それでも荒野が見たくてチャクチャクへ

前回の旅日記はコチラ「イランなのにキリスト教とゾロアスター教」

荒野と青い空に惹かれて、それがそこにあると聞くと喜び勇んで行く。広大無辺な荒野に照りつける太陽と青い空。そんなところで、体をいっぱいに伸ばして、空気を吸う。こんなところまで来たという喜び、青と赤茶けた大地の美しいコントラスト、そしてこんなにもでっかい自然に対して俺なんてちっちゃい存在で何にもできないと自分の本当の大きさを感じられる。

今回もヤズドでチャクチャクに行くことにした。チャクチャクはゾロアスター教の最も重要な聖地だ。しかし、そこには何もないと聞いていた。ただ、行くまでの道中の荒野がすばらしいと。うーん、イランに来て荒野はたくさん見てきた。過去には他の国でも荒野をたくさん見てきた。でも、まだ見たい。まだまだ見たい。そんなところに、ポツンと存在したい。


朝食。リッチな感じ。

朝起きて、朝食を食べる事に。このホテルでは朝食が3万リアル(3ドル=300円ぐらい)で食べられる。それもバイキング形式で食べ放題。外に行っても店はないし、食べる事に。チーズと卵とナンとトマトとキュウリとあとは名前が分からないものを食べる。うん、うまい。黒砂糖のペーストのようなパンに塗るものが美味かった。この甘さと温かい紅茶が朝のホッとする時間をくれた。やっぱり心を安らかにしていられる場所が人間にはたまに必要だ。

顔を洗ったり、トイレに行って準備。そういえば、イランのトイレではトイレットペパーを使わない。インドなどと同じく水洗いだ。旅をしていると水洗いの方がトイレットペーパーよりも好きという人がチラホラいる。しかし僕はどうも好きになれない。水で濡れたままパンツをはくとパンツがヒンヤリとして、あの感覚がどうも好きになれないからだ。しかし、イランではトイレットペーパーがほとんど売っていなかったし、荷物にもなるので水でやり過ごす事にした。インドなどと比べると衛生的だなと思ったのは、ホースで洗うためインドのように小さなバケツに水をためて手で洗う方式と異なったから。

話題がトイレになってしまったが、話しを戻してチャクチャクへ。ホテルを出て、大通りでタクシーを捕まえる。チャクチャクへ行きたいと言うと、タクシー運転手が顔を横に振る。何台ものタクシーに断られた。やっと行ってくれるタクシーを見つけ値段交渉をして、車に乗り込んだ。結局なぜ断り続けられたか分からなかった。ただ、乗ったタクシーの運転手も行き方が分からないらしく、道行く人に行き方を聞いたり、道に迷ってUターンしていた。断られたタクシーの運転手も道が分からなかったのだろうか。

タクシーに乗り10分もすると、幹線道路になった。ヤズドの街はそんなに大きくなかったようだ。幹線道路沿いには大きな工場があった。今までイランで見なかったような大きな工場が並んでいた。運ちゃんに聞くと、レンガ工場などだと言う。国が関わっている会社のようだ。

しかし、そんな工場もなくなり、真っすぐな一本道を車はぶっ飛ばした。荒野に大きな道に赤茶けた大きな岩が見えてきた。そんなところを迷いながら2時間弱で到着した。人はいなかったが車が一台だけ止まっていた。ここがゾロアスター教の神聖な地。


チャクチャクの荒野

本当に何もない。荒野のど真ん中にある岩の壁に建物が建っているだけ。ゾロアスター教の最も重要と言われる聖地がここになるのは、神秘性を持たせるために人里離れたところにしたからなのだろうか。それとも、他の宗教や国家の圧力で追いやられてここに聖地がなったのだろうか。実際の背景は分からないが、そんなことを考えながら、青空の乾いた空気を大きく吸い込んだ。気持ちがいい。ガァーと叫んでやると、遠くでこだました。

周りを見ても本当に赤茶けた大地とゴツゴツした岩しかない。それを照りつける青い空。青い空と赤茶けた大地はなんでこんなにも相性が良いのだろう。何処までも続く青い空が荒野たらしめている因果の関係にあるからなのだろうか。それとも、色の配色として青と赤茶は補色に近い関係だからなのだろうか。


