日別アーカイブ: 2016/2/21 日曜日

LOST WORLD7 雨、雨、雨、そして流れ星

朝目を覚ますと、雨が降っていた。ロライマに来てから雨が多い。ロライマはいつも天気がコロコロ変わると聞いていたが、本当にそんな天気を目の前にすると、晴れてくれ、晴れてくれと願うばかりだ。

昨日トリプルポイントに行けなかったので、今朝晴れていたら、トリプルポイントに行ってからベースキャンプまで降ろうと考えていた。そう考えると、トリプルポイント往復の時間を考えると、タイムリミットが近づいてくる。でも、いっこうに雨が止む気配はない。トリプルポイントに行きたいが、昨日と同じでこの天気で行っても何も見えない。悩ましい。ガイドを置いて二人でいこうかとも話したが、結局テントの中で、朝ごはんを食べ、お茶をして話をしていると、もう昼が近づく、もう無理だと2人でトリプルポイントを諦めた。

目の前はいつの間にか雨が溜まり池になっていた。その水はどんどん推移が上がっている。こんなにも雨の影響を受けるとは、すごい地形だ。全く地面が見えなくて、本当にここを歩いて下るのかと思うと嫌になるほど。昼過ぎて、この調子だとベースキャンプに着く頃には暗くなってしまうかと思う。ただ、雨も降っているので頂上で延泊するのかとも思い、ガイドに聞くと降りるという。それもベースキャンプを過ぎて第1キャンプまで。そこには彼の仲間がいて、食料があるからっぽかった。しかし、第1キャンプまで降りると、万が一晴れても景色を楽しめない。当初の予定通りベースキャンプに泊まりたい。そう話すとガイドとバトルになった。

ただ、ガイドも諦めたようだった。下山するときも雨。まるでプールのように水が溜まっている。保水能力が無い山は、これほどまでに水が一気に貯まるのかと思うほど。靴が濡れるというレベルではなく、池の中を歩いている。これじゃ、道も分からないからガイドがいてくれて助かった。

下っていく。急な斜面は洪水状態。登山道も川になっている。頂上から雨が洪水となって流れている。これは大地も削られる。そして砂状だから、特にだ。下って行くと現地のポーターは靴下で登っていたりクロックスだったりと、驚き。さらに、まだ4歳ぐらいの小さな子も。震えていた。大丈夫かと思ったが、まだ登っていくようだった。


滝の下を通るときの水には驚いた。バケツをひっくり返したというレベルではなく、もう上も下も右も左も分からないレベルの水が空から降ってくる。雨と増水した滝と。ただ、土で汚れたレインウエアがきれいになった笑ベースキャンプに近づくと雨が小ぶりになっていった。

ここまで降りちゃったというなにか寂しい、不完全燃焼な気持ちもあった。トリプルポイントに対する未練と雨で停滞ばかりで体をあまり動かしてないからだろう。ベースキャンプに着くともう暗くなるので、テントをすぐに張る。初日に見たような夕日は見れなかった、そしてまた小雨が降ってきた。テントを貼ると水の通り道だったのと雨で、地面が水で染みてきた。緊急用に持ってきたエマージェンシーシートを床に敷き対応した。いつもと同じ尾西のご飯を食べて、早々に寝た。

夜中に起きると、満天の星空だ。起きた理由は風が強くて音で目覚めたのだ。テントが右に左に風でしなっている。ペグが抜けそうなほどだ。タクジさんは夜中にペグを打ちなおしていたし、近くのテントの登山者は、こんなんはじめてで、死ぬかもと思ったと話していた。ただ、この風が雨雲を吹き飛ばし、ロライマ初の満天の星空を連れて来てくれた。星とロライマのシルエットが美しすぎて、うっとりするほどだった。バカラのグラスでウイスキーを飲みながら、眺めるのに最もマッチした光景だなとふと思った。そうして、夜空を眺めながら写真をとっていると、あっ、星が流れた。本当にロライマはいろいろな顔を見せてくれる。青空に夕日に、星空に、雨に、風にと。そして、またテントに戻り再び眠りについた。