日別アーカイブ: 2011/10/4 火曜日

まるであの砂場を囲むように

かなり前のことになるけれど、書きかけで放置していたものを書き終えたのでアップ。あとは、パプアの日記を書ききれば夏の宿題も完了だ。まあ、数年前の旅日記が途中で止まっているやつがいくつかあるけれど。。。

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去年は8月の末に行った、原始感覚美術祭
今年は8/7に行くことにした。

送信者 art

8月のスケジュールで空いているのが、8/6,7と8/27,28だったので、どちらかに行こうと思っていた所、茂木さんのトークが8/7にあり、芸大の友達もみんなこの日に合わせて来ると言うことを聞いたので、俺も行くことにした。

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またもや始発電車で行くことを考えたが、ちょっと遅めで7:50に阿佐ヶ谷を出て、特急スーパーあずさで松本へ。12時過ぎに稲尾駅に到着。

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西丸震哉記念館へ歩いて行くと、外に杉原さんがいた。竪穴式住居が雨で湿ってしまったので、中で火をたいて乾かしている所だった。ついでなので中へ入る。なかなか煙たかったが、天井の穴から差し込む光が美しかった。

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西丸震哉記念館でカレーをいただく。ナンがうまかった。蓮沼さんが通りかかったので、少し話した。それから、葦の船に乗れると杉原さんのお父さんから聞き木崎湖に乗りに行く。南米のチチカカ湖に浮くウロス島に行った時に、葦の船&葦の島に行ったが、それらを参考に作っていると言う。

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この葦は木崎湖でとれたもので作っているというから、さらにすごい。そんでもって、この葦船を作った方の野望は葦で船を造りそれで太平洋を渡るのだとか。とてもワクワクする話しだった。

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試しに乗らせてもらう。思ったよりも安定しており漕ぎだせば簡単に乗れた。まあ、湖で波がないから乗りやすかったんだろうけど。それにしても、とても気持よく寝転がって空を見上げていたら本当に幸せな気持になった。本郷さんがやってきたので、少し話しをして別れた。14時30分から杉原さんと山形さんのパフォーマンスがY邸で始まる。その前に、少し展示を回りたかったので自転車を借りて蓮沼さんの作品があるあたらしやへ。木崎湖の自然をイメージして書いたのかな?

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それから北ヤマト館へ。山形さんの写真が展示してあった。ここは100年以上前の建物でとても立派な梁だった。見とれるほどのしっかりした作り。そして結婚の時に作ると言う、立派な布の掛け軸みたいなものが飾られていた。すばらしい。ここのばあちゃんがジャムを作っているらしく、味見をさせてもらった。これがうまい。今までの人生で一番うまいジャム。取れたブルーベリーやハーブなんかを煮込んで作ったらしいのだが、この甘さの自然さが最高だった。

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時間もないのでY邸へと急ぐ。着くとお客さんがすでに家の中にきていた。しばらくするとパフォーマンスが始まった。始まると同時に大雨。そして雷が真上でガッシャーンと鳴った。まるで呼び寄せたかのように。杉原さんと山形さんのパフォーマンスが続いた。舞った、叫んだ、走った。そして、雨が振る外へと二人が行き終わった。

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16時から海ノ口上諏訪神社の舞台で茂木さんのトークがあるので、3、4年前に田植えをさせて頂いた山本さんに車で乗せてもらい移動した。茂木さんと杉原さんなどが直前に打ち合わせ。それまで何も話していなかったようだ(笑)まず、杉原さんが今回の祭りとトークの説明を。その後、茂木さんが少し話してすぐにまた、杉原さんに振った。そして、参加作家の話しということで芸大の蓮沼さんに、その後に本郷さん。続いて、芸大時代のメンバーに話しをさせると言う流れになり茂木さんが「寺町、次に話せ」と。もともと茂木さんの本を読み、芸大に潜ったこと。その授業や仲間とのつながりで芸術に興味を持ったこと。自分の原始感覚である無人島の食べ物を探しまわったり、東京から岐阜まで歩いて帰った経験談とともに話しをした。そして、芸大のメンバーといえば植田さんが話しをした。

