リクルートという不思議な会社の9年間で学んだこと

リクルートに新卒で入って9年。
その前に、自分たちで会社をやっていたけれど、既存の大きな組織で働くのは初めてだった。
それから、業務も雰囲気も異なる4つの部署をまるで転職のように渡り歩いた。
異動は常に自分の意志だった。

そもそも、リクルートに入ったきっかけ。

辞めるのが前提の会社
 →常に背水の陣というか、次を意識してなければならない。安住の地ではないから、怠けない。次に何でもできる最初のキャリアになりそう。

言いたいことが言えて、正しければ通る
 →年功序列とか、正しくもないのに命令されたらそれに従う組織は自分に向いていない。どんな人でも、正しいことを主張して、それが納得されれば通る組織

イケてなさそうなのに、利益を出し続けている
 →2005年ぐらいのリクルートはスピード感のなさが明らかだった。自分たちのほうがスピード感があり、どんどんイケてるサービスが作れた。にもかかわらず、リクルートのサービスのほうが圧倒的な利益を出していた。その理由を知りたかった。

変わった人が多くて、それを許容している組織
 →スーツを着てなくても採用してくれたし、思ったことをそのまま話しても受け入れてくれた。なんだか、変な人が多くて超マニアックな旅ネタで盛り上がったり。。。結果を出していれば、何でもありみたいな風土を感じた居心地の良さ。

そんな理由で入社した。

まずは、新人が80%以上という医療系ジョイントベンチャーで新規のどぶ板営業を半年。その後IT製品の比較サイトで既存営業半年、その後WEBマーケティング(SEO,リスティング、アフィリなど)、新商品企画で初めて20人以上規模のプロジェクトを任されて商品企画からリリースまで担当。なぜか、紙がなくなる&ウェブよりもコンセプチュアルな紙を知りたいと思って、旅行雑誌の編集へ。だが、データではなく感覚だけで決める世界やスピード感のなさが合わず再度異動希望で、アドテクやウェブマーケの部署に。プランナーとして広告のプランニングをしたり、金融領域の立ち上げをマネージャーとして任されてかなり成功して評価され、部全体の商品企画や広告運用50人程度のマネジメントを。そして短期的に赤字を黒字にしたものの、他事業との利益率の差やコアなテクノロジーがなく将来性がないということで部署を解散して事業譲渡の交渉なんかをして、解散とともに卒業を決めた。ざっとこんな9年間だった。

大きな部署も小さな部署も、既存の仕組み化された事業も新規の立ち上げも、営業も商品企画も、メンバーも管理職も、結果を出せなかった時期も結果を出してかなり評価された時期も、まあ、いろいろあったわけだ。そんな経験から、この会社の強さってナンダロウとあらためて考えた結果がこれ。というか、自分が学んだことがこれ。

ハイテンション
 →ミッション、パッション、ハイテンションと言いながら営業に出かける人がいたが、元気な人が多い、自己主張が強いひとが多い。仕事はタフな場面も多いから意識的にテンションを高めて乗り切ると言うのは手段としては有効な策のひとつだ。新しい仲間が来たり、達成したりすると垂れ幕が天井から吊り下げられる文化もハイテンションの要因だろう。視覚刺激は人間にとってインパクトが大きく、いつも華やかな垂れ幕が目に入るとテンションは無意識のうちに上がるはず。

仕組み化
 →例えばホットペッパーの仕組みをひとつ作り上げたら全国の都市に同じ体制でどんどん増殖させるとか、営業マンは盲目的に売れば利益ができる仕組みを作り上げ、ただ案件を取ってくることだけに集中すればいい仕組みを作ったりと。情報・広告のファブレス企業だと思っているのだが、ブランドと商品企画と大手営業だけ自社で持ち、リテール営業は業務委託や契約社員とか、エンジニアもすべて業務委託にするなどなど。今はビッグデータとかエンジニアの内製化もあるけれど、少し前までは簡単なウェブサイトを作るだけだったので、そのファブレス化はコアなものに集中するという、いたって合理的な仕組み組織化だったのだろう。

商品企画力
不人気大量採用という言葉がある。これは、どう儲けるかを考える上で非常に重要だ。広告をたくさん出したいお客さんは、たくさん集客が必要な会社。すなわち大手企業なんだけど、採用力が弱い会社。例えば居酒屋チェーンとかはその例にあたりやすい。これらのお客さんはどの領域にも存在する。そのターゲットを見極めて、どのような価値が刺さるかを考えて、商品化する。

