阿佐ヶ谷と言う町に、
ワンという中華料理屋がある。
南阿佐ヶ谷駅からすぐにあるけれど、
2階と言う立地から馴染みのお客さんが多く通う。
この店を知ったのは2年ぐらい前のこと。
1階の階段あたりにあった地味な黒板を見て、
阿佐ヶ谷に引っ越して来たばかりの友達と入った。
店主のワンさんの笑顔、気だての良さ、そしてひたむきさ。
もちろん、料理の味は抜群で、どんな料理もうまい。
青椒肉絲、餃子、ピクルス、チャーハン。
いつもこの店に来ると食べ過ぎてしまうほど。
そして、お会計をすると、ビックリするほど安い。
申し訳ない気持になるほど。
ランチも営業し、夜中の2時まで店を開ける。
一生懸命に、本当に一生懸命に店を切り盛りするワンさん。
そんな、ワンさんが中国の福建省に戻ると言う。
そして、今日がワンさんの味を楽しめる最後の日。
9時前に店に行ったときは、お客さんで溢れかっていた。
ちょうど、お客さんが帰る所で、僕たち四人は席に着いた。
今日もうまい料理が次から次へと。
みんな、底なしのように食べ続ける。
お客さんは入れ替わり立ち替わり。
帰って行くお客さんは、
ワンさんにプレゼントを渡したり、
抱き合ったり、
写真を一緒に撮ったり、
連絡先を交換したり、
ケーキをプレゼントしたり。
それぞれの形で、気持を伝えていた。
ワンさんは皆から愛されていた。
それは、ワンさんの人柄。
お客さんにおいしい料理を、
お腹いっぱいに、
心地よい空間で、
安く、
食べてほしい。
そんなワンさんの思いが詰まったお店。
最後の日は、食事も飲み物も常連さんに無料でサービスするというのも、
ワンさんのお客さんを本当に思う気持が表れていたのだろう。
今日のワンさんを見ていて、
本当にみんなから愛されるということを知った気がした。
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