日別アーカイブ: 2007/10/6 土曜日

生物学者長沼毅

茂木さんのプロフェッショナルを見た。
ほとんど見たことなかったのだが、茂木さんのブログに今回は面白いと書いてあった。
茂木さんと普段話している時の感情表現をしっているので、
今回の番組は茂木さんが本当に面白いと思っているなと感じた。

で、長沼さん。
生命の起源を探ろうと、北極やグリーンランド、カザンなどをフィールドとして研究している生物学者。

思い込みを捨て、思い付きを拾う
「思いこみすると、何かを得るチャンスを減らしちゃう。直観が支えているのに、最初に決めた事しかやらないと、大事な事を見落としちゃう。これがもったいない。」

高い山こそゆっくり登れ
長沼は、仕事の間でも楽しむことを意識的に行う。調査で見つけたお湯が沸く場所は、自らスコップで堀り、温泉にして入った。 長沼が挑むのは、「生命の起源」という壮大な謎。一生かけても解けないかもしれない科学界最大の謎の一つだ。一生をかける仕事では、力が入りすぎていては、とてももたない。肩の力を抜き、リラックスして楽しむ事が、長く仕事を続け、高みにたどり着けると信じる。

空振りは思い切り触れ
これまでの成功例にあてはめても、今回は全く生命の気配が感じられない・・・。調査は失敗かと思われた瞬間、長沼は、これまででは考えられないような、大きな条件の変更を試す。全くあり得ないと思われる条件でも、とにかくやってみる。それが真実をあぶり出す唯一の方法だ。

「やはり仕事をしていくと、行き詰ったり方向を失ったりするんですよ。そのときに原点に返る、そういう原点を持っている人がプロだと思いますよ。」

 http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070918/index.html

 

 

長沼さんは、現時点で、この宇宙に生命が生まれたこと自体、
偶然じゃなくて必然だったのではないかと考えているそうだ。
そして、その宇宙に生まれて、自分がそのことを研究する生物学者になったことも、
偶然じゃなくて、必然だったとも言い切る。
なんだか、どきっとした。
自分の今やっていることを「必然」と思える人は、いったいどれだけいるだろう。
逆に、「必然」と思えることを、ちゃんと選んできているか・・・?
そんなことが頭をよぎる。

長沼さんが使ったことばで、心にぐぐっと来たものがある。
「幸せのセンス」。
大人になってなにかを追っていると、
途中で、最初に追っていたものを見失うことがある。
結果を出さなくちゃ、周りに認められなくちゃ、プライドを守らなくちゃ・・・
いろんなことに埋もれて、自分の原点の気持ちを忘れていると
幸せのセンスを失うと言う。
あぁぁ、「幸せのセンス」のあるオトナになりたいものだわ。

すみきちブログより

http://www.nhk.or.jp/professional-blog/100/4669.html#more

 

 原点を忘れなければ、仕事は楽しめる

 長沼毅さんは、生命の起源を研究されている科学者だ。極地や深海など、世界の辺境まで調査で足を伸ばし、その研究成果で世界的に注目されている。僕は様々な分野の数多くの科学者と対談しているが、長沼さんはピカイチだと思う。

 とにかく実に楽しそうに仕事をする。「楽に楽しく仕事をする」とは、手抜きをすることではない。

 そんな長沼さんにも、成果が出ないで徹底的に苦しみぬいた日々があった。若い頃は1日に1時間も自宅で眠れないような多忙な時期が続き、とうとう体を壊してしまう。 そこを突き抜けて、吹っ切れて今のようにまでなるのはかなり大変なことだったはずだ。そこで押しつぶされてしまう人もいる。つぶされないで、仕事を楽しめるようになる秘訣は、まず自分の弱さ、弱点をあえて否定したり無視したりするのではなく、それを受け入れるところにあった。

 自分の弱さが無くなったわけではなく、弱さを受け入れることができるようになった。変わるといっても人間は根本が変わるわけではない。変わらない自分との付き合い方が変わる。

 もう1つのポイントは、原点を忘れなければ、仕事を楽しむことができるということだ。誰にでも、最初にその仕事を始めた理由、志した理由があるはずだ。それを忘れてしまうと細かいことが気になって、仕事が苦しいことだと思ってしまう。原点を忘れないで、自分の大きな目標を忘れないでいれば、その苦労も喜びに変わる。

 長沼さんの原点は、「研究が好きだ」ということだ。小学生のころに抱いた疑問が今も同じように不思議だと思い続けている。

成功体験が重要だと、長沼さんは言う。若い頃は成功体験が少ないから、必死になるのは当たり前で、力を入れるとその部分しか考えられなくなる。力を抜くことでほかの事が見えるようになるのも成功体験があればこそだという。

 これは脳科学の立場から、我々が導き出している命題とまったく同じことを言っている。ドーパミンの強化学習というのも成功体験によって成り立つ。また、長沼さんが言う「思い込みを捨てて思いつきを拾う」という、無意識の領域にデータに投げ込んで、そこから上がってくるひらめきを待つというやりかたも、まさに創造性の脳のメカニズムから考えるときわめて理にかなった話だった。

 日本では、楽しく仕事をしているように見える人をねたんだり、足を引っ張ったりする傾向がある。楽しく仕事をしている人のところには、他の人も集まってくるし、成果も上がっていく。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20070913/134758/?P=1