日別アーカイブ: 2010/4/16 金曜日

「やねだん」そして「えこふぁーむ」

前回の日記はこちら「宇宙へと繋がる島」

さてさて、前日に続きこの日もフル回転で行きます。本日は大隅半島を南下して、2カ所訪問予定。まずは6時30分に起きて、シャワーを浴びて朝食をとる。ハードな日になりそうなので、ごはんをお代わりして、元気をつけて出発。ホテルのロビーで友達と待ち合わせて3人で出発。まずは、市電に乗って鹿児島中央駅へ。バジェットという格安レンタカー屋で燃費抜群のホンダ「FIT」を借りてGO.申し訳ないと思いつつ、僕は運転できないので助手席に。早く練習して運転できるようになろうと誓う日々。

送信者 種子島など

ショートカットして大隅半島に向かうため港からフェリーに乗って垂水へ向かう。垂水行きのフェリーが出る港は、屋久島・種子島やトカラに行く鹿児島新港ではなく、鴨池港だ。このフェリーターミナルから垂水へ向かう。しかし、予想以上に乗船する車が多く、1本遅い便で行くことになった。さて、本日向かう2つの場所だが、友達が事前にアポイントを取っていた場所に便乗させてもらったのだ。行き先の話しを聞いて非常に興味深かったので、すぐに行くと決めた。そんな行き先の一つ目は補助金に頼らない地域再生をおこなった「やねだん」。二つ目は養豚を軸に循環型農業を行っている「えこふぁーむ」。

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さて、1つ目の目的地である「やねだん」に向かう。途中、鹿屋体育大学の横を通った。高所トレーニングなどではよく名前が出てくる大学なので、名前を知ってはいたけど初めて場所を知った。そんな町並みを過ぎ、「やねだん」に近づいても地方都市の幹線道路沿いの風景。大きな通りの両脇にショッピングセンターがあり、ファミレスがあり、スーツ屋があり、ゴルフ屋がある。どの地方都市に行っても見る風景でつまらないなーと思っていた。まさか「やねだん」もこんなところ?と思っていたら、到着する直前に風景は一変した。幹線道路を曲がると、広大な田畑が広がっていた。北海道と間違う程に広い田畑が広がっていたのだ。そんな場所を過ぎると、「やねだん」に到着した。

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「やねだん」の正式な名前は柳谷(やなぎだに)集落。通称「やねだん」だ。この集落に入った時、海外を旅していて陸路で国境を越えた時のような感覚になった。陸で繋がっているのに、どこか雰囲気が違う。それは道路にある、やねだん焼酎のモニュメントであり、家の壁に描かれた絵であり、町中の看板だ。それが独特の世界観を作り出していた。とてもお忙しそうだったけれど、「やねだん」の今を作り上げた豊重 哲郎さんにお話を伺った。ひと言で言えば、この集落への強い思いを持ち、考えに考え尽くして施策を実施している方だなと思った。

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きっかけは豊重さんが公民館長になった時に「東京ドームでイチローの試合を観戦する」という目標を掲げ、サツマイモを子供達と育て販売したことから始まっている。この販売利益は個人のものではなく集落の利益として活用されている。その後も様々な活動が続き、土着菌と呼ばれる土を作って販売したり焼酎を売って利益を出している。それを使って集落を改善していくことに寄って、補助金に頼らない仕組みを作り上げている。これがとても素晴らしいなと思った。そして「やねだん」に住む約300人が一致団結して行動するために、毎日集落放送が流されている。さらに、ナイトウォークなど様々な行事で子供達を巻き込むことに寄って、大人も地域行事への参加を促す仕組みには脱帽する。

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最近は空き家を改装して迎賓館という家を作っている。ここに日本中から芸術家を呼んできて、ギャラリーで作品を展示・販売したり子供達との交流も行っている。さらに今年のテーマは地域医療だとおっしゃっていた。そこで健康器具を公園に設置する予定のようだ。「故郷創世塾(ふるさとそうせいじゅく)」という後継者育成の勉強会も実施しており、全国から人々が学びにきている。本当にこの集落、そして豊重さんはスゴイ方だなと思った。ご一緒している間も、集落のいろんな人から声をかけられ答えていた。集落の人から信頼されているなと、日常の風景を通して実感した。

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最後に印象に残っているのは、「こんなこと出来るのは借金がないからだ」とおっしゃっていたこと。確かに自分に余裕がないとできないだろう。自分がやりたいことをやっていく際に、借金が足かせになって出来ないことってあるんだな、改めて感じた。集落の中を見学させて頂き、そばを食べて次の「えこふぁーむ」へと向かった。

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「えこふぁーむ」は「やねだん」からは車で15分程のところにあった。専務の中村えいこさんにお会いして、お話を伺った。「えこふぁーむ」が運営するレストラン兼ホテルの「森小休」はかなり奥地にあった。コーヒーを頂きながら、「えこふぁーむ」の取り組みについて伺う。簡単に言うと、耕作放棄地に豚を放して草を食べさせる。草がなくなり、かつ豚が歩き回るので土が勝手に耕される。豚の糞も土の栄養になる。ある程度耕されたところで、耕作地にして野菜などを育てるのだ。大地と豚と野菜、これらが自然の循環にうまく当てはまって成り立っていた。感動すら覚える一連の流れだ。もちろんここまで来るにはかなりのご苦労をされているんだろう。

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中村さんは「ビジネスマインド」と「自然の流れを踏まえて行動する」この両方を兼ね備えている方だった。この両方をできる方はなかなかいないんじゃないかと思う。そんな、エネルギッシュでかっこいい方だった。実際に見ないと分からないと言うことで、豚がいる場所に連れて行ってもらった。山の中にぐんぐんと入っていくと、豚がたくさんいた。豚を小屋の中で飼育するのではなくて、放し飼いにしている。もちろん豚が歩き回って耕さないといけないから、小屋に入っているはずはないのだ。ただ、むやみやたらに耕されると境界線がなくなってしまったりするので、電気放牧柵をはっていた。この電気は太陽光パネルでまかなわれていた。

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実際に見て驚いた。豚は土地を本当によく耕していた。鼻で掘り返したり縦横無尽に歩き回っているので、土はとっても柔らかくなっていた。それから、山の斜面で活躍する豚を見に行った。ここでは赤ちゃん豚が生まれ、お母さんに大切にされながらすくすくと育っていた。山の斜面にある耕作放棄地でも、豚はしっかりと地を耕していた。続いて野菜を作っている畑の見学だったけれど、飛行機の時間があったので、ここで失礼させて頂いた。もっともっとお話を聞きたかったし、現場も見学したかった。次の機会に、また見学に訪れたいと強く思った。それにしても素晴らしい仕組みだ。当たり前と言えば、当たり前なサイクルなのだが、その当たり前に気づき、それを実施しているということがとんでもなく凄いことなのだと思った。自然の循環にすっぽりと入る仕事をしていることの心地よさというものを想像しながら、帰路についた。

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帰りの車に乗ると、カーナビが空港の到着予定時刻を教えてくれた。その時間は飛行機の出発時間よりも遅い時間だった。マズイ。これは飛行機に乗り遅れる。。。と思っていたけれど、最近のカーナビは優秀で信号もなく真っすぐな道ばかりをナビゲートしてくれて、到着予定時刻よりも1時間早く空港に着くことができ、事なきを得た。

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2泊3日と言っても、滞在はほとんど土日だけの短い鹿児島滞在だったけれど、本当に中身の詰まった時間を過ごすことが出来た。結婚した友達、豊重さんさん、中村さん、岐阜の仲間2人、本当にありがとうございました。