舌が覚えていた記憶

舌が覚えている記憶がある。
舌が感じた味がトリガーになって思い出す記憶がある。

新橋と大門の間にある、ペルー料理屋の荒井商店に行った。
前から行きたかったが、やっと行けた。
そこで、セビッチェを食べた。
南米、特にペルーを旅しているときに何度か食べた。
セビッチェは魚介類をレモンで和えた、マリネのようなもの。

荒井商店でセビッチェを食べた瞬間に思い出した。
食べた瞬間に、あの時のこと。特にナスカで食べたセビッチェを思い出した。
この味だ。ああ、これだよ、これなんだよ。
セビッチェだ。あの時のセビッチェだ。
ラムコークをペルー人の若者と一緒に飲んだ時のセビッチェだ、と。
ナスカは内陸だから、新鮮な魚介類が手に入らない。
だからセビッチェはあまりメジャーではないが、食べた。
そのセビッチェの味、そしてあの時の空間、いたペルー人、話したこと。
全てが、現実であるかのように、蘇ってきた。

音楽を聞くと思い出す記憶がある。
においで、空気を肌に感じた感触で、思い出す記憶がある。

そういった、五感がトリガーとなり、思い出す記憶は妙に生々しさがある。
記憶とか脳をベースに思い出した記憶とは違う何かがある。

人間は無意識のうちに五感で記憶している。
そして、同じ感覚がやってきた時、記憶が今の出来事のように蘇る。

五感の記憶が蘇ることは、人生で最も幸せな瞬間のひとつ。
なぜなら昔の幸せな思い出と、今の楽しみが繋がるのだから。

そんな五感の記憶が好きだ。


(足あと@西表島 網取)

2 thoughts on “舌が覚えていた記憶

  1. 五感の記憶いいですよね。
    あの感覚がとても好きです。

    感じた瞬間に、蘇ってくるあの感覚がたまらないです。

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