We’ve Got Sun — Book Your Spring Getaway Today
10日ほど前にアラスカ航空からこんなタイトルのメールが届いた。
We’ve Got Sun .すなわち、「我々はついに太陽を手にいれた」
白夜は有名だけど極夜はそれほど知られていない。
でも、太陽が沈まない白夜があれば、太陽が昇らない極夜の時期も存在する。
アラスカの冬は太陽が昇らない時期や、日照時間が数時間と非常に短い時期が続くのだ。
寒く暗い冬が長く続き、やっと暖かく明るい日々が訪れる。
それは紛れもなく太陽の恵みなのだ。
年末年始にアラスカの冬を体験していたので、We’ve Got Sun という言葉に託されたアラスカの人々の気持が少しだけ分かった。
春の訪れを待ちわびていたからこそ、We’ve Got Sun という喜びの気持が溢れ出る言葉になっているのだろう。
送信者 ALASKA 2009 |
星野道夫が春の訪れについてこんなことを書いていた。
「きっと、同じ春がすべての者に同じよろこびを与えることはないのだろう。
なぜなら、よろこびの大きさとは、それぞれが超した冬にかかっているからだ。
冬をしっかり超さないかぎり、春をしっかり感じることはできないからだ。
それは幸福と不幸のあり方にどこか似ている」
「あと、十日もすれば、冬至。この土地で暮らす人々にとって、その日は、気持ちの分岐点。
極北のきびしい冬はこれから始まるのだが、太陽の描く孤は、少しずつ広がってくる。
そして人々は、心のどこかで、春の在り処をしっかりとらえている。
今日も、太陽は、わずかに地平線から顔をのぞかせただけだ。
沈んでいった夕陽が、少しの間、凍てついた冬の空を赤く染めている。
やがて闇が押し寄せてきて、長い夜が始まってゆく。
陽の沈まぬ夏の白夜より、暗黒の冬に魅かれるのは、太陽を慈しむという、遠い記憶を呼び覚ましてくれるからなのかもしれない。
忘れていた、私たちの脆さを、そっと教えてくれるのだ。」
「長い旅の途上」最後のメッセージ