あとは、お客さんが目標を持っていて、その目標まであと少し足りないと言ったニーズに答える商品企画とか。そういった目標達成まであと少しという時は、けっこう高い広告費をいただけたりするのだ。横軸がリード件数で縦軸が獲得単価(CPA)の階段グラフだと右のほうに当たる、獲得してもいい限界CPAあたりを狙うイメージ。

類似で、通常送客ではなく、このターゲットが特にほしいとお客さんが思っているピンポイントのターゲットを送れそうな広告商品を仕立てると単価が上がる。

これらの大前提になるのは、マスを狙うこと。ニッチ市場もいいのだが、マスを狙わないと大きな売上がついてこない。リクルートは数十億で終わる事業をこのまない。一事業の売上が数百億にしたいという思想があるので、マスというか本丸を取りに行くという発想。

マスを狙うということは、パッケージ化。あまりカスタマイズは個別に受けない。なのに、提案営業をする。落とし所は決まったパッケージ商品なのに、何か自分の会社にカスタマイズしてもらった感を出すというのが営業のポイント。利益率はパッケージ商品のほうが高いので、そこがキモ。

ブランド名を統一化しない。これはなぜか分からない。楽天とかヤフーとかグーグルとか統一が多い。まあ、新規事業が出てきた時に本当にボトムアップ型で生まれて、そのまま任せて大きくなっていたというパターンの連続だったんだろう。組織個別に権限とか完全任せということ。逆に事件が起こってもブランドが同時に傷つきにくいメリットはある。結果的に第一想起ブランドを作れているから、バラバラでも問題ない。

ターゲット、値付け、広告価値の見せ方、キャッチーなCMマーケティングで第一想起、マスを狙うなどなど、この商品企画に関してはビジネスの発想をいろいろと学んだ。そして、実践して意味の重要さを学んだ。ウェブの会社とかここが緩いかなと思うこともあるので、いい勉強かつ経験だった。紙からできた会社だからだろうか。

アセットの集中投下
競合に勝つ時、半端ないお金を使ったCMなどマーケティングを行う。そして、各部署からいっきに人を寄せる。それで開発をして、競合に勝ちに行く。営業マンも全国各地に張り巡らせたり。競合の体力がなくなるまで割引続けたり。これは人、モノ、金などのアセットがあるからこそできること。まあ、成功することも失敗することもあるけど、このおもいっきりはいいなと思う。

主体性、当事者意識
→お前はどう思う?と新人にも言ってくる。自分はどう思っているのか、どうしたいのか、常にそれを問われる。そして、その理由は?なぜ?なぜ?なぜ?と。自然と当事者意識がつくし、自分でどんどん周りを巻き込んで進めるのが当たり前になっていく。それが当たり前の雰囲気を作り出している。

これは、任せる力だろう。信じて任せて、頭に汗をかく機会を提供する。ベースとして出来る人を採用しているという自信があるから任せて、それぞれ現場で考えて答えを出すのが一番という思想が染み渡っている。俺も2年で売上20億ヨロシクとだけ言われて、商品企画から営業から何から何まで任されたり、BPRして半年で赤字を黒字にしてとか、そんな丸投げをよくしてもらった。逆に、メンバーに丸投げもよくした笑

もちろん、やり抜く力、やり切る力といって、途中で投げ出さず最後までやり遂げることが重要視された。

周りを巻き込む力
だれでも見方にするって文化があると思う。もともと営業が強い会社だから、いろいろな人を気持ちよくするのが得意な人が多い。開発や運用、庶務さんなどなど、みんなをうまーく仲間にしてというかファンにして、仕事に巻き込む。

結局、大半の仕事は一人ではできないので、この巻き込む力は重要だ。社内だけでなく、お客さんも仲間のようになって、飲み会だけではなく、週末も一緒に遊んだり、引っ越しを手伝ったりと。

営業力

マスを狙うということは、パッケージ化で決まった商品しかないし、あまりカスタマイズは個別に受けない。利益率を担保するために。なのに、提案営業をする。落とし所は決まったパッケージ商品なのに、お客さんに何か自分の会社にカスタマイズしてもらった感を出すというのがポイント。利益率はパッケージ商品のほうが高いので、そこがキモの営業力。

お客さんに迎合せず、無理なものは無理と理解してもらったりと、そこもうまいと思う。利益率を保つためや自分たちのサービスを守るためにも、何でもお客さんの言うとおりにしないという営業スタイル。条件の握りを変えたり、評価指標をすり替えたりとか、まあ色々なやり方がある。

