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涙で始まる朝

前回までの小笠原旅日記はコチラ「イルカよ、クジラよ、ウミガメよ。」

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朝、目を覚ますと、今日も空は高く爽やかな風が流れていた。歯を磨き、朝食まで1時間あまり外をブラブラすることにした。島の朝は心地よい。爽やかな朝の空気が体中にゆき渡り、体が軽やかになっていく。すると、昨夜に続いて浜でウミガメが産卵しているという話しを聞く。おかしい。ウミガメは普通夜の間に産卵して、海へと帰っていくはずである。時間を間違ってしまったウミガメなのだろうか、海洋センター前の大村海岸まで歩く。

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すると、母ガメが穴を掘り産卵しているところだった。こんな明るい時間に産卵とは、どうしたのだろうか。産卵中は無防備だから他の動物から見つかりづらい夜を選ぶはずだ。この母カメは、何か落ち着かない様子で、産卵し回りを気にしているようだった。でも、自分が危険にさらされることよりも、次の命へとつなぐために授かった卵をしっかりと孵すことをまっとうしようとしている様に映った。

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彼女はうなるような低い声を出しながら、涙を流していた。一筋の涙と言うよりは、苦しさをなんとか耐えている涙。どうしてもやり遂げなければならないことを、なんとか成し遂げようと全身全霊をかけているようだった。目の粘膜が解けているのではないのかと思う程の粘り気のある涙が少しずつ止めどなく流れていた。そんな姿を見て、母性の子孫を残すことへの本能的な執着心を感じた。そして、昔、思ったことを思い出した。お産は冒険だと言うことを。

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彼女は空が明るくなってしまったことを強く後悔するかのように、落ち着かない様子で両足で卵に砂をかけ、急ぎ足で海へと帰っていった。

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7時30分に朝食を食べ、今日はsea-tacというマリンショップのドルフィンスイムツアーに参加する。昨日のように荷物を準備して、コンタクトをつけて、出陣。今日も出港するとすぐにイルカに遭遇した。本当に運がいい。そして、小笠原にはイルカが多い。昨日すでにイルカと泳いでいるので、感覚は掴めている。初めての日よりも、一日寝かせてまたやるとその暗黙値が体にしみ込んでいる。そっと海に入り、イルカに寄り添って泳ぐ。彼らを驚かせないように、ゆっくりと近づき、目でお互いに合図をして泳ぐ。

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やはりイルカと人間はコミュニケーションできるんじゃないかと思う程。イルカは楽しそうにじゃれ合って泳いでいる。僕の真後ろに回って、僕を挟むようにして3頭のイルカがすり抜けていく。一瞬ヒヤッと怖さも感じたが、ただ彼らはじゃれているだけだ。僕も身構えずにいるとまた一緒に泳いだ。しばらくすると、彼らは飽きてしまったのか、かるーく尾びれをキックして遠くへと泳いでいった。

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次のイルカを探しながら船でさまよっていると、イルカの群れがやってきた。次の種類のイルカは一緒に泳げないので船の上から見ているだけ。けれど、かれらも人懐っこく船の真横について並走したり、船の下をくぐってみたりと遊んでいる。その後、またイルカが現れ、海の中へ。次のイルカは人間に対して特に意識することなく自分たちの海の世界を過ごしていた。人間を恐れることもなく、興味を持つこともなく。僕はそんなイルカ達をぼんやりと水中で眺めていた。そして、惚れ惚れとした。あの、無駄のない体と泳ぎは本当に海の中を泳ぐ最も美しい生き物に見えた。

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何だかんだいって、お昼になっていた。今日も波が低いキャベツビーチに停泊して昼食。パンを食べて、水の中へ。カラフルな魚達と一緒に泳いだり、昔沈没した船の残骸を見たりして楽しんだ。ぷかぷかとぼーっとしながら海に浮かんでみたり、インストラクターの方と一緒に素潜りで潜水してみたり、水と遊んだ。別にイルカと泳ぐわけでもなく、水中写真を撮るわけでもなく、熱帯魚やサンゴを見るわけでもない。ただ、海に浮かび、リラックスして水と遊ぶ。これが最も水と親しむ方法である気がした。

