【地球の裏のその先へ8】元気が戻り悔しさだけの病室

【地球の裏のその先へ7】突然の終わり。救急ヘリそして入院

夜中に2、3度目をさまし、尿瓶におしっこをした。点滴をずっと受けているから、飲み物はほとんど飲んでいないけど、おしっこが出るのだろう。睡眠時間とかも不規則だったが、久しぶりにしっかり寝て、疲れが抜けている気がした。でも、朝起きると、病室のベッドの上。

かなり回復してきており、ヘリで運ばれてから初めて自分で歩いた。行き先はトイレ。こうなると、やることがない。もう寝れないし、ベッドの上で周囲を観察するぐらい。ヘリに乗るときに詰めてもらったザックを開けた。それまでは、ザックを開ける気力すらなかったのだが、ついに元気になり。

スマホで今の心境をメモったり、どうすれば退院できるか、退院してからどんな流れで荷物を取って、宿を探して、その後はどこに旅に行くか。いろいろ考え始めた。でも、一番気になるのは山にいる仲間のことだった。今日は高度順応かな?それとも荷揚げかな?全員元気かな?天気はどうかな?とかとか。なんでみんなが山にいるのに、俺だけここにいるんだろう。そんな気持ちにも苛まれた。そう考え始めると悔しくて悔しくて、遣り切れなくて。ベッドのシーツを握りしめた。

朝食がやってきた。ビスケット数枚と紅茶のみ。ひもじいが、そんなに食べる気にもならず。窓から朝の涼しい風が入り込み、カーテンがひらひらと揺れている。ベッドの上からただ、それを眺めていた。この動きはどんな法則があるのだろうかと、無意味な想像を膨らませながら。

看護婦さんや若いドクターが出入りする。夜勤の方々との交代もありつつ、病室の病人もころころと入れ替わる。空きのベッドが少ないのだろうか。面会にくる家族や親戚も増えてきて、今日は何曜日だろうと考えながら。でも、やることがない。暇で暇でしかたない。早く退院したい。

すると、いかにもできそうな顔をした女医さんがきた。若手のドクターを引き連れて。これが総回診か!日本もアルゼンチンも同じ仕組みか?若手ドクターがそれぞれの患者の説明をしていく。そしてボス女医さんが聴診器を当てる。ついに俺の番がまわってきた。頼むからOKだしてくれ。そう祈りながら。しかし、完璧に治ってない。まだ、肺に水がたまってるとのこと。チーン。

点滴と酸素吸入が再び新しいものに取り替えられた。。。先は長そうだ。そして、看護婦さんに身寄りの人はいるかと聞かれた。仲間と山に登りにきたけど、みんなまだ山の中だし、メンドーサの町に友達や家族なんかいないよと。でも、身寄りの人がいないと退院できなそうな空気だったので、1軒目の病院で通訳をしてくれた登山ガイドさんがくれた、メンドーサ在住日本人の電話番号のメモを見せた。どんな関係かと聞かれて、会ったことないけど紹介してもらったといったら、それじゃダメだと。。。

送信者 Aconcagua&Patagonia

元気になると悔しさが生まれてくる。そんな悔しさに全身を包まれながら、一方でヘリで助けてもらえて本当にありがたかったという気持ちを抱きながら、ただひたすら時間が流れるのをまった。やり過ごした。昼食はいつもと同じ、鳥の丸焼き。もちろん味なしが出てきて、ほとんど残した。午後になっていく。早く退院したい。そうしないと暗くなってから放り出されても宿探しも大変だし、襲われたりするリスクも高まる。退院するなら明るいうちに、できないなら翌朝にと思っていた。そもそも自分がなんという病院にいて、どこに所在しているかも知らないのだから、不安でしかない。

夕方になり、再度病状チェック。ついにOKがでた。しかし、もう夕方早く宿を見つけたりしなければ。とりあえず、退院して病院を出る。退院はあっさりだった。特に手続きもなく。タクシーを見つけて、とりあえず登山前に泊まっていた宿まで連れて行ってもらう。しかし、満室。なんでこうなるのか。という嘆き。次どうしようと考える考える。ぐるぐる考える。

送信者 Aconcagua&Patagonia

まずは、wifiにつないで、山の仲間からの連絡を見た。荷物は登山エージェントであるアイマラ(アコンカグアトレック)オフィスに届く予定だった。まずは、荷物を受け取ろうと思い、再びタクシーに。しかし、厳密に場所を覚えていない。しまった。近くの公園は覚えていないので、そこを告げて出発。しかし、まったく違うところで降ろされた。ここが公園だと。もうひとつないか?と聞くがここだと。らちがあかず、降りることに。そして、町の人に聞きながら。

方向は分かったので、歩き出した。住宅街を歩いていると、怪しい2人組の兄ちゃんがこっちを見ている。あ、狙われてる。そう感じた。旅をしている者の直感だ。まずいから、適度に振り返り牽制しながら、早歩きで差を広げる。もちろん、着いてくる。あとは、ダッシュ。しかし、肺水腫で心肺機能が衰えていることにダッシュして気づく。走れない。。。どうしようと思ったときに、横をタクシーが通った。飛び乗った。セーフ。

そして、公園まで連れて行ってもらった。ここは、観光局があり、パーミットを取ったところ。観光案内所で登山エージェントの場所を聞き以降としたら、同様の午後と日曜は休みと。。。マジで。でも、とりあえず行ってみると、やはり休み。これはまずい。何もすることのないメンドーサの町で一人2日間もぼーっとするのか。つらすぎる。安宿があるエリアを聞き、そこを目指した。

送信者 Aconcagua&Patagonia

安宿があり、宿泊。普段ならドミトリーでいいのに、なぜかその気にならずシングルにした。何も食べる気にならず、外に出ても店もないので、フロントでスプライトの大きいやつを買い、それだけ飲んで寝た。疲れていたのかあっと言う間に眠りについていた。

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