日別アーカイブ: 2009/9/1 火曜日

みかん畑に帰りたかった

みかん畑に帰りたかった 北極圏単独徒歩日本人初到達河野兵一の冒険 埜口保男

アマゾンでレコメンドされていて、知った本。タイトルが興味深かったのと、河野兵一さんについて昔どこかのホームページで見た記憶があったので購入。

河野兵一さんはリーチングホームという、北極点から愛媛まで徒歩で帰ると言う行為の途中になくなった方。そんな河野兵一さんと一緒に旅をしたり山を登ったことのある埜口保男さんが綴った本。二人のエピソードが軽快なタッチで書かれており読みやすかった。こういった本は何冊か読んでいるけど、この本は特に生生しさを感じた。何ぜかと考えると、比較的最近の出来事だからだろうか。著者が河野兵一さんと一緒に山に登ったりした人だからだろうか。それとも河野兵一さんの奥さんやお子さんが登場するからだろうか。

特に生々しさを感じたのは、マスコミや後援会などができ自分がやりたいことから少しずつそれて行き、自分の意思だけではコントロールできなくなっていく様子が、とても現実味を帯びて感じることができた。8000メートル峰登山、サハラ砂漠徒歩、北極圏単独徒歩などを行い、リーチングホームと言う北極圏から愛媛まで歩く行為の途中で力つきた。費用がかかることをやるようになり、そのために資金集めをして、後援会ができて、その過程で自分一人の行為ではなくなっていく。どれだけ後援会が資金を集めても、どれだけの人が応援してくれても、自分の命は自分の判断と行為で守るしかない。しかし、その判断が自分一人の意思ではできなくなる過程に極地における冒険行の難しさを感じた。