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続いて南島に。昨日も上陸した本当に綺麗な島。しかし、今日は沖縄に来ていた台風の影響で海のうねりがあった。そこで、船を接岸できないと言うことで、海を泳いで南島に上陸することに。けっこううねりがあったので、ドキドキした。けれど、すぐに湾の中に入って奥へと進むので、波に流されるリスクと言うのはほとんどなかった。うなりのリズムを読みながら、岸壁へと泳いだ。こうした経験はちょっとした冒険のようなワクワク感があって楽しい。

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そして、南島を歩いた。太陽の日射しが強く、タオルで体を覆っていた。浜には子ガメの死骸があった。海まで辿り着けずに、浜でその時を迎えたのだろう。甲羅と皮膚だけ残っていた。南島を見終わるとまた、泳いで船に向かう。次はまた違う場所から泳いで船に戻る。大きなうねりの波を避け、落ち着いたところを見計らってみんなでいっせいに泳ぎはじめた。水をかきわけ、かきわけ、船のタラップに足を架ける。さて、今日の海上生活も終わり。17時前に港に戻り、宿へと帰った。いつものように水着とシュノーケルセットを洗う。

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今夜は父島最後の夜。明日の朝に母島へと渡るのだ。最後だし、夕日を見に行こうと思い、宿からあるいて30分程の高台にあるウェザーステーションへ。登っていくと、本当に眺めのいい場所に三日月山展望台が作られていた。人気のスポットらしく、たくさんの人が集まってきていた。良さそうな場所を確保して、音楽を聴きながら、暮れ行く時間を過ごした。陽光が海の上に真っすぐな道を造っていた。その道の先に太陽が沈んでいった。沈む瞬間に緑色に光るグリーンフラッシュを期待したが、今日はお預けだった。母島では毎日グリーンフラッシュを求めて、夕日を眺めようと思った。

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宿へと戻り、夕食。一階の狭い食堂で、おかずとご飯をお盆にのせ、ひとり夕食をとった。網戸の先からは虫の声が聞こえてきた。食べ終わり、今日は盆踊りの練習があると言うことで公園に。父島では毎年の盆踊りが有名で、島民が1年間で最も楽しみにしている行事のようだった。花火もあがるし、最終日にはアンコールがかかるほど。そんなに盛り上がる盆踊りだから練習もある。こりゃすごい。本番の日には母島にいるため、参加できない。そこで、練習だけでもと思い、足を運んだ。小さな子どもから、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、そして毎年夏に小笠原に来ている旅人、みんな真剣に練習をしていた。本当に盆踊りがこの島に根付いている、そして真剣に取り組んでいるんだなーと実感。

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練習が終わると、同宿の旅人と飲みに行くことに。最後の日だしと言うことで、4、5人で連れ立った。小笠原では地元の酒を造ろうとラム酒を作っている。試しに飲んでみた。特別な味と言う気もしなかったが、やはり旅先ではその土地の物を飲み食いすると、ああ、来たんだなと実感する。その時は感じなくても、何年かたった後に、同じ匂いを嗅いで旅の出来事を思い出すことが有る。五感の記憶はそうやって蘇り、日々の生活にちょっとした喜びを与えてくれる。

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2人は帰り、残った3人で青灯台という浜の近くの公園で続きを。小笠原の空の下で、偶然同い年だった男3人いろいろなことを語った。ああ、旅をこれからもするだろう、そんな風に思いながら夜は更けていった。

絵日記の中の夏休み in 湖畔の原始感覚美術展

芸大に潜っていた頃の友達である杉原さん@阿佐ヶ谷が中心となって長野の木崎湖で展示をしているので行ってきた。この展示には他の芸大時代の友達や阿佐ヶ谷友達である本郷さんも参加している。

