日別アーカイブ: 2010/1/27 水曜日

あの目は何を見ていたのか

僕が乗っていた電車が、向かいの電車と同時に発車した。同じような速度で電車が並走し、向かいの電車はあたかも止まっているかのように見える。毎日電車に乗っていると、たまに遭遇する出来事だ。

向かいの電車に乗っていた人を何気なく見ていた。すると小さな男の子と母親が窓際に立っていた。お母さんは男の子に何かを話しているようだったが、その子は何かに取りつかれたようにこちらの電車を見つめていた。初めてこんな出来事に出会ったのだろうか。

まるでニュートンが落ちていくリンゴを見つめた時のように、目を見開いてこちらの電車を見つめていた。まっすぐに立ち、目を大きく開けて、窓越しに止まっているかのような電車を見続けていた。

そんな新たな発見を味わう少年の日々の生活。今までの概念を越えたことに出会い、驚き呆然とする。呆然としながらも必死で何が起こっているのかを理解しようとする。彼は止まったかのような電車に何を見ていたのだろうか。

送信者 ドロップ ボックス