日別アーカイブ: 2016/2/13 土曜日

LOST WORLD6 雨で始める朝、ロライマの頂上へ

夜中に目を覚ますと雨がしとしと降りはじめた。少し前に目を覚ました時は雲海が見えたのに。5時過ぎに起きて、昨夜作った尾西のご飯を食べ、タクジさんと雨っすねーと話す。ガイドに雨が止みそうか、このまま振り続けるか聞いてみようとなる。ガイドは怠け者キャラなので、とりあえずここで待とうと言うだろうと話していた。で、聞きに行くと、まさかガイドに聞きに行くと止まないと言われ、待っても仕方ないので雨の中テントを片付けて、登山開始することになった。予想外すぎる。雨のテント撤収と登山はびしょ濡れだし気が進まない。

さらに、この雨はしばらく止まないということも気持ちを萎えさせた。ベースキャンプからロライマの頂上を見上げると垂直の壁に見える。こんな垂直な壁を登るとなるとクライミングのような登山になるかと思うが、山というものは意外と登りやすいルートが開拓されているもんで、ロライマも同じだった。雨の中垂直な壁はつらすぎる。そして、5日分の食料とテントも入って。岩というよりも砂が固まったのがロライマで、雨と登山者によって山肌の土(砂)は削り取られていた。

垂直の斜面に見えただけあってかなりの急登。雨の中、息を切らしながら登ると、暑くて雨具のジッパーを開けてしまう。するとびしょ濡れに。。。大半の登山者はテントで滞在していて登ってこない。まあ、雨の中アウトドアをやってない人は登りたくないだろう。幾度と無く大きな沢や滝の水が物凄い勢いで流れてくる。保水できない地質なので、雨が降るとそのまま流れ落ちるのだ。落差が数百メートルの滝の下を通ると細かなミストで視界が悪いほど。もちろんメガネは曇ってしまう。現地のガイドはポンチョを被っているのみ。タフだなとつくづく思った。

送信者 ベネズエラ2015-16

砂地の急登を登り終えると、黒い大きな岩のエリアに。もう頂上は近い。ただ、雨はやまずものすごいガスで何も見えない。3時間ほどで頂上に到着。ガイドに頂上と言われなければわからないほど。岩がゴロゴロあるだけで、いったい自分がどこにいるかも分からないし、どこがテントサイトかも分からない。頂上で現地のガイドやポーターとすれ違うと、ガイド同士で話している。テントサイトの空き情報の情報収集をしていたのだ。

送信者 ベネズエラ2015-16

キャンプサンフランシスコ(たしかw)に到着。テントサイトは洞窟というか、岩が貼りだしたところで、雨風をしのげる場所だった。雨が多いロライマではとても便利な場所。屋根がなかったら、20時間ほど振り続ける雨は辛かっただろう。とりあえず、テントを貼る。岩の軒下はとても面積がせまく、全部で5張りもテントを張れば溢れてしまうほど。その中でも、一番雨に濡れなさそうで、フラットな場所があった。あ、ココがベストポジションだなと俺は思い、そこを取りたいと思いベスポジに立って、話した。牽制したのだ。すると、みんなそこを狙っていたようだ。と、ガイドが俺の立っている場所を指して、そこにテント貼るからどいてくれと。おお、おい。まさか、ベスポジをガイドにとられる。。。ベスポジにガイドが寝るって、ありえないだろ。さすが、ベネズエラw

送信者 ベネズエラ2015-16

あきらめて、タクジさんと僕は少し雨の跳ね返りがある場所にテントを貼る。しかし、テントを貼り終わっても雨はやまない。ガイアナとブラジルとベネズエラの国境にあたるトリプルポイントに行きたかったが、この雨と霧で行っても何も見えない。せっかく出し行ってみたかったが、タクジさんと話して2人ではルートも分かりづらいし、諦めるか、という話になた。しかたなくテントでお茶を飲みながら時間を過ごす。びしょぬれになった靴下屋シャツなどの洗濯を岩に干しておく。

送信者 ベネズエラ2015-16

数時間経つとだんだん雨はおさまりはじめた、これは!青空が一瞬見えた、チャンスだと思ったが、すぐに分厚い雲が覆ってしまう。でも、いい流れであることは間違いない。テントの外に出て空を眺めている。30分ほどたっただろうか、風が強いのでまた雲が流れて青空が見え始めた。これはチャンス!ガイドを呼びに行き、眺めの良い場所に連れて行ってくれと頼んだ。すぐに荷物を準備して。