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日曜日の朝4時に阿佐ヶ谷友達かつ水泳仲間であるごうさんと出発。前日の夜にレンタカーを借りていてくれた。感謝。カーナビを頼りに迷いながら長野を目指す。いつものように陽気な2人は、CDをかけながら大熱唱&替え歌大会。途中の湯の丸SAでごうさんの高校時代の水泳部仲間(まどっぺさん)も参加。彼女は現在長野に住んでいると言うことで、ここから参加。まどっぺさんは初めて会ったとは思えないほどで、楽しい3人の夏休みが始まった。

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今回の展示は「湖畔の原始感覚美術展」というタイトルだ。このタイトルからして非常に興味がある。さらに、会場である木崎湖は2年程前に訪れて田植えをしたり、山菜採りをした。そして、湖が山に囲まれた落ち着く場所だったのでとても楽しみだった。

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木崎湖に着くと、杉原さんのお父さんがちょうどいらっしゃった。西丸震哉 記念館の前にある杉原さんの作品について話しを聞く。この作品を作るとき、ちょうど土の中から土器などが見つかったと言う。今回の展示のテーマでもある原始感覚というキーワードと重なり合う運命のような気がした。

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木で作った竪穴式住居の様である。ここでは宿泊も出来るようで、昨日も泊まった人がいたらしい。こういった経験は現代社会に生きる我々に、プリミティブな太古からの記憶を呼び覚ますきっかけになるような気がする。それから記念館の中を見学し、浅井裕介さんの作品を見る。壁画と和室の天井とふすまに書かれた土の絵は素晴らしかった。原始的な人間の本能が漲っている絵が描かれているような力強さを感じた。

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さて、今回の展示は木崎湖畔のいろいろなところに作品がある。最初は車で移動しようとしたのだけれど、サイクリングをしながら1周して作品を見ることにした。この選択が大正解。天気も良く湖畔を風を切って自転車で走るのはとても気持よかった。3人でルンルン気分。

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3人とも人間の持っている感覚を大切にしている性格だったし、自然が好きだし、無邪気に楽しむタイプだったので、まるで小学生が夏休みの合宿に着た時のようだった。田んぼの中の1本道を走り、絵日記の中の夏休みのようだった。

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そして虹の家に到着。ここは古い蔵。本郷さんがせっせと片付けをして綺麗にしたようだった。蔵の扉を開けて電気をつける。ヒンヤリとした空気が漂い、暑い外とは別世界の気がした。急な階段を上るとそこには何点かの写真が展示されていた。東京近郊の沢で撮影した写真と木崎湖周辺で撮影した水辺の写真。どの写真にも水のもつ美しさ、輝きが表現されていた。水って偉大だなと思える作品だった。そして、展示されている空間とマッチしており、最高の展示だった。越後つまりトリエンナーレに何年か前に行った時に、蔵の2階にある展示を見た。あの時も、独特の空気感を感じ非常に心打たれたが、今回も同様だった。

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それから芸大時代の友達である蓮沼さんの自画像の作品を見る。鏡がたくさん置かれており、それに従っていくといつの間にか一周していた。そして結果的に自分の顔を見ていた。

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暑い。そして昼になり腹が減った。するとまどっぺさんが3つリンゴを取り出してくれた。近所のおじちゃんから初物のリンゴをもらってきてくれたらしい。素敵だ。3人でリンゴにかぶりつく。うまい。瑞々しさが溜まらない。体にリンゴの汁が染み渡る。食べること、生きること、そんな原始感覚をこんな所でも味わう。

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それからキャンプ場の展示を見て、ゆーぷる木崎湖という温泉施設へ。まずは食べる。そして、本郷さんの喜望峰から日本に自転車で帰った時の展示を見る。砂漠の写真と最後にオアシスから水が湧き出る写真。非常にこの場を上手くつかった展示だった。温泉に入り、また木崎湖畔を自転車で走り、記念館に。ちょうど木崎湖1週の夏休みが終わった。