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その後、茂木さんが話しをして、杉原さんと原始感覚をキーにいろいろと話しをしていった。

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原始感覚は体で知ること。だから、その土地にいてやらないと分からない。うまれてこないもの。ただ、その土地だけに止まっているだけじゃ面白くなく、原始感覚を感じつつ新しい物を作り出していかないと意味がない。

実は最も古い物に、最も新しい物へのヒントがある。

そして、今ココから世界へ未来へと発信して行く。それができる、強さがあれば場所は関係ない時代。

芸術家とは常に何かに向き合い、挑み続けていなければ意味がない。自分の醜い部分も透明にしてさらけ出す。だからこそ生まれるギリギリの表現をやるからこそ表現者である。一方で、生き様の凄まじい部分を表現するが、正体は表さない。それによって真のアートとなる。

アートとはそんな簡単に言葉にしたり表現できないこと。でも、表現しなければならない。

自分自身を作品や言葉や発想が追い越してしまった時の表現。そうして生まれたものを、後から自分自身がどう見て、どのような解釈を加えるかが最大のポイント。

御柱祭りは何も説明しなくてもそのスゴさが分かる祭り。そのレベルが一番望むべき姿。昔からずっと続いていることは根源的な何かがあり、受け継がれている。我々はこれになりうるものをいかにして作り上げるか。

祭りは生きている。古い祭りの習慣だけをそのまま受け継いで行くのではなく、現代のアレンジを加えて行く。そうしてアレンジされた祭りこそ生きた祭りである。

下克上が好き。価値をひっくり返す。そのためにはジャンルを超えて、閉じないことが重要。同族の集まり何て意味がない。もっと暴れろ。

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こんなコトが話された。2時間はあっという間に過ぎていき、トークショーは終わった。本郷さんの写真だけ見て行こうと、蔵へ。今回は和紙に木崎湖の水源の写真を白黒でプリントしていた。この蔵の空間は去年からさらにキレイになり、板の間がとても気持よかった。ちょうど来ていたおばちゃんと話していたら、外は大雨になってしまっていた。蔵で雨宿り。外の空は異様なほどの紫ピンクいろだった。

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しばらくして、雨が止み飲み会の会場である「あたらしや」へと。すでにみんな飲みはじめていた。芸大のころのみんなと話したり、地元のかたと話したり、茂木さんと話したり。まるで芸大の授業が終わった後に、上野公園の砂場を囲んで飲んだ日々の続きのようだった。

そして、メシがうまかった。1品持ちより&宿の食事。どれもうまい。やさしい味付けなのだ。野菜がうまいのだ。夏だから、酸っぱい味付けのものも多く感動もの。こんな夜中までみんなと色々話したのは芸大時代以来かもしれない。

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雨もやんでいたので、ひとりで外をふらふら歩いた。静かな木崎湖が目の前にあった。こんな場ができたのも、今回の原始感覚美術祭を杉原さんが開いたから。ひとりの思いがきっかけで、場が生まれ、人が集まる。なんと素晴らしいことなんだろう。それをやっている杉原さんがかっこよかった。自分も頑張ろうという気持になった。

木崎湖にいる杉原さんは芸大時代の杉原さんの印象と大きく異なるとみんなが言った。確かに俺も思った。企画書を書き、予算をとり、アーティストに声をかけ、オーガナイズしていく。そんなキャラじゃないと思っていたけれど、自分がやりたいことを成し遂げるための役割。それを成し遂げつつ、アーティストとしても今まで以上に能力を存分に発揮する。みんな杉さんからエネルギーをもらいインスパイアされた感じがした。

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夜もふけ、片付け。やはり植田さんが食器を洗っていた。そんな姿を見ていつも感心する。とても気遣いのある優しい人だなとつくづく思う。地元の方と話しながら、笑いを提供しつつ、真面目なことも話す。そんな話しを俺も聞きながら、皿を拭くお手伝い。片付けも終わり、寝ることにした。翌朝の月曜日は始発で東京へ戻った。

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絵日記の中の夏休み in 湖畔の原始感覚美術展