送信者 ベネズエラ2015-16

頂上は池がたくさん出ていたが、石の上をぴょんぴょん飛んで行くと、濡れることもなく。大きな岩の近くにたどり着き、そこをよじ登る。ここもガイドがいないと分からないような場所。登っていく。よじ登りながら、後ろを振り返ると、目の前に飛び込んできた。どっーん!と。ロライマの垂直の壁が、自分の目の前に、自分の目の高さに。一瞬言葉を失う。あまりにも偉大で勇ましく息を呑む美しさだ。そして、思わず声が出た。圧巻の景色。おお、すげー。

一番上に辿り着く前に、写真を撮りまくっていると、強い風とともに雲が流れてきてしまう。まずい、ということで頂上までダッシュ。写真を撮るベストな場所があったので、タクジさんとお互い写真を撮り合う。タクジさんの写真を撮り終わったところで、雲が覆ってきた、急げ交代していたら雲が。。。がーん。でも、もう青空が見えないかもということで急いで写真をとってもらった。そして、もう少し頂上を移動して、クケナンテプイが見えるところまで歩いて行く。こっちもすごい。クケナンテプイの形もいかついのだ。

送信者 ベネズエラ2015-16

ただ、一瞬の青空だった。強い風が吹く、飛ばされるほど。そしてその風が雲を連れて来てしまった。もうだめだ、降りるかと思ったが、また晴れるかもということで岩陰で風をしのぎ耐える。すっごい狭いところに3人体操座りをして、青空が見えるまで耐える。もおう、無理かなとも思いつつ、希望は持ち続け。すると30分ぐらい立っただろうか、また青空が見えてきた。キタ!岩陰を飛び出し、頂上へ戻る。すごい、すごいんだ。この景色。

送信者 ベネズエラ2015-16

青い空と切り立った壁。そして、緑の絨毯のような草原は太陽の光を浴びて輝いている。岩の上からは600メートル以上の滝が流れ落ちる。こんな世界は、世界中どこでも見ることができない、インパクトだ。ついにきた。ここまできた。これが見たかったんだ、感じたかったんだ。この景色をこの風を。興奮してしまって、飛び回る。あっち行ったりこっち行ったり。そして、シャッターを切りまくる。大きな岩に立って、テプイを背景に写真を撮ったり、高度感のある心地よさ。

きちゃったよ、ここまできちゃったよ、最高、この景色に会いたかったんだ。強い風が吹き続ける、その風と日差しの強い太陽が気持ちを高めてくれる。他にも数人ほど登山者がいて、最高だねと語り合った。そりゃ、最高だよ。ここは。と、また雲がやってきた。そして、小雨が降ってくる。同じ岩陰に隠れる。まさか、ガイドが雨宿りでもベスポジを取ってしまった笑また数順分耐えていると、青空がやってきた。ガイドはもう帰りたくて仕方なさそうだけど、僕とタクジさんは興奮が冷めない。この景色を少しでも長く味わいたい、この心地良い、開放された、解き放たれた気持ちを味わいつくしたい、そんな気持ちだった。

他にもいいところがあるからと、ガイドは降りて行ってしまったので、我々もついていった。とりあえず見晴らしのいい場所を降りて行き、頂上をあるいていくと、他のキャンプサイトを横切った。他の場所もテントが数張り張れればいいほどの小さな場所だった。これは、ピークシーズンは取り合いだな。そして、クケナンテプイの絶景ポイントへ。クケナンフォールも目の前だ。エンジェルフォールとたいして変わらない落差の滝だ。ナイアガラの滝もすごいが、これだけの落差というものは、本当に驚きだ。そして、落差によって滝は霧になりその水しぶきが幻想的な雰囲気を作り上げる。

送信者 ベネズエラ2015-16

ロライマの形もかっこいいのだが、クケナンテプイの方が絵になる、男らしいゴツゴツした形なのだ。こちらも、見ていて力がみなぎってくる。日が陰り始めたので、頂上をもう少し見ようということで、クリスタルと呼ばれる水晶の塊みたいなものが大量にあるエリアを歩いたり、洞窟のような大きな穴が空いた場所を見たりと、頂上を散歩。ぐるっと回って、テントサイトに戻ることには日が落ちていく。西の空はオレンジ色に染められ、岩肌のシルエットと合わさって、自然の一瞬の美しい世界を作り出してくれた。

送信者 ベネズエラ2015-16

夕食を食べないと行けない時間だ。といっても、毎日同じ尾西のご飯。お湯を沸かして尾西のご飯を食べスープを飲み、今日見た最高のロライマの景色の話しながら夜は更けていった。頂上には行けというか川があったが、水の流れが弱かったり人間の排泄物もあるので、タクジさんが持ってきた浄水器が役に立った。俺も買おうと思った。テントに戻り、日記を書いていると雨が降り始めた。夜中から明け方にかけて雨が降るんだなという印象があったので、明日の朝には止んでいることを期待して眠りについた。

送信者 ベネズエラ2015-16