日別アーカイブ: 2008/11/27 木曜日

見えないところに潜むもの

先日、東京ドームでビリージョエルのコンサートに行った。それはコチラにも書いた通り。1塁側の外野席で聞いていた。見ていた。今日は小田和正のコンサートで再度東京ドームを訪れた。6月に続いて2度目。7、8万人はいるだろうと思われる会場からは不思議な感覚を憶える。数万人の人が何かに包まれているような、他者と自分が薄らとしたつながりを持つような同一感。それは閉じられた空間に数万人がいるという異常な状態、さらにステージ上の一人に皆が集中することから生まれでる空気感なのであろう。

基本的にはステージのみライトがあたるので、他は暗くて見えない。主役はステージのビリージョエルや小田和正だし、彼の歌をみんな聴きにきているのだから当たり前だ。とは言っても、演出効果でスタンドの席にもライトが向けられることがある。真っ暗で何も見えなかった場所に、ライトが当たると無数の人が浮きあがってくる。ギョッとする。自分から近い人は大きく見え、次第に小さく見える人々。ずっと人の存在は繋がっている、一人一人の存在がここから、その先、ずっとずっと向こうまで。

そこにいることはもちろん知っている。でも、見えないところに潜んでいる。そんな人を見ると、すげーなーと思う。均一に並んだ数万人の人々。圧巻の光景だ。

見えないところに潜むものは怖くもあり、恐怖にならないこともある。存在を知らないから想像し恐れる場合と、存在を知らないから考えもしないで怖くない時。どちらの場合もある。どちらにしろ、そんな、見えないところに潜むものが、怖かったりワクワクしたりして好きだ。驚きを与えてくれる。未知なるものは居心地の悪さや恐怖もあるが、それにもまさる未知なる希望が人を駆り立てる。

東京から岐阜を目指して歩いた時、静岡を通った。富士山があることすら気づかないくらい疲れていた。もちろん暗くなってから富士市内に入ったから、富士山が目に入らなかった。翌朝、日の出とともに起きて、道を歩こうとした瞬間に目の前に太陽に照らされた富士山があった。驚いた。あまりにも大きくて。あまりにもありがたくて。うれしかった。驚いた。

目に見えないところに潜むものは、そんな感情の変化を与えてくれる。見えないところに潜む、未知なる希望や喜び。

送信者 八重山2008

(PENTAX K10D DA16-45mm ISO: 1600 露出: 1/320 秒 絞り: f/7.1 焦点距離: 45mm)