第1弾はトカラ列島の温泉、第2弾は朝日と夕日、そして第3弾は神社。この3つは何の関連性もないようだが、トカラ列島を旅して印象的だったものをテーマとして取り上げている。さらに、7つの有人島のうち4つを巡ったなかで、全ての島に存在しているものであったり、全ての島で自分自身が体験したものという条件でテーマを決めている。
トカラ列島にあった神社は沖縄の新城島や波照間島などで見た御嶽のような場であった。やはりこういった島では似てくるのだろう。大きな社(やしろ)というか本殿のような建物があるわけではなく、小さな祠(ほこら)がある。その神社は御嶽と同様に人の目につかないところにある神社も多かった。うっそうとした木々の中に小さな鳥居があり、本殿は高さ50cmほどの小さな小さな建物の中に貝、お米などがあるぐらい。
やはりこういった島では神なのである。島にある神は、いわゆる宗教とは違った感じがする。いわゆる宗教とはイスラム教やキリスト教のこと。これらは人々が生きる上での大きな幹となっている。一方でこういった島での神は祈りの対象であったり、感謝の対象といった感じがする。日本における仏教と似た役割を果たしていそう。まあ、宗教とか神とかについて何も知らないのにこんな事を言っていますが、そんな風に感じたということです。こういった島で自然発生的にできた神は祈りの対象であり感謝の対象である。いわゆる宗教のように教典があって戒律があってというわけではない。そこに大きな違いがあるんじゃないかと思っています。それにしても最近は土着の神とかお祭りなどの儀式に非常に興味がある。
そんな興味もあってトカラ列島に行ったのでおっちゃんとかに話しを聞いたり、家においてある十島村誌という辞書のような分厚い本を読ませて頂いたりした。ひとつ印象に残っている話しが、悪石島のおっちゃんに聞いた話し。トカラの島々には専業の神主がいない。神主だけを仕事にして食べている人がいない。だから神(の役割)は島民が持ち回りで順番にやることになる。普段から知っている近所の人や自分が神になるのだけれど、いつもの姿のままだと神との違いがない。そこでいつもの島民と神との違いを明確にするために、神を演ずるときは徹底的に変装するのだと。そんな意味も悪石島のボゼには込められていると。
また神社ではないがテラというものがある。テラは寺ではなく「テラ」のようだ。元々は寺だったとか。そんな「テラ」はお墓を意味するらしい。(島のおじいの家に置かれていた1000ページ以上にも及ぶ十島村誌に書いてあった。)そこにはお盆のお祭りで使われるボゼ仮面も捨てられていた。ボゼも一瞬だけ生きて、死んだということでテラにボゼ仮面が捨てられているのだろうか。
不思議なことはまだある。神社の隣に神社、またその隣に神社。こんな場所が小宝島にあった。なぜだろうか。
このように島には色々な神社などがあり、島によって神社の形態が異なるのだ。なぜ島によってこんなにも異なるのか。理由のひとつとして、自然環境があるのだろう。トカラ構造線という生物地理的な境界線がある。悪石島より北にはハブがいないが、小宝島より南にはハブがいる。さらに植物の植生も異なる。こういった自然環境の違いが文化や習慣の違いをうんだのだろう。さらに、これらの島々はポツン・ポツンと海に浮いている。太古の昔から色々なものが流れ着いただろう。モノだったり人だったり。そうして流れてきたモノから影響を受け、各島々に独特の文化が生まれたのかもしれない。事実、神田道夫さんと石川直樹さんが太平洋に着水した気球のゴンドラが数年後に悪石島に漂着している。非常に興味深い島々とその文化だ。
今回は4つの島しか行っていないので、その4つの違いを写真とコメントでご紹介。特に興味深かったのは悪石島の神社だった。
悪石島
女神山の近くにある乙姫神社。女神山と関係があるから、乙姫神社という名前なのだろうか。
坂森神社の周りは木々が生い茂っていた
坂森神社 鳥居
坂森神社 鳥居の鳥居にはギザギザの線が彫られていた。このギザギザは悪石島の鳥居のみにあった。
集落内にあった坂森神社 参道におまつりしてあった
坂森神社 本殿の前に置かれていた小さな鳥居
坂森神社 本殿
金山神社 鳥居
金山神社 本殿
テラに捨てられたボゼ仮面
お墓の花筒は竹を切り、上の節だけ赤く塗られていた。そこには家紋と同じように家系を示す記号が彫られていた。(十島村誌に家紋と同様の意味の記号と書かれていた。家紋と言う名前ではなく別名だったがメモするのを忘れた。)
小宝島
神社が3つ並んでいた。鳥居と神社の石碑
小宝神社の鳥居
小宝神社の横にあった孝坂神社跡の石碑
口之島
前之浜付近にある八幡神社?鳥居 写真が横向きです
前之浜付近にある八幡神社?本殿
西之浜漁港の近くにある神社
口之島の集落にあった神社 本殿
宝島
宝島最大の鍾乳洞
トカラ観音堂 鍾乳洞の横にある