ただ、巻き込む力とも関係してくるが、ない商品を営業マンが勝手に作って売るということもある。お客さんのCMを受注して、全く経験ないのに、外部の制作会社と一緒に作って納品したりとかはよくある話。

競合よりも悪い商品を、競合よりも高い価格で売らないといけない。だから、必然的に営業力がつく。

変われる力
営業会社だったのに、最近はエンジニアとかの採用に注力している。地方、あほう、貧乏の3ホウといって、コンプレックス含めたハングリー精神のある人を採用していたが、最近は真逆のエンジニアをとったり。

組織の改変とか人事もコロコロ変わったりする。だから、オフィスもよく変わるw。よく変わるなーと思ったりもするが、社会はものすごいスピードで変わっているので、この変わり続けるのが習慣化しているのはすごい。

一番わかりやすく、この風土を作り上げていることは、コロコロ組織を変えるというのが、変われる力の根底を支えているかもしれない。

大きく変えまくる

それが当たり前に。

変化に慣れる。麻痺する。

変化に対応できる人、組織にしている。

ミッションオリエンテッド
 達成意欲が強い人が多い。これは営業会社だからなのかもしれないが、目標は達成するものという文化。

半年ごとに一人ひとりのミッションがあり、その達成基準も決まる。それに向けて半年ほど仕事に没頭する。一方で、ミッションオリエンテッドになりすぎて、ミッション以外のことをやらないという人がでてくる弊害もあったりする。

人事制度
いろいろな人事制度があるが、ここはリクルートの文化を作っている源泉であり、強みの根源であると思う。人事制度は文化を作ると学んだ事が多い。人事部にいたことはないが、評価される側でも評価する側でも制度に触れてみて。

6つのスキルと4つのスタンス。

◆4つのスタンス
 ・圧倒的な当事者意識
 ・考え抜く力・やり抜く力
 ・広く・深く学び続ける姿勢
 ・チームとしての共同を追求する姿勢

◆6つのスキル
 ・見立てる力:構造で捉え俯瞰してみる力
 ・見立てる力:分析的に捉え問題を特定する力
 ・仕立てる力:筋の良い仮説を立てる力
 ・仕立てる力:プロセスを作り込む力
 ・動かす力:ビジョンを打ち出す力
 ・動かす力:人を理解し統率する力

https://jinjibu.jp/article/detl/tonari/1126/

引き上げる力
けっこうな抜擢人事は多い。立場が人を育てることも多々あるからだ。優秀賞でポテンシャルがあると認められると抜擢される。もちろん人事なんで、本当にフラットかというと、好き嫌いとかあるなーと純粋に思うが、不公平感が出ても大きな組織には抜擢人事が有効だと思う。

WCMシート
Will,Can,Mustの略。半期ごと評価なのだが、期初に個人の望むキャリアとしてのWill、そして今できることできないことのSkillをCanで会話する。それらと事業の方針と合わせて、この半期はどんなミッションをやってもらうかというMustを決めてすり合わせる。この時に、ミッションごとの比重や達成基準も決める。あとは、これに基づいて働いて3ヶ月で中間振り返り、半年後に結果の評価を振り返るという流れ。いい制度だなと思うが、新規事業とかスピードのある組織には向かない面も多いと思う。

グレード制
スキルとか担当する業務の難易度によってグレードが決まる。このグレードは年齢では決まらず、担当業務によって決まる。が、なかなか明確な基準を作ることは難しく、属人的になっているという感じは否めない。ただ、年功序列じゃない象徴であり、やってやろうという気持ちを生み出す制度。

退職まで働かない風土づくり
退職を卒業という。今回の俺も卒業おめでとう!と祝われる。業界的に年功序列とか年齢が上だから結果が出せるわけではない。だから、若くてエネルギーがあって、優秀な人が多い方がいい。年寄りはあまりいらない。だから、若い人に魅力的に移り、年齢が上の人はいづらくなる風土や制度づくり。それが、ブラックな感じに見えないようにしている。6年半働くと退職金として年収分もらえたり、35歳から3年毎にさらに750万とか1500万が上乗せされる。これによって、自然と辞めることを考える。

東大卒でもどぶ板営業をさせる
東大卒の人にどぶ板営業をさせたりするのが当たり前なのだ。普通なら東大卒にはさせないが、優秀な人を地味な泥臭い仕事をさせることに寄って、他の人では見つけれない改善点とか見つけたりして、事業を改善できるのだ。

