月別アーカイブ: 2016年11月

飽きがこない

飽き性か否かと言われれば飽き性だと思う。
せっかちでもある。
そんな性格だ。

でも、ずっと見ていても飽きがこない。
飽きるということすら、頭の片隅にもなく、飽きないねと言われて気がついた。
いつのまにか、ずっと立ちっぱなしで何時間も見ていた。

普段は飽き性で、大好きな山も旅もできるだけ新しいところに行く。

赤ん坊は動くし大人より顔は変わるが、話せるわけでもない。寝てるかボーッとしてるか泣いてる。

なのに飽きない。

不思議だ。大人はどんな美人やイケメンでも3日で飽きるというほど。

これは、不思議で、単純に親のこころの持ちようというか、心の前提の違いな気がするのだが。
自分を見ているように、赤ん坊は自分の鏡のようだからか。自分の分身だからなのか。
もしくは、言葉を話せないからこそ、言葉でコミュニケーションできないからこそ、全身から発せられるもの全てから理解しようとしてみているのか。

うん、不思議で愛おしいものだ。

新しい世界へ

全く初めての経験だった。

長いはずなのに、あっという間の出来事だった。

同じような時間が流れるのに、なぜかそう感じない。

遮光カーテンが引かれた室内は、時間感覚を失い時の流れすら忘れていた。

そして、何もできない自分がいるのに、ここまで自分のことのように感じる不思議な感覚。

この時間を共にするなかで、女性の精神と肉体の特異さ、自分との絶対的な違いを一層強く感じ、尊敬と感謝の気持ちで溢れ出す。

未経験すぎて、今まで見たことなさすぎて、次に何が起こるか分からない。

少しの不安がありつつ、冷静に心を落ち着ける自分、それなのにどこか自分ではないという感覚が残る。

頭では分かっているのに、人の中から人が出てくるという不思議を全身で味わった。

髪の毛を見、頭を見、体を見、泣き声を聞いた時、こみ上げてくる安堵感と感謝の気持ち。

今、始まり、これからどんな時を一緒に過ごすのだろう。

そして、彼女は僕の知らない世界をどれだけ見るのだろう。

いいもんだね。

ありがとう。

父ちゃん、早口で、いろいろ話しかけちゃうけど、いろいろ気になってなんでも質問しちゃうけど、仲良くしてね。

たとえ親であっても、
子どもの心の痛みさえ本当に分かち合うことはできないのではないか。
ただひとつできることは、
いつまでも見守ってあげるということだけだ。
その限界を知ったとき、
なぜかたまらなく子どもが愛おしくなってくる。
星野道夫