ゾロアスター教の聖地 チャクチャク

「いいねぇー、いいねぇー。最高。これが好きなんだよ。これなんだよ。」と連呼してしまった。それから、岩の上にあると言う聖地に登る。聖地の小さな岩に着くまでにたくさんの建物があった。建物と言ってもブロックで作られたような簡易的なもので、屋根があるだけだった。なんだろうと思っていると、ゾロアスター教の祭事に世界各地からここに信者が集まり、宿泊するための施設だと言う。そうか、飴が振らないから壁がなくてもいいし、一時的にしか使われないから簡易的なんだと納得した。

神聖な岩までくると、管理人のようなおじさんが白い帽子を渡してくれた。ここに入るには、この白い帽子をかぶる必要があるようだ。帽子をかぶり中に入った。奥に見える岩は水がしたたり落ちていた。これかぁという感じ。特に珍しいようにも思わない。なぜならゾロアスター教徒ではないからなんだけど。当たり前だけど、信じるか信じていないかに寄って、ありがたさはまったく異なる。俺がここに来ても何かを感じれないのは当たり前の事なんだろう。


イランの女子高生

そして、またすぐに外へ出た。やはりこの荒野と青空が俺にはいい。チャクチャクに来たというのは名目上であって、求めていたのはこの荒野と青空。ゆっくりと周りを楽しんで、帰る事にした。バスで女子高生ぐらいの年代の女の子がたくさん来ていた。社会見学か修学旅行なのだろうか?イランの学校は高校までは男子校と女子校しかないから、女子だけなのは理解できた。しかし、なぜチャクチャクへ?ここはゾロアスター教の聖地で、イランはイスラム国家のはず。彼女たちはゾロアスター教系の高校に通っているのかなと思いつつ、手を振って車に乗って帰る事に。

帰りももちろん荒野しかない。車は猛スピードで飛ばす。窓を開けると台風のように風が舞い込んでくる。それが気持ちよくと窓を開けて、変わらない風景を楽しんだ。そのまま街に戻ろうと思ったが、ついでなので沈黙の塔(Tower of silence)にも行く事にした。ここはゾロアスター教が50年ほど前まで鳥葬を行っていた場所だ。小高い丘の上に円形のれんが造りの建物があり、ここで鳥葬をしていたようだ。今はその面影はなかった。近所の若者が数人遊んでいたぐらいだった。


沈黙の塔(Tower of silence)

凸タワー(アミール・チャフマーグ広場のタキイエ)近くで、タクシーから降りた。小腹が空いていたので、ケバブを食べる。安い、早い、うまい。おやつのようにケバブを味わい、街をフラフラと歩いた。ネットを少しして、バス停へ向かうことにした。18時30分発のマシュハド行きに乗るために、歩きながら向かったが1時間弱歩いて、暗くなり、時間も迫ってきたので、市内バスで向かった。


おやつのケバブ

しかし、バスの出発は遅れた。1時間以上待っても来なかった。もしかしたら、もう行ってしまった?とすこし不安になったが、周りの人に聞いてもまだ規定内というので、寒い中待つ事にした。1時間半ぐらいしてからバスがやっと来て、20時30分に出発した。イランでは珍しく出発が遅れた。

席を何度も移動させられ、後ろの奴がちょっかいをかけ続けるのでめんどくさかったが、寝続けた。この旅で3回目の夜行もマシュハドに向け出発した。

旅日記の続きはコチラ「
すべてはマシュハドへの序章だった」


ヤズドのバスターミナル

「Iranian Blue」~寺町 健 写真展~
期間:2009年2月15日(日)~28日(土)
   月曜は定休日です
   12:00~15:30 18:00~21:30
   (15:30~18:00の間は店が閉まっていますので、ご注意ください)
   店内は禁煙となっております。
場所:カルカッタカフェ
   〒166-0004
   東京都杉並区阿佐谷南3-43-1 NKハイツ101
   詳細地図はコチラ
   最寄り駅は阿佐ヶ谷駅になります。
   お食事の方は事前に予約をして頂けると幸いです。(tel:03-3392-7042)

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