CV制度だけど社員と差別しない雰囲気
3年契約の社員をCV社員と呼ぶ。CareerView職という名前がまずニクイw。今はCVと言わないが、契約社員が非常に多い。CV社員だからといって日常的に差別とかは何もない。社員と同じ仕事をしていたりもする。社員は負けてられないと頑張り、CV社員は社員に勝つと頑張る。優秀なCV社員からは社員に引き抜きが行われる。

頻繁な人事異動とナレッジ共有
頻繁な人事異動が行われるが、だいたい引き継ぎなしって事が多い。いい加減で、他人のことを考えない人が多いのである。ただ、引き継ぎがないから新しい担当は短期で状況を把握して、自分で手を動かして業務の詳細を学べる。さらに新しい人が前のやり方を踏襲するのではなく、頭使ってそれぞれが改善をする。情報産業は変化が早いし、既存の方法がベストでもないので、結果的にうまく回っている。また、異動が頻繁なことに寄って他部署のナレッジが自然と広まっていく。究極に適当だけどうまく回っているナレッジマネジメント。

研修制度
オープンな研修と経営幹部を育成する研修がある。最新の各部署の事例を学べる研修とか自分のキャリアを考えるとか、営業研修とか、有名人の講演とか、組織のビジョンを語り合う研修とかいろいろある。これらはオープンで気になったものを受講する。一方で、優秀だったり結果を出した人には経営幹部候補生として特殊な研修がある。泊まりこみでケースを解いたり、アカウンティングとか、自社の改善提案をまとめる研修だったりと。まあ、人それぞれに足りない要素を学んでいって、経営幹部候補生をたくさんプールしていく。もちろん、レベルに寄ってなん段階かプールがあり、彼らにはジョブローテーションとかもして、スキルを高めていく。

表彰制度
表彰が好きな会社だ。人はなんだかんだ褒められると嬉しい。自分の努力を見てもらっていたのだと思えるとうれしい。次も頑張ろうというエネルギーになる。そして、かっこ良く表彰することに寄って、表彰されなかった人が次は自分が表彰されると頑張る動機になる。表彰者をヒーローに仕立てて何千人も集まるホテルのステージでタキシードとか着せて表彰する。ムービーも作ってくれて、お客さんからのコメントが流れたりとか、けっこう気合が入っている。もちろんお金ももらえたり、海外旅行がもらえたり。俺も表彰されたけど、いいもんだ笑

そんな表彰だけれど、自分で自分をアピールして受賞する表彰と、組織が褒める表彰がある。これは面白いなと思う。営業、企画どちらも自分をアピールするものと組織に評価されるものがある。組織に表彰されなくても、自ら表彰してくれ俺はすごいんだと言って表彰されるのだ。こういう自分で表彰してと手を上げる人は承認欲求が強く、踊らせて使うのが簡単だから、そのスクリーニングにはいいと思う。もちろん、承認欲求が強く表彰されると次も頑張るし。

NEWRING

日常業務で新しいビジネスアイディアを考える習慣をつけること。これがあるから、日々の仕事に希望がもてる人も多いと思う。今がつらくても人間は未来に対して希望があれば頑張れる。そして、自分の意志とか自分が選択できるというのが、人間の心の満足にとって重要。これを体現するのがNEWRINGという新規ビジネスプランコンテスト。日々の生活で結果が出せなくても、いい新規ビジネスアイディアを出して、審査に通過すればそのビジネスの代表として自分ができるという希望。

もちろん、会社としても常に新規ビジネスを作っていかなければならない。経営戦略としてこのビジネスドメインでこんなビジネスを作るという意思決定もあるが、それだけでは足りないので社員がどんどんビジネスアイデアを出すのは組織的メリットも非常に大きい。

社員持株会

社員持株会で、あんなに得をした人が多い会社も少ないと思う。けっこうな割合(最大の株主が社員持株会)をもっていて、順調に会社が成長したから、未上場でも基準株価が上がりつづけ、2014年に時価総額2兆円で上場。俺はそのメリットを享受できなかったが、1990年代に入った人までは、けっこう持ち株がいいエネルギーになったんじゃないかな。自分が頑張れば、株価も上がるわけだし。

これらは、けっこう奇跡だと思う。ものすごいオーナー経営者がいて引っ張っていっているわけでもなく、もともと紙の会社なのにウェブへの移行が成功し、参入障壁は低い領域で既得権益もないのに高い利益率を出し成長し続けている。

パッと思いつくだけだが、こんなことを学んで、こんなことが強みの会社。じゃあ、何が弱みなのだろうか。弱みもたくさんあるけれど、これはまたいつか。

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