伝説の友達

伝説の友達がいる。僕の中では伝説だ。しかし、2回しかあったことはない。もっと言えば初めて会った時は5分ぐらいしか話していない。ただ、それだけで彼が僕の中で伝説になった。

知らないから、僕の中で神格化しているんじゃないかと突っ込まれるかもしれない。しかし、違うと思う。

僕は連絡をとる必要がない限り人に連絡先を聞かない。しかし、このときは違った。自分から聞いた。それも5分だけしか話していないのに。

確かそれはインドとネパールの国境の町スノウリでのことだった。

自分から聞いたにもかかわらず、めんどくさがりやとコミュニケーション力のない俺はメールをしなかった。そして、それは思い出になりかけていた。出会ってから半年後の真冬。一通のメールが届いた。突然彼からメールが来たのだ。一人真冬の北海道を旅している最中で、無人駅で寒さに耐えながら寝ているときだった。

それがうれしかった。俺も彼に人格を認められているような気がして。それをきっかけに、彼に会うために福井まで遊びに行った。それは昨年の7月末だった。

そんな友達から昨日また突然メールが来た。今年の夏は1400キロ歩くと。お遍路さん。

同じ年代であそこまで達観した人間を私は見たことがない。

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