イランなのにキリスト教とゾロアスター教

前回の旅日記「青い空とペルセポリスの大地」

今回の旅は夜行が多い。旅が2週間程度と短いから夜行を使って時間短縮をしたかったのだ。またも早朝にシラーズの町からヤズドに到着した。まだ朝4時か5時ぐらいだったため、バスターミナルの待合室で寝て待つ事にした。すきま風が背中を通り抜け、ゾクッとする。7時ぐらいになり、バスターミナルにある食堂でスクランブルエッグのようなものと薄いナンのようなものを食べる。次に行くマシュハドへのバスチケットも事前に取り、さて、町へ行くか。

バスターミナルと鉄道の駅が隣接しており、周辺の道路は大きな幹線道路であった。そんな幹線道路の交差点にはイランの国旗が力強くたなびいていた。そんなバスターミナルから町を歩いて宿を探す事にした。歩くこと1時間30分ぐらい、町も少しずつ活動しはじめたころに町中に着いた。今日泊まる事にした宿はドミトリーが4万リアル(4ドル)と安いが、中々きれいな宿で設備もすばらしかった。くつろげるスペースも広く、絨毯の上でごろごろできた。なぜ設備がしっかりしているかと言えば、シングルルームなどもあり西洋人のツアー客などが泊まっているからのようだった。この事実が今日というこの日の夜に意外なイベントを引き寄せる原因になるとは。

さてと町を歩くとしよう。金曜のモスクと呼ばれるモスクへ行く。この町では一番大きなモスクのようだ。このモスクは人々が毎日お祈りに訪れる場でもなければ、鮮やかで細やかにデザインされたモスクというわけでもなかった。ここで印象に残っているのは、キャノンの高い一眼レフカメラを持っていたイランの兄ちゃん。彼は学生らしいのだが、グラフィックデザインの仕事もしていると言う。さらに写真も撮って展示もする。それよりも驚いたのは、世界2、30カ国を訪れていると言う。金持ちは金持ちなんだなーと。

それからゾロアスター教で最も重要な教会へ。この町、ヤズドはゾロアスター教で有名な町なのだ。3、40分ほど歩き、教会へ。おそらくここだろうという場所に着いても何も案内がないし、人もいない。まあ、ヤズドの町に観光客はそんなに多くないからしかたないかなと思い、町の人に聞いてみると今日は夕方しか開かないと言う。体が急に重たくなった。ああ、マジですか。こんなに歩いたのに。帰るとするか。来た道を同じ道ではつまらないので、ルートを少し変えながら歩いた。

アミール・チャフマーグ広場のタキイエという凸型の建物がある。これは見晴らしがいいだろうと思い登ってみる。日本の感覚で言ったら高い建物ではないが、ヤズドの町では最も高い建物のようで街全体を見渡せた。見晴らしが良い場所というのは気持ちがいい。自分の真っ正面から真っすぐに道がのびているのも気持ちよかった。ここは夕暮れ時と夜にまた来ようと思い、ランチへ。サンドイッチ以外のものも食べたいと思い、町中で聞いてみるととあるレストランを紹介された。ただ、場所が分かりづらく、バザールをくねくね曲がり地下にひっそりとあった。「サラーム」といいながら扉を開けると、何とも綺麗なお店。見た瞬間に高そう。。。と。これは外人用のレストランだなーと思いながら店内を見回すと誰もいない。お客さんが誰もいないだけでなく、店員さんも誰もいない。。。なんとまあ。高そうだし、帰ろう。そして、またバザールをくねくね歩き、大通りに出た。腹が減り、何でもいいやと思ってしまい、またもサンドイッチとオレンジジュース。


凸タワー(アミール・チャフマーグ広場のタキイエ)

こんなことをしていたら、もう夕方近くになる。そうだ、ゾロアスター教の教会へ行かねば。30分かけて到着。しかし、まだ閉まっている。なぜだ?周りをぐるっと一周したけど開いていない。???近くを車で通りかかった人が、止まって教えてくれた。今日は記念日で開かないよ。明日また来ると中に入れるよ。と。ああ、そうですか。もう、いいです。縁がなかったということで、さようなら。

それよりも夕日が沈んでしまう。それまでに凸タワー(アミール・チャフマーグ広場のタキイエ)に登らねば。早歩きで、向かったが夕日はちょうど落ちてしまったところのようだったが、日没後の淡い空の時間を味わえた。夕焼け空がヤズドの街を、温かみのある空気で包み込んでいた。一人でのんびりと眺めながら、この時間の流れを感じていた。しばらくすると冷えてきて、そして夜空が空を覆っていった。夜の街あかりが綺麗に灯っていた。


夕暮れに染まるヤズドの町

さてと、宿に戻るか。宿に戻ると多くの人がいてワイワイガヤガヤ。今日はクリスマスパーティーだと言う。ここはイランですが?イスラム国家ですけど?西洋人が何人も泊まっているからクリスマスパーティーをするという。そうか、そもそも今日はクリスマスなんだ。今日が何月何日かも知らないし、クリスマスにもあんあり興味がないし、ここイランだし。さらに夕食代金12万リアル(12ドル)で、宿代の3倍!って思ったけど、せっかくの機会だしみんなで盛り上がろう、そして美味い飯を食おう!と決まり、参戦。


凸タワー(アミール・チャフマーグ広場のタキイエ)から見る夜景

野菜の煮込み、らくだのカレー、何種類ものイランの庶民料理、ノンアルコールビールを頂きました。これでもかというほど食べて、満腹。昼間にサンドイッチしか食べていないので、満足度は非常に高かった。しかし、ノンアルコールビールだけはまずかった。最後にクリスマスケーキが用意され、花火しながらお祭り騒ぎ。

そして、食後に思うのは西洋人は自分たちのスタイルを他人の国でも変えないなということ。そして、儲かるからという理由でこういうことを行う現地の人々。何とも難しい問題で、両者のどういう状態が一番望ましいのだろうか。いつもこれは考える。
ただ、西洋人には郷に入っては郷に従えという概念がない。自分たちのスタイルを何処でも突き通す。このスタイルに僕はなじまない、ということだけは常にだなー。

ホットシャワーと手洗い用の洗剤で髪の毛と顔を洗い、就寝。にぎやかな夜だった。

旅日記の続きはコチラ「それでも荒野が見たくてチャクチャクへ」

「Iranian Blue」~寺町 健 写真展~
期間:2009年2月15日(日)~28日(土)
   月曜は定休日です
   12:00~15:30 18:00~21:30
   (15:30~18:00の間は店が閉まっていますので、ご注意ください)
   店内は禁煙となっております。
場所:カルカッタカフェ
   〒166-0004
   東京都杉並区阿佐谷南3-43-1 NKハイツ101
   詳細地図はコチラ
   最寄り駅は阿佐ヶ谷駅になります。
   お食事の方は事前に予約をして頂けると幸いです。(tel:03-3392-7042)

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