チャレンジ富士五湖100キロマラソン完走12時間29分41秒。悔しいけど、うれしさも強いからとりあえず書く。

絶対に完走すると決めていた。自分に誓ったことだけは何が何でも守りたい。だから、いつもより真面目に練習をした。ランとスイムを織り交ぜながら。さらに強制的に走る環境をつくるために、3月末から4月中頃まで30キロ程の大会を3つ入れた。

今日は朝3時20分に起きて、準備をして会場に入り5時にスタートした。空が明るくなると同時に走りはじめた。日の出にスタートして日没まで走るなんて、あの時のようだ。もう5年程前、東京から岐阜を目指して歩いた時を思い出した。

朝の張りつめた冷たさと、富士五湖の静寂、そして富士山が大きくそびえ立つ姿は完璧な美しさだった。走っているからこそ、気分が高揚し余計に美しく見えたのだろう。42.5km地点だいたいフルマラソンの地点までは4時間を切るぐらいのペースで走った。55キロを過ぎた辺りから、足がパンパンに張りはじめた。ガクッとスピードが落ちた。けれど歩かなかった。自分に負けないように。「今」走れば先に繋がる。「今」歩くか走るか自分に問えば、走るという答えしかなかった。服を着替え、水分や食料を補給し、音楽と風景に力をもらいながら、ただ走りつづけた。何をするわけでもなく、ただ右足、左足と交互に前に蹴り出しつづけた。

70キロ、そして80キロ。だんだんゴールがイメージできるようになる。なんとかゴールしたい。制限時間は14時間。残りの距離を考えて時速何キロならゴールできるかを逆算する。時速5キロでも間に合う。ということは歩いてもゴールできる。でも、最後の10キロは坂道が続くからスピードが落ちる。だから今は何とか走り続けよう。そんなことの繰り返し。

エイドステーションで水などを配るボランティアの方から声援をもらう。沿道で応援してくれる人がいる。「頑張れー」「あと少し」。力をもらって、笑顔で会釈をする。また、なんとか走ろうと思う。でも辛い。太腿が痛くなる。次はふくらはぎ。そして足の裏。あらゆる足の筋肉が限界を迎えている。でも、走る。残り10キロを切った。ずっと続く坂道が目の前に続いている。なんとか走ろうとする。両足は空中に浮いているから走っている。自分で走ろうと決めているから、そんな走法になる。しかし、歩く人よりも遅いぐらいのスピードだ。でも、もう無理だ。僕は坂道で歩き出してしまった。負けだ。

ウルトラマラソンを11時間42分で完走している村上春樹の言い方を借りれば、彼は「少なくとも 最後まで 歩かなかった。」そうだ。彼は歩かなかったのだ。俺は歩いたのだ。最後まで走ると決めていたのに、歩いてしまった。涙が込み上げてきたけど、走れなかった。いや、絶対に走れないと言うことはなかったのだろう。けど、僕は自分を甘やかしてしまったのだ。坂道を終え、また走りはじめた。残り2キロ。走った。もう、ゴールできる。12時間30分を切れるんじゃないかと思った。時計と残りの距離をひたすらシュミレーションしながら、走った。最後は競技場に多くの人が集まっていた。そして精一杯応援してくれた。「おかえり」「よく頑張った」「あと少し」「ゴールだぞ」。ただただ、感謝した。なんとか帰ってこれた。

競技場の大きな時計が見えた。12時間29分を過ぎていた。時計は刻一刻と12時間30分に近づいていく。何とか滑り込む。まるで100メートル走の選手のように手を大きく振り、ゴールを駆け抜けた。時計は12時間29分41秒を示していた。長い長い旅はついに終わった。

========
レース中に感じたこと考えたこと、体に起こった出来事など詳しい日記は後日また書く予定です。もちろん食べたものや服や装備一覧も書こうと思います。

ウルトラマラソンについては村上春樹さんの「走ることについて語るときに僕の語ること」第6章 1996年6月23日 北海道サロマ湖「もう誰もテーブルを叩かず、誰もコップを投げなかった」を読むと、走ったことない方でもイメージが枠と思います。ウルトラランナーの気持を代弁してくれているかのようです。

大会名:チャレンジ富士五湖
開催日:2010年4月25日(日)
ゼッケン:1514
種目:100キロ(100.2キロ) 男子
ゴールタイム:12時間29分41秒

測定ポイント スプリット ラップ 通過時刻
10k 00:48:06 05:48:06
50k 04:45:38 3:57:32 09:45:38
88k 10:33:20 5:47:42 15:33:20
98k 12:18:59 1:45:39 17:18:59
Finish 12:29:41 0:10:42 17:29:41

関連記事
ついに100キロウルトラマラソンに出ます
100キロマラソンまで3ヶ月を切ったので、決め事をいくつか。
春なんだから、走ろうじゃないか。
チャレンジ富士五湖100キロウルトラマラソンのイメージを膨らます
出会いの1冊

送信者 ドロップ ボックス
送信者 ドロップ ボックス
送信者 ドロップ ボックス

8 thoughts on “チャレンジ富士五湖100キロマラソン完走12時間29分41秒。悔しいけど、うれしさも強いからとりあえず書く。

  1. teratownさん、こんばんは。

    おめでとう。よく頑張ったね。
    100㎞を動き続けたことがすごい。12時間30分を切ったこともすごい。
    歩いたことはほんとうに悔しいと思うけど、
    それは来年の楽しみにね。

  2. 完走おめでとうございます!!!

    本当によく頑張りましたね~!!
    すごいです!!
    ケガなどしなくて無事でよかったです☆

    思い描いた完璧とは違ったかもしれないけれど、
    未完成の可能性!次のチャレンジへのモチベーションになりますね^^
    いろんな「旅」を続けてくださいね。

  3. momomo さん

    ありがとうございます。
    目標の完走はクリアできて本当にうれしかったです。

    ただ、心残りもあるので次回にこの気持をとっておきます。

  4. 那須昌棋 さん

    ありがとうございます。
    なんとか走りきることが出来ました。

    やっとウルトラマラソンが終わりほっとしています。

  5. 原田 さん

    いやはや長く苦しい旅路でした。
    ウルトラ経験者として、思いを共有できている気がします。

    ブログに書いてあったウルトラの記事を参考にしました。
    サンキューでした。

    宮古島も走りたいなーと思っています。
    せっかくなら宮古島トライアスロンの方がいいかなとも思いつつ。

  6. ai さん

    ありがとうございます。
    本当に怪我など問題なく走り終えてほっとしています。

    これからも新しい旅をしていこうと思ってます。

那須昌棋 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です