り部族がシンシンを終えて休憩時間。いろんな部族の方たちと話をする。まずは、アサロ渓谷に住むマッドマンと呼ばれる部族のお面をかぶらせてもらった。かなり重たく、首で支えるだけでも一苦労。さらに、太鼓を叩かせてもらったり、踊ったり。

送信者 パプアニューギニア2011

ハデハデなフリ族の方とも話す。やはりフリ族は目立っていた。がっしりとした胸板。赤褐色の肌。頭には大きなカツラ。腰には葉っぱをまとい、真っ黄色にぬられた顔。栄えるのだ。彼らは2列に向き合って並んでジャンプしながら太鼓を叩いてシンシンを行う。一緒に写真を撮ってもらおうと思い、せっかくなら俺も裸にならなきゃいかん。そこで、お互い裸ででパシャリ。

送信者 パプアニューギニア2011

ウェストハイランド州のクナイ族。顔の化粧は黄色、黒、白、赤など派手で、青色で長いエプロンのような物をしている。彼らは男たちだけで横一列に並び、膝を曲げてリズムを取り、「ウォーウォ、ウォーウォ」と歌った。

送信者 パプアニューギニア2011

シンブー州のオモ族は体全身を真っ黒に塗り、白く骨を描いていた。まるで骸骨のように。かなり見た目的にインパクトがある部族。マッドマン同様に、ヨロヨロと歩いているだけのシンシン。

送信者 パプアニューギニア2011

SILI MULI(シリムリ)という部族は、女性だけで頭に苔のカツラをかぶって、「シリムリ~何とか~♪」と歌って踊った。

送信者 パプアニューギニア2011

いろいろなシンシンを楽しんだ後に昼飯を食べる。カウカウというさつまいもを頂いた。これがウマイ。地面を掘って、カウカウを入れて下から火を炊いて葉っぱで覆う。そんな蒸し焼きみたいな芋。さつまいもの甘さがウマイんだ。パプアで食べた中で一番カウカウが美味かったんじゃないかというほど。

送信者 パプアニューギニア2011

休憩の後に、部族同士の戦いのパフォーマンスが行われた。土地の所有を巡って部族同士の争いが始まった。住むにしろ、野菜を育てるにしろ、狩猟をするにしろ、ベースは土地にある。土地があるから人間が生き延びられる。だから、取り合いの争いが生まれる。そして二つの部族が争って、負傷者を出して負けた方が引き下がっていった。

送信者 パプアニューギニア2011

最後に結婚式。日本の結納みたいに男の一族と女の一族が向かい合って座る。男の家計から女の家系に豚、ヤギ、そしてバナナや野菜が贈られた。そして、両家の主人がそれぞれ大きな声で宣誓のようなことをして、女性が男性の家系側に座り直して嫁入りが完了した。

送信者 パプアニューギニア2011
送信者 パプアニューギニア2011

一連の儀式が終わり、お祭りも幕を閉じた。ちょうどそのタイミングで雨が降り出したので、バスに乗って宿へ戻った。やはり、この国は夕方になると雨が降り始めて、朝まで降ったり止んだりが続く。この気候によって行動パターンが規定されている気がした。

送信者 パプアニューギニア2011

宿に戻って、夕食を買いに行く。今日は魚にしようと白身魚のフライとカウカウの揚げ物にした。どちらも揚げ物はくどいが、魚自体は淡白でおいしいし、カウカウも程よい甘さがうまいのだ。腹もいっぱいになり、明日のマウントハーゲンショーに備えて水シャワーを浴びて寝た。夜はそこそこ冷え込むので長袖長ズボンに毛布をかぶって眠った。

2 thoughts on “【PNG紀行3】祭りの始まり

  1. teratownさん、こんばんは。

    teraちゃんは、シンシンにしても夕食の買い出しにしても、
    その土地や人に触れて、旅らしい旅をしているよね。
    ぼくはといえば、レストランのあるホテル泊。
    別に豪華ホテルじゃなかったのだけど、
    敷地のまわりには高い柵がはりめぐらされていて、
    少なくても夜は、安全地帯に隔離されている雰囲気だったよ。

    話は変わるけど、道端の市場に行ったとき、
    タバコを1本ずつ売っていたのにはびっくり。
    それとすごい美人が1人だけいたのもびっくり。

  2. momomo さん

    せっかく旅先に行ったら、できるだけ日常のその国を見たいなと思っています。
    レストランのあるホテルはかなり高級ですね。高級ホテルは外から覗いて終わりでした。

    タバコは1本でも売っていましたね。
    驚いたのは吸った残りの煙草も売っている人がいました。
    あれにはビックリ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です