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帰りは渋滞などもあったけれど、いろいろな話しが出来てとても満たされた絵日記の中の夏休みのような1日だった。木崎湖はまた訪れたいと思う、素敵な場所だった。またひとつ、戻ってきたいと思えるような素敵な場所を見つけた気がした。

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小笠原の動画(イルカと戯れるシーンなど)

水中で撮影するために10mまで潜れるコンデジを買ったので、その機能を活かして動画にしてみました。

しかし、ブレてるなー。特にイルカと一緒に泳ぎながら、ブレずに撮影するのって難しかった。さらに、2頭のイルカが空中を何度もスピンジャンプする時やマンタの時は興奮して撮影できなかった。まあ、目で楽しんだからよし。

今回初めて撮影してみて水中写真にハマっている人の理由が分かった。あの難しさが楽しい。そして、うまく撮影できたときの喜び。同様に動画も面白い。

BGMは南米を旅している時に路上で売っていたCDをテキトウに買ったもの。タイトルも歌手も分からないけれど、このリズムとノリが好きでたまに聞いている。おが丸のデッキで海を眺めている時に、iPodからこの曲が偶然に流れはじめて、旅気分が高揚したのでBGMに使いました。

ちなみにイルカは1分20秒ぐらいからです。前振りが長くて良くなかったと反省。テーマを絞って作る必要があるな~。

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船旅は魔法にかかったように。

前回までの旅日記「6日前に始まったBonin Islandsへの旅」はこちら。

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大きな船にゆられて、どこかの島へと向かっている。
人生において、こんな時間ほど穏やかで満たされる時間はないと思う。

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大きなフェリーであれば、食べることにも寝ることにも困らない。
もちろん、確率論的に命の危険も限りなく少ない。
生命の安全を確約された中にいる。
でも島に向かって移動しつづけている、何か意味のあることをしているという免罪符。
自分は何もせず、船が動いているだけなのに。

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そして、船からはいつもどこまでも続く大海原が見える。
潮風と太陽を浴びる。
そんな美しい風景に包まれる。
音楽を聴いて歌ってもいいし、デッキで寝ても良いし、好きな本を読んでもいい。
夕方になれば夕日を見て、夜になれば星空を、また朝になれば日の出を。

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こんな心が解き放たれ、美しい世界と向き合える時間は魔法にかかったようなひとときだ。

そう、翌朝に目を覚ましても、もちろん海の上、そして陸に着いても海の中にいた。
海に向かって、おはよう。そして、父島にはじめまして。

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25時間40分の時を経て小笠原に到着した。そう、その前に船内見学をさせてもらった。操縦室とエンジンルームの2つを。操縦室はやはり気持がいい。飛行機のコックピットのように、真正面の視界には青い海が拓けている。舵があったり、いろいろな機器、そして海図が広げられている。この時代だから新大陸を見つける航海なんてありえないけれど、船乗りでない僕に取っては、操縦室は新大陸を発見するための場所に感じられた。そして、エンジンルームは55度という暑さ。

送信者 小笠原
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トビウオとカツオドリに出迎えられて、父島に到着した。25時間40分と聞くと長い船旅のように感じるが、あっという間の航海だった。もっと長くてもいいと思える程に。さて、船から降りると「南国荘」と書かれたプラカードをもったおじちゃんがいた。そう、3日間お世話になる宿だ。同宿の数名と車に乗って宿まで3分。7人ぐらいの相部屋に荷物を置いて、その中の1人と昼飯を食いに出かけた。同い年で東京で働く旅人だった。島魚の漬け丼を食べる。なかなかの美味。そして彼と別れ、PAPAYAというマリンショップへ。明日のマッコウクジラ&父島一周ツアーの予約。支払い(1万円)を済ませ、明日の集合時間(8時30分)と場所を確認した。

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