日別アーカイブ: 2008/11/4 火曜日

風が駆け抜けてゆく、風が押し寄せてくる。

東京都で一番高い山「雲取山」に1泊2日(11月2、3日)で行ってきた。2005年の日帰り雲取山に続き2回目。今回は頂上付近でテント泊。

阿佐ヶ谷を出て、三鷹でホリデー快速おくたま1号 7:58発に乗る。友だちは西立川からこの電車に乗ってきたのだが、混みすぎていて、顔は見えたが話すこともできず、一人で沢木耕太郎さんの「凍」を読んでいた。山に行くからと思い、家を出る時に山に関する本をチョイスした。9時15分に奥多摩駅に着。なかなか近いし、阿佐ヶ谷から890円で行けるのはありがたい。奥多摩が自分の中でぐっと近くなった。9時25分に丹波行きのバスが出る。しかし、紅葉シーズンということでお客さんがいっぱい。臨時で1台バスが出たが、合計2台ではお客さんが乗り切らなかった。俺もバスに乗れず、もう1台臨時バスが出ることになり、しばらく待つ。

しばらくするとバスは来て。鴨沢バス停まで610円。懐かしい。この場所は3年前にまさに来た場所だと、記憶が鮮明に蘇る。大学時代に仲の良かった友だちと来た記憶が。バスを降りて、靴のひもを結び直し、軽く足を伸ばしてから、さあ出発。10時30分。天気も最高に良い。紅葉も楽しみだが、遠くに見える山々も楽しみだ。それに、何と言っても晴れている日の山登りは気持ちが軽やかになる。

送信者 雲取山08

しばらく登っていくと、近くに見える山が彩られている。ちょうど紅葉の時季だ。もちろん高度に寄っても紅葉の度合いは違うが、奥多摩の山々は全般的に紅葉のベストシーズンと言ってもいい気がした。友だちと、山の話や頂上での飯の話、雨具やバックパックの話、山以外のアウトドアの話、仕事の話、どーでもいい話、色々な話をしながら登っていった。俺が前を歩いたり、友だちが前を歩いたり。共に、一人でも山に行ったり、一人でなんだかんだ外で遊んでいるので、こういった時は、あまり気を使う必要もなく楽だ。

送信者 雲取山08
送信者 雲取山08

たまに休んでは、風景を見て、チョコを食べ、飴をもらい、スポーツドリンクを飲み、登っていった。登山道で木々の隙間から美しい山が見えた。あ、富士山だ。こんなにも富士山が近くに感じるとは思わなかった。大きな富士山が、手前の山々の奥にどっしりと、そびえていた。やはり富士は美しい形をしている。こんな風に富士山が見えるとは予想していなかったので、心がはずむ。

送信者 雲取山08

坂道を上りながら気がついたことがあった。以前と比べ脚力が非常にアップしている。このことにに自分でも驚いた。今までなら、絶対にしんどいであろう坂も、そんなに疲れない。スタスタと登っていけるし、息もたいして切れることがない。これも、毎日階段で8階まで上り下りしているからだろう。日々の階段の上り下りでは気がつかなかったが、こういった山などで初めて自分の脚力が上がっていることに気がつく。日々の地味な積み重ねは、変化に気がつきづらい。しかし、確実にレベルアップしているのだろう。こやって、山など普段とは違うことをすると、日々の積み重ねの成果を感じ取ることができる。日々の積み重ねって、変化が見られないからすぐに飽きちゃうけど、習慣化してしまうことがポイントだな、そんな風につくづく思う。習慣化すれば苦痛にもならないし。

送信者 雲取山08

そんなことを考えたりしながら登り続けた。それにしても、天気がよい。雲ひとつないと言っても過言ではないほど。青い空に紅葉の赤や黄色がとても栄えて美しい。さらに、雲取山への登山道の至る所から富士山が見える。こんな登山コースはそんなにないんじゃないかなと思う。

