日別アーカイブ: 2019/3/17 日曜日

Rwenzori6 沼と雹のはじまり

朝起きると晴れていた。ひんやりした風が心地よい。山の中だなって感じの朝を迎えて、気分がよい。トーストと目玉焼き、ポテト、ソーセージの朝ごはんを食べ、お湯とランチボックスをもらう。

二日目からはラバーブーツ(長靴)だよと言われていたが初日は普通のトレイルだったので、そんなに沼なんてあるのかなって思って出発した。今回は日本野鳥の会の長靴が良いという噂を聞いて、持ってきたのだ。確かに履きやすいし、膝下まである。一番の利点はコンパクトに折り畳めること。

歩き始めてしばらくすると、ぬかるみが、その先に小さな滝が流れていた。晴れていたと思ったが、いつのまにか雲が上がってきてガスってきた。ぬかるみのパートも増えてきて、時折ラバーブーツが沈み込むほどの沼もあらわれてきた。できるだけ避けようと、トレイルの脇を歩いたりと。

この日もポーターは別行動。20メートル前後をずっと歩いているというのは嘘だった。が、2日目なのでその前提で自分のザックに必要なものは入れてきた。

標高を上げ、下げ、また上げ。どんどん山深くなっていくと、生態系も変わってきてジャイアントロベリア、サナシオなどいかにも異国感ただよう植生になってきた。今まで見たことのない植物に気持ちも高ぶる。フラットな湿地帯には木道があったり、はしごがあったりと変化に飛んでいて歩いていてもあきない世界。

チャンスを見てドローンを飛ばし、ランチを食べる。今日もサンドイッチとマンゴージュース、バナナとりんごがついた。果物はいつまで出るのだろうかと素朴な疑問を持った。

また歩き始めると、沼地はどんどんひどくなっていく。こんなところ本当にルートなのだろうかと思うほど、ぐちゃぐちゃだ。少しでも避けるため、遠回りをしたり、草の根っこを転々と飛び跳ねるので、スピードが遅くなる。ストックを持っていて助かった。距離は進んでいないのに、足が埋もれてしまわないように、転んでしまわないように神経をつかった。

夕方になると、いきなり雹(ひょう)が降ってきた。それも粒が大きく大量で、痛いほど。ここまですごい雹が降るなんて。雨の多い山だとは聞いていたのでついに来たという感じだが、雹だしすぐに止むと思ったのと、時間的に小屋も近いと考えレインウェアは着なかった。

しかし、雹はやまない。。小屋もつかない。レインウェアを着るタイミングを逃してしまった。ズボンがずぶ濡れ、水が染みていき長靴の中もずぶ濡れ、もちろん靴下も。かなり冷え切っているので乾くか心配だった。標高を上げるのに、濡れていると体を冷やすから。

雹の中、モーゼスが数百メートルは離れた岩にライカがいるよと教えてくれた。よく見つけるなと驚く。しかし、びしょ濡れで、もう、どうでもよかった。でも、ガイドさんたちは、破れたビニールのポンチョや、街着のウィンドブレーカーだけ。いったいどれだけ強いんだと思う。

びしょ濡れになってBUGATA CAMPに到着。そのころにはほぼみぞれになり、やみかけていた。ありがたいことに、今夜も複数のお客さんがいたけれど、1つの小屋を4人で貸し切れた。さらに、ストーブがある小屋があったので、必死で長靴やウェアを乾かした。ずっとストーブの横に居座って。もちろん、紅茶もたくさん飲み続けた。

雨がやみ、景色が見れたので景色も楽しむ。それにしても山深い。夜はチキンシチューライス。たっぷり食べて、すぐに寝ることに。ウェアはストーブの部屋にかけて寝た。隙間風が吹き込むテントだった。明日晴れることを願いつつ。

今後おめでとうと言われない人生

せつないけど、そうなのかもなと。思った。

結婚して子供がいると、おめでとうといわれる。
結婚しておめでとう、子供が生まれておめでとう、子供の誕生日や入園卒園で大学入学でおめでとう。

一方、仕事でおめでとうと周囲から言われるのは、社長になるとか、上場するとか、教授になるとか、機会としてはすべての人に訪れるわけではなくレアだ。

あとは、趣味。スポーツなどの大会に出る趣味であれば優勝したらおめでとうと言われるが、それ以外の趣味では楽しむことはできても、おめでとうとは言われない。

人生とは、ちゃんと考えられていて、ありきたりかもしれないけど結婚して子供を生んで育ててというまあ、よくある人生のステップ。この道を歩んでいると気づかないけど、この道を歩んでないと、そこから得られる感情を得られないのだ。

それは、思っているよりも人間が求めている感情であるんだなと、つくづく思った。昔から続いている習慣というか、それには気づいていない人生において副次的効果というか、必要不可欠な要素があるんだな。

そもそも、未来の感情って想像しても、その状況におかれないと分からない。でも、時間は逆再生できない。だから、ある物事の真価がわからなくても、一般的に昔から続いてきたことならそのレールに乗るということも重要なのかもしれない。もちろん、2択で絶対にどちらかしか選択できないとか、そういった選択は違うかもしれないが、あれもこれもとどちらもできるようなことであれば、とりあえずやってみる精神は重要で、あとから振り返ってその判断に感謝することが多いんだろう。

20年来の友達が東大准教授に就任したお祝いを当時の仲間としていて、その時聞いたひとことが印象に残った。

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おとなになって走り始める人がいる、それは努力が結果に結びやすいから、報われるから、そんなことを昔書いたことがあるが、それとも似ている気がする。

報われると同時に自分に言い訳できないこと。