日別アーカイブ: 2006/10/14 土曜日

分かる、その気持ち

誰だったのかは定かではないのだが、つい先日、耳にした。
この言葉を聴いたとき、気持ちが強く現れている気がした。
何に対しての気持ちが強いのかは忘れたが、その時、この言葉に大いなる感情が宿っていると感じたことだけは鮮明に記憶している。

この言葉を思い出したのは、とあるブログを読んで。
そのブログは僕が大好きな番組「情熱大陸」のプロデューサーかなんかのブログ。
角田光代さんについて書かれていた。角田さんはこの情熱大陸ではじめて知った人だ。
この番組で、何人もの人を知った。そして好きになったり、惚れたり、尊敬したりした。
今、調べてみたらそれは2005年3月だった。この時から、彼女には一目を置いていた。
というのも、番組の中で書いた一つのエッセイにひきつけられたから。
まさに、そのエッセイを聞いた時「分かる、その気持ち」だったのだ。
そのエッセイがこれだ。

「旅先三日目」角田光代
 旅に出る。見知らぬ町に着く。幾度も迷いながら歩きまわり、だいたい三日目に、自分が、まるごとその町に溶けこんでしまったような錯覚を抱く。体が急に軽くなる。仕事も名前も年齢も、私はなんにも持ち得ない、持っていたとしてもここではまったくの無用だと気づく。それはちっともさみしいことではなくて、むしろすがすがしい気分である。
 旅から帰ってくると、つい、何か持っているような気になってしまう。仕事、家、友、約束、銀行口座、名前、年齢。実際私たちはそうしたものを背負って日々よろよろと暮らしていて、ひとつでも失うとなんとはなしに不安になる。けれど実際のところ、本当には、私はなんにも持っていないんじゃないか。持っている気になっているものすべては、思いこみとか、一時的に預かっている何かなんじゃないか。そのことを忘れそうになると、私はいつも、あわてて旅に出る。旅先三日目のあの空っぽな気分を思い出すために。

情熱大陸のサイトで、月一回彼女の小説が掲載されはじめるようだ。
その名も「明日、どこかで出会う」。
また、「分かる、その気持ち」と思わず言ってしまいそうなタイトルだ。
見逃せない。

彼女については情熱大陸を見たときなど、何度かブログで書いている。
http://www.teratown.com/blog/archives/001457.html
http://www.teratown.com/blog/archives/001466.html