送信者 雲取山08

頂上からも富士山はしっかりと見えた。頂上から少し下ったところに雲取山荘(16:10着)があり、すぐ横にテント場がある。300円の設営料をはり、テントを張る。久しぶりにテントを張った。テントがたるまないように引っ張るロープを忘れてしまい、テントがたるんでいた。が、まあ寝られない訳じゃないのでOKとした。夕陽を見ようとしたが、雲が厚くて見ることができなさそうだったので、夕食にした。僕はおにぎりだったのだが、友だちはキムチ鍋。なんと肉を味噌漬けにして持ってきていたり、しめじ、ニラ、キムチと豪華な鍋。米も炊くし、キムチ鍋の閉めに入れるラーメンまで持ってきていた。僕はおにぎり1つと交換にキムチ鍋とサンマの缶詰をつっつかせてもらった。これらをつまみにビールで乾杯。夕方5時に頂上での晩餐はピークを迎えていた。さくっと晩餐を終えると、それぞれのテントに入り寝ることにした。普段ではありえない、6時に就寝。

さすがに目が覚める。ちょっと坂になっていたので、体がずり落ちていく。寝返りを打つように身体の位置を戻した。夜の10時過ぎぐらいだろうか、寝ていると風の音がした。始めは飛行機の音か車の音かとも思ったが、風の音だった。風の音が遠くでして、それで終わりのときもあれば、風の音が聞こえてから数秒後に自分のテントにも風が押し寄せてくることもある。風が駆け抜けてゆく。そして風が押し寄せてくる。遠くで聞こえる風のざわめきを聞いているとなんだか、心地よかった。あっちで森の風が駆け抜けたと思ったら、こっちでも。いろいろな場所で風が駆け抜けていた。
しばらくすると、テントがパタパタと言い始めた。遠くで吹いていた風が、こちらにも押し寄せてきたのだ。テントがバタバタとうるさく寝るのを妨げた。バタバタしても風が入ってくる訳ではないので、寒い訳ではないし、かなり着込んでいたので、たいして寒くはなかったが、バタバタと音が鳴ると立ててあるポールが倒れるかもしれないと、気をもんだ。まあ、ポールなんて倒れたら石で再度打ち込むだけなのだが。バタバタしないように、テント内に色々なものをぶら下げて、テントをピンと貼った状態にすると少しはバタバタが収まった。テント内は狭くなるが、音がうるさいよりマシだ。初めてのこととか、久しぶりのことをすると想い通りにいかないことが起こるから楽しい。普段は使わない思考をするのが楽しくて仕方ない。

そんなことをしながら、星を見ようと夜中に何度か空を見上げたが、雲で星はあまり見えなかった。翌朝、日の出に合わせて6時前に外に出て東の空を眺めていた。しかし、雲が厚い。東の空の一部が少し赤くなったが、日の出は見ることができなかった。30分ほどでテントを片付け、朝食を済ませて、7時に下山することにした。雲取山の頂上では朝と言うこともあってか、昨日よりも富士山がはっきりと見えた。その前に連なる山々は水墨画のように、霞んでいて幻想的であった。

送信者 雲取山08

下山はサクサクと歩を進めた。同じ道でも逆から見るとまた違った景色だった。こんなにも坂道が長かったかな、こんなところに灯籠があったっけな?記憶というものは曖昧である。11時10分に鴨沢のバス停に到着。11時32分の奥多摩駅行きのバスで帰った。バスはまた臨時があり2台連なってやってきた。疲れと睡眠不足からうとうとしていると、奥多摩駅に到着していた。奥多摩駅ではヤマメを塩焼きにしていた。その匂いに塩分を求める体が引き寄せられた。汗で塩分を失った体にヤマメの塩味が染み渡っていった。上手かった。

雲取山の最後はヤマメで幕を閉じた。それにしても、紅葉に富士山に夜のキムチ鍋宴会、最後にヤマメ。楽しい雲取山だった。また、奥多摩の山には遊びにこよう。次はテントと寝袋を新しくして、コッヘルなどを持って、頂上の宴会も楽しもうと思う。

送信者 雲取山08