月別アーカイブ: 2016年3月

LOST WORLD9 山から海へ

夜中に何度かバスは止まり人が降りては乗りを繰り返す。通路にも座り込んでいた人たちがいたが、いつの間にか皆座っていた。

寒く、狭く、寝苦しい夜行バスだった。キューバのバスは良いバスだったし、アルゼンチンも、ヨーロッパに連続して言った時も快適だったし、パプアニューギニアの旅までボロバスは遡ることになる。そう考えてみると、久しくボロバスに乗っていなかったんだなと、しみじみと感じた。そして、こうした旅をしている時にしか感じない、高揚感というものを感じていた。

朝、シウダ−ボリバルに到着した。プエルトオルダスを経由した際に、多くの人が降りバスは快適に乗れるようになっていた。実は、プエルトオルダスからの飛行機チケットを持っていたが、同じ街に行っても面白く無いということで、シウダ−ボリバルまで行くことにしたのだ。しかし、シウダ−ボリバルにいても町で何もすることはない。マルガリータ島まで行っちゃおうと話したり、でも戻れなかったら日本に戻れないし、といろいろと話していたが、とりあえずプエルトラクルスまで行くことに決めた。ここならカラカスへのバスもあって、なんとか帰れるだろうと考えたからだ。

プエルトラクルスは、ベネズエラ唯一のビーチリゾートらしい。ベネズエラにビーチリゾートなんてあるのかと突っ込みたくなるけれどwいちおうキューバと同じカリブ海。そう考えると、リゾートっぽさを感じる。シウダ−ボリバルで降りて、バスを聞く。すぐにはなさそうなので、乗り合いタクシーを聞いたら、すぐに出るという。とりあえず、早く移動したかった。時間が少ないので早く新しい土地に到着して遊びたかったのだ。

運転手のおっちゃんと、一緒に乗り合わせたのはヴィパッサナー瞑想の先生をしているというおばあちゃん。彼女はは世界中を回っているらしかった。もうひとりもおばちゃん。そして俺ら2人。車の中でパサパサの紙のようなチャパティみたいなものをもらって食べた。食べ物がなかったし、プエルトラクルスまでどれぐらいかかるかわからなかったので、とりあえず食べた。と思ったら、高速みたいなところを降りて、何故かまちなかへ。まだ、プエルトラクルスには着くはずがない。と思ったら、朝飯を買いに立ち寄ったのだ。乗ってたおばちゃんおすすめらしく、わざわざwただ、うまかった。鶏肉が入った揚げパンなのだが、今までで一番うまかった。そして、サルサソースとマヨネーズっぽいソースがうまかった。確かにうまい。これならわざわざ来る理由がわかる。出る直前に、もうひとつ買って食べてしまったほど。

また車で走るとプエルトラクルスのバスターミナルの近くに到着、なんだか人がゴッタ返すにぎやかな場所だ。治安があまりよくなさそうな感じもして、ターミナルに入ってカラカス行きのバスを聞くがいいものがない。何件か聞いて、次は両替。キャッシュがなくなったのだ。闇両替の兄ちゃんについていくが、バスターミナルを出て、どんどん人通りが少なくボロいビルのある方へ行く。これは危険だなと思い、もうこれ以上は移動しないと言ったが、もう少しだと。これを2回ぐらい繰り返したら、海岸沿いに到着。ホテルだった。ホテルで両替をするのかと思ったら、なんとシリアから移民できてホテルの部屋に泊まりながら闇両替とかしながら生活している兄ちゃんだった。

ホテルをいくつか見るが、なんかしっくりこない。海岸沿いなのに窓がない部屋とかwで、船でマルガリータ島に渡れるかもとターミナルへ向かう。が、ここも良い船がない。まあ、移動の連続で疲れたしホテルに泊まろうと。そして、プエルトオルダスで泊まったベンチュールホテルが湖の街にもあるので行ってみることに。高いが、良いはずだ。旅の最後だし。と、泊まる気満々だったのに、行ったら満室。まさか、そんなことが。で、紹介された別のホテルにタクシーで移動。ここも、高級なホテルだがベンチュールには劣る。なんといっても、ベンチュールにはプライベートビーチがあったから。こっちはプールのみ。空室があるということで、ここに泊まることにした。

荷物をおいて、町をぶらつく。本当にビーチリゾートか?と思うほどリゾート感がない町だ。海岸沿いには、マクドナルドとかピザ屋が並んでいるが、リゾートを楽しんでいる人はいない。ホテルには観光客がいたのだが。人は多く、ちょっと治安が悪い感じがしている。昼ごはんを食べていなかったので、海岸沿いの店でピザを食べる。

夕食はホテルで食べれなかったの。レストランが貸し切りでNG。で、ドキドキしながら真っ暗な町なかへ。昼は人であふれていたのに、人も少なけりゃ、店もほとんどやってない。おいおい、怖いぜ、ベネズエラの夜。早歩きで移動しながら、陽も完全に落ちて真っ暗に。スーパーに寄ったり、ドラッグストアを覗きながら、露天でケバブみたいなものを食べて、ベンチュールに遊びに。ただ、ベンチュールも店がやってなくて、そのままタクシーで帰宅。

今日は大晦日、ということで夜中になんかあるかなとおもっていたら、爆竹やら花火やらがバンバン上がる。これがベネズエラ流の年越しか。ラテンな音楽も大音量で流れ続け、外に椅子を出して話して、飲んでいる人が多数。2年前はパタゴニアのフィッツロイの麓で年越しを迎えたなと思いながら、2016年を迎えた。明日はモチーマ国立公園へのショートトリップなので、すぐに寝た。

政治と国

アメリカの大統領選のニュースが連日取り上げられている。トランプかサンダースか、ヒラリーか。みたいな。個性派がそろっていて、いろいろな政策や思想をぶちまける。誰が大統領になるかで変わる国。もちろん、国民がその国らしさを最終的に定義づけるが、大きな方針はやはり政治が決める部分が大きいと思う。

年末年始で行ったベネズエラ。

殺人など凶悪犯罪率世界一位、3000万の国民に対し拳銃1700万丁、原油埋蔵量世界一位だが、チャベス大統領が二年前に亡くなり、世界的に原油価格も暴落し、チャベス大統領からマドゥーロ大統領になり、国は衰退し混乱していった。国は貧しくなっていった。

でも、人間は強く1人1人が考えてより良い生活のために生きる。その力の総和は偉大で、国は回っていく。でも、政治の舵取りは大きく国民生活を決定づけるのも間違いない、先月の国会議員選挙では野党が多数を取り、マドゥーロ政権とねじれた。暴動が起きる。

原油価格下落の要因でもある科学技術の発達と政治の舵取りは、本当に難しく、国民にとって大きな影響を与え、生活を変える重要な要素だ。ある意味日本みたいな、大きく振れずいつも政治的に中途半端な国であれば、マイナスのリスクもないんだなと感じた。誰が政治を司っても大差ないという意味で。

一方で、誰が政治をするかによって極端な差が生まれる国は、うまくいくこともあれば、激しく失敗することもある。それを踏まえたうえでの政治。日本は、そのリスクを取りたがらない人々だから、どちらにせよ大差無いような政治になるのか。これを批判する人もいるけれど、大きな失敗がないということでは、ある程度のメリットも有るのかなとも思う。

ただ、なんだかんだ行って、世界のどこに行っても思うことは、人は強く生きていくし、日常はどんなに治安が悪くても、そこに人の笑顔や安らぎは存在すると。そんなことを改めて知ったベネズエラのロライマ山登山および旅でした。旅で、国を知る、政治を知る、人を知る。