日別アーカイブ: 2010/3/20 土曜日

利尻島中膝栗毛3 人は滑る生き物だ

前回の利尻島旅日記はこちら「利尻島中膝栗毛2 メインはウェルカムパーティーか?それとも昆布作りか?いや、実はミルピスだ。」

6時30分に起きて、朝食。今日は山を歩くので、朝食をしっかりと頂く。荷物をまとめ、スノーシューハイキングの準備をして、バスに乗り込む。今日はスキー班とスノーシュー班に別れて行動だ。僕はスノーシュー班。まずは、荷物を置くために利尻富士温泉に。大きなカバンなどを置いて、さあ、出発だ。

送信者 冬の利尻島2010

スノーシューやスキーのスタート地点までは、少し距離がある。ここでスノーモービルの登場。これに乗って、スタート地点まで運んでもらう。ただ、スノーモービルが人数分ある訳ではない。まずは順番にスノーモービルの後部座席に座る。そして、スノーモービルにつけたソリに荷物を載せる。さらに、ソリに人も乗る。スノーモービルに引っ張られ荷物と人は滑っていく。人は滑る生き物だった。ソリに乗った人々は次から次へと彼方へと滑っていった。

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さて、みんなスタート地点に到着。スキー班とスノーシュー班は別れて行動だ。スキーの人はスイスイと山の中に吸い込まれていった。軽やかにスキーメンバーは滑っていた。やはり人は滑る生き物なんだ。スノーシュー班は足にスノーシューをつけ、ストックを持っててくてくと歩き出す。スキーの滑りがうらめしい。

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ひっそりとした利尻の山の中へと分け入っていく。トドマツとエゾマツの違いを聞いたり、利尻の森に息づく植物のお話を伺う。そしてキツツキが突っついて削った木々を見て驚く。キツツキはこんなにも激しく木を突くのか!と驚いた。雪に覆われた森の中にも動植物の息づかいが感じられた。

送信者 冬の利尻島2010
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森林限界を目指してどんどん歩いていく。説明を聞きながら山を歩くのは楽しい。自分では疑問に思ってもそれで終わってしまう事を、いろいろと知る事が出来る。そうして知識が増えていくと、また新たな事に興味がわき、世界が広がっていく。これが人生を楽しむ醍醐味のような気がする。そうそう、雨が降って雪がかなり解けてしまっていたけれど、それでも人間の胸の辺りぐらいまでは雪が積もっていた。地上から1メートルぐらい上を歩いている事になる。夏であれば笹などが生い茂って歩けないところを、今は歩く事が出来る。だから、夏には行けない場所にも容易に行く事が出来るのだ。

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しばらく行くと、550メートルぐらいの森林限界に到着。木々が減り展望が良くなった。けれど、曇っており利尻富士の頂上は見えなかった。すると、上からスキー班が滑ってきた。とっても気持良さそうに、スイスイと降りてくる。右に左にと。あんなに遠くに見えたのに、気持ち良さそうに滑ってスノーシュー班の近くまで降りてきている。なんというスピード感、なんという軽やかさ。やはり、人間は滑る生き物だ。今までスキーをやりたいと思った事はほとんど無かったけれど、テレマークスキーを見て、一気に火がついた。俺もテレマークスキーをしたい。いや、絶対にすると。あんなにも楽しそうなことをしないなんて勿体ない。俺も滑る生き物になってやるのだ。

送信者 冬の利尻島2010
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縦横無尽についたスキーの跡を見ながら、人は滑る生き物だとしみじみと感じていた。いや、滑りを楽しむ生き物だ、と。それからみんなで、利尻の主まで歩く。利尻の主とはナラの巨木だ。このナラの木はご神木として利尻島を見守ってくださっている大切な木。お神酒をお供えして、みんなで一口ずついただいた。実に立派なナラの木だった。利尻の主に限らず巨木を見るとありがたく、偉大なる印象を抱くのはなぜだろう。やはり、それだけ長い時間を生きてきたすべてが詰まっているからなのだろう。自分が知らない時間を過ごしてきた生き物を目の前にして、自分が見る事の出来なかった過去を見ているのだろう。

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みんなで、利尻の主に手を合わせ下山。またスキーチームは林の間をスルリとすり抜けて、下っていった。スノーシューチームはゆっくりと歩いて、甘露泉水へ。利尻富士にある自然の水場である。この水場が利尻富士の中では最も高い場所にある水場らしい。登山者はここで最後の水を補給して登っていくと言う。長寿の水ということで、ゴクリと水を飲み干した。お酒好きな方がウィスキーを持ってきており、甘露泉水の氷でウィスキーを飲んでいた。実に、絵になる光景だった。

送信者 冬の利尻島2010
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さて、これで利尻富士ともお別れだ。スタート地点まで戻りスノーシューを脱いだ。スノーモービルでまた滑って、荷物を置いてある温泉まで戻った。服を着替える。すると、今日の飛行機がまた飛ばないかもしれないと言う話しが。確かに空を見上げると怪しい雲行き。もう1泊して遊べる?いや、明日仕事に行けない?どっちにとらえるかは個人次第で、みんなワクワク、ヤキモキしながら、時を過ごす。

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ただ、ヤキモキしていても仕方ないし、もうお昼ということでお昼ご飯に。今日のランチは名取本店で「タコカレー」。読んで字のごとく、タコが入ったカレーだ。ただ、タコだけではない。イカもホタテも入った豪華なシーフードカレー。さらにフライ付き。まろやかな味のカレーを頂きながら、旅の終わりを名残惜しく感じながらみんなで話しをした。そんな時も、外の天気は刻一刻と変わる。雪が舞いはじめ、利尻富士はほぼ見えなくなった。これは怪しい。「飛ぶ」、「飛ばない」、「飛ぶ」、「飛ばない」、そんな風に花びらを一枚ずつちぎっていくような心境だった。

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最後にアザラシが出たということで、海へと急ぐ。始めは2,3頭のアザラシが顔を出していた。しかし、みんなでアザラシを見ているとどんどん増えていき最終的には10頭ぐらいが現れた。アザラシも珍しいものを見るかのように、僕らを眺めていた。いったいどちらが見ているのか分からない関係になっていた(笑)。アザラシにとっても冬の珍客だったのかもしれない。

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飛行機の時間も差し迫り、空港へ。ギリギリまで飛行機は着陸するのか?、それとも着陸できず新千歳空港に引き返すのかを見守っていた。なんとか、飛行機は着陸し、僕らも利尻島を後にする事がきまった。最後は利尻空港の所長さんにも見送って頂いて、最後の別れ。たった3日の旅とは思えないほど、中身のぎっしり詰まった旅だった。本当に楽しかった。利尻島の素敵な方々に心のもてなしをされて、今回ご一緒した旅のメンバーも面白い方ばかりで、充実した時間を過ごす事が出来た。利尻は実にいい島だ。

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帰りの飛行機からは、真ん丸の虹が見えた。

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