日別アーカイブ: 2008/12/7 日曜日

二日月

阿佐ヶ谷駅から家に向かう道の左手にお墓がある。住宅街と言ってもビルが多い中、お墓は高さがないので広く空を眺めることが出来る珍しい場所である。そんな日が落ちたばかり、西の空を見上げると、淡い空に細い月がひっそりと輝いていた。美しい。以前にもこの細い月を見て調べたことがあった。すると新月の翌日の月だった。「二日月」と言うらしい。

昨日は新月であり、これから満月になっていく。少しずつ膨らんでいく月。その最初の最小限の存在が二日月である。これ以上小さな存在であることは不可能だが、新月のように見えない存在であるわけではなく、確実にそこに見える存在である。まさに必要最小限の息づかいである。そんな二日月には繊細な美しさ、無駄のない美しさがある。

三日月とは比較にならないほど、繊細であり美しい。二日月があるだけで、周囲が静寂に包まれる。その理由は町の中が騒がしかったとしたら、繊細な月が吹き飛ばされてしまうからだろう。

二日月は太陽と同じくらいに出て、太陽と同じくらいに沈むようだ。この月を眺めることができる時間の短さ、そして空の淡い明るさも、二日月をいっそう研ぎすましてくれる。

こんな二日月を調べていると、川合玉堂の作品に「二日月」という作品があることを知った。こちらの作品なのだが、このサイズではどこに月が描かれているのか分からなかった。そもそも月が描かれているのか否かも分からなかった。ただ、この絵の中に静寂があることは伝わってきた。この作品を生で見てみたい。

(しばらく前に草稿段階で保存しておいた文章を書き上げました。昨日が二日月であったわけではありません。)

http://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=2584&edaban=1

二日目の月
http://teratown.com/blog/2008/07/06/aeoaeuiuii/

送信者 いろいろ

そんな二日月を夕方に眺めるにはベストな場所が、家のベランダや西の窓だ。家々の屋根の狭間に二日月がひっそりと佇んでいる。