日別アーカイブ: 2010/2/1 月曜日

アラスカ物語4 日が昇らないアラスカX’masの朝

前回までのアラスカ旅日記はこちら「アラスカ物語3 オーロラを見上げた夜」

明け方までオーロラを見ていたので目を覚ますのが遅くなった。おそらく10時か11時ぐらい。日本でどんなに夜更かしをしても昼まで寝ていることはまずない。自然と起きて何かを始めるような性格だ。旅先では日本よりも早く起きるのが常だから、昼近くまで寝ていたことは本当に珍しく、自分でも驚いた程だ。暗いと体が起きないので、行動開始が遅くなる。日が昇らないアラスカの朝を身をもって味わった瞬間だった。

1階に降りていくとキッチンでベルマおばちゃんが何かを作っていた。アップルパイとベリーパイ。「今日はクリスマスだからみんなで美味しい食事をしましょう」そう誘ってくれた。そうか、今日はクリスマスだったんだと気づき、この家族と一緒においしい食事を囲めるのは幸せだなと思った。アラスカと言ってもアメリカで、そんな一般家庭のクリスマスという行事にも興味があった。ラッキーだ。それに、ベルマおばちゃんが作っているパイがとっても美味しそうで、想像しただけでよだれが出る程だった。

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ベリーパイ

そんなことで空腹感を煽られ朝食というよりも昼食と言った方が正しい時間に食事をし、外に出かけることにした。昨日スノーマシーン(スノーモービル)で駆け巡った場所をゆっくりと歩いてみたいと思っていたのだ。雪に覆われた静寂の世界にじっくりと浸りたい。そのためには、自分の歩幅で歩くのが一番いい。明るい時間がそんなに長い訳ではないので、服を着込んですぐに出ることにした。牧場の細い脇道を抜け、森の中へ。

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雪の世界

背の高いトウヒや葉の落ちた木々が真っすぐに立ち並んでいる。そこに、雪に覆われた道がある。この道はスノーモービルか犬ぞりしか通れないほどの道。この道を真っすぐ歩いていく。入り口から奥を眺めると白単色の世界が広がっている。日常の生活では無数の色が混在している。ただ、目の前の世界には白しか存在しない。別の惑星に来てしまったのか、それともおもちゃの世界に来てしまったかの様だった。

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これだけ白しか無い世界。アラスカに住む人々にとってはこれが自然なのだろう。だからこそ、ネイティブの人々は「白」を表す言葉をいくつももっているのだろう。まっ白な白、透明な白、ちょっと青い白などなど。

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in to the wild (荒野へ)という映画に出てくる車を思い起こさせるような、廃車が雪に埋もれていた。木々、廃車、月の浮かぶ空、ひっそりと建つ家など大きなものの美しさにも目を奪われたけれど、足下の雪はそれを遥かにしのぐものだった。どうして雪がこんな形に積もるのかは、その過程を詳細に説明されたとしても信じることが出来ない有り様だった。雪の白さ、雪の起伏の滑らかさ、表面を覆う雪の軽やかさ。このままの状態を永遠に残しておきたい、そんな風にさえ思った。雪の森に人が壊してはいけない世界を見た気がした。

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in to the wildのよう

足の先が冷えてきたので、ロッジへ歩き始めた。すると葉の落ちた枝の向こうに月が輝いていた。ロッジに戻り本を読んだり、日記を書いたり、いつものように時間を過ごす。夕食の時間になり、みんなが地下の大きなテーブルに集まり始めた。とても豪華なクリスマスディナー。鳥の丸焼き、焼いた豚肉、キングサーモン、マッシュポテト、スイートポテト、野菜サラダ。ジョージが鳥の丸焼をを切り分けてくれた。みんなそろって、話しをしながら食事をした。暖かい幸せな夜になった。今宵は雪が舞い、オーロラは姿を現さなかった。オーロラが姿を現さなければ、こちらもゆっくりと休むことが出来る。たまにはそんな日があってもいいんじゃないだろうか。

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