【地球の裏のその先へ10】荷物との再会、メンドーサとの別れ

【地球の裏のその先へ9】メンドーサの安宿で一人もがき続けた日

やっと、やってきた月曜日。月曜日がこんなに待ち遠しかったのはいつ以来だろう。初めてに決まっている。いつもと同じ朝が、なぜかとてもまぶしく見える。登山エージェントのオフィスは10時に開くとのことだったので、ぴったりに到着するつもりで行った。そして、この1日のスケジューリングをしていた。荷物を受け取り、宿に戻り、片付け、そしてチェックアウトしてアルゼンチン航空のオフィスでチケットを買う。もう、年末でチケットは少ないし、オフィスでしか買えない。そのオフィスのオープン時間も短いと昨日に調査済み。

さあ、怒濤のようにタスクをこなすぞ。こうして、やることがあるとアコンカグアの憂鬱を忘れることができる。忘れるというか、タスクをしている間はアコンカグアの憂鬱が頭を支配することはない。気がまぎれるのだ。ただ、ザックやスタッフバッグが本当にエージェントのオフィスに届いているのか、無事に戻ってくるのかが心配だった。ヘリで降ろされてから全くコミュニケーションを取れていないし、俺の鞄をちゃんと降ろすインセンティブなんて業者にはない。土日を挟んでいるし、どこをさまよっているのか。手元に届くのか。もし、届かなかったらどうしよう。また、手ぶらでの旅か。イランみたいだなとか、思いながら。そして、登山道具が一式なくなると、再び買うことになるが、そうすると多額の出費だなとか。

とりあえず、エージェントへと向かった。期待と不安を胸に。オフィスは開いていた。事情を説明すると、ここで待っていてと言われ、電話を誰かにかけた。今、50ドル払えば、すぐにバッグを渡すわよ。そんな感じで。マジかよ。50ドルぐらい払うけど、先払いかよ。ちょっと不安w。でも、支払ってしばらくすると、一人の男性がオフィスにやってきた。ハイ、タケシぐらいのノリで。ザックは外にあるから、一緒について来いと。外の車に入っているからと。えっ、マジで?

一緒についていくと、乗用車があった。そのトランクを開けると、まぎれもなく俺のバックパックとダッフルバッグがあった。ただ、どちらも中身が少なくスカスカな印象でとんでもなく汚れていた。まあ、見た目はどうでもいい。オフィスに戻り、中を見ると亡くなっているものも少しあったが、大半は残っていた。感謝の意を伝え、タクシーに乗って宿に戻った。

送信者 Aconcagua&Patagonia

ここからはスピード勝負。午前中しかやっていないアルゼンチン航空のオフィスでチケット購入だ。すでにパタゴニアに行くことを決めていた。ネットでだいたいの金額は調べていた。メンドーサからブエノスアイレス、カラファテという便を買う。10万ぐらいかかるけれど、この際、気にしてはいられない。

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宿に戻って、荷物をダッフルバッグ1つに詰め込んだ。テルモス(水筒)には、まだベースキャンプで入れたミルクティーが残っていた。荷物をまとめてチェックアウトして、すぐにアルゼンチン航空のオフィスへ。かなり混雑していた。整理券を取り待ち。既に持っているメンドーサからブエノスアイレスのチケットをキャンセルして、新たな便を取り直して。もし、満席だったらどの便にしてとかパターンシュミレーションを繰り返す。

順番が回ってきた。空席があったようで、無事に目的のチケットが買えた。メンドーサを旅立つのは今夜。当初の予定よりかなり速い旅立ちだが致し方ない。メンドーサを離れることは、みんなを見捨てることかとも思って、心が痛んだ。でも、このままいても、やることはないし、メンドーサという町にいるのがつらかった。仲間もいつ降りてくるかは分からないし。旅立つ決心をした。

時間ができたので、町中のオープンカフェでランチ。久しぶりにしっかりとした食事をとった。食べると元気になる。少しずつ自分自身が回復しているのがわかった。月曜日でにぎやかな町を散歩しながら、時間をつぶす。宿に戻って荷物をピックアップして、空港へ行くことにした。宿の前でタクシーを捕まえて。空港に着くとやることがないので、ワインで有名なメンドーサということでぶどう畑に遊びにってみたり。

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大きな荷物を預けて、飛行機に搭乗。タラップを歩きながら、今までのことが走馬灯のように巡っていく。そして、今現在、仲間はどこにいて、どんな状況なのだろうか。登頂できたのか、天気でとどまっているのか、全員元気かな。もちろん、自分がなんでここにいるのだ。自分の軽率さと人間のレベルの低さを痛感しながら歩いていった。そして、最後にどうしても仲間を見捨てるような気がしてつらくなった。一緒に行動をともにしてくれ、僕を助けてくれた仲間を置いて一人でパタゴニアに行く。自分勝手なやつだ。そう思うと申し訳なさが。その申し訳なさもエゴなのだが。そんなことを思っていると、自然と涙がこみ上げてきた。

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飛行機はそんな感情とは関係なく、いつものように飛び立った。大きくそびえ立つ山を見ながら、落ちていく太陽を見ながらブエノスアイレスに到着した。明日朝イチの便でカラファテに飛ぶため、空港で寝ることにした。何年ぶりだろう空港の床で寝るのは。良さげな場所を見つけ、場所取り。水などを買い、山で食べる予定だったアルファ米に水を入れて、夕食とした。外では、雷が鳴り響き、稲妻が空を切り裂いていた。僕は貴重品だけ身につけ、いつの間にか寝ていた。

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