日別アーカイブ: 2008/10/9 木曜日

輝ける場所

今年の夏、高円寺で阿波踊りを見ていた。
俺の後ろに二人の女の人がきて、話を始めた。

どうやら、友だちの連が登場するらしいのだ。
ついに、その連が登場すると、「先頭にいる一番右端だ!」、「○○ちゃーん」。
ついつい、俺もそっちに目がいく。

阿波踊りで踊る人はキマッている。
髪型から、化粧から、服装から。
もちろん、顔の表情もりりしい。

先頭にいる人なんかは、特にかっこいい。
その、人を見て俺もかっこいいなと思った。
きりっとして、しまっている。

後ろでは「○○ちゃーん、かわいい。こっちこっち」などと言っている。
俺は、「かわいいか?」と思う。
かわいいと言うより、かっこいいだろと思いながら。

すると、かわいいと言っていた時と声のトーンがかわり、
「○○ちゃん、カッコいいよね」
「いつもと違うもん」
「先頭だし」
「祭りに映える顔だね」
「すごい、良い顔してる。」
「うん。いい笑顔だね」

と感心したような口調で話し始めた。
ああ、そうなんだ。
大学の友だちか、職場の友だちか、趣味の友だちか、何かは知らないけど、いつもの表情とは違うんだな。

普段はさえない顔をしているのかどうかは分からないけど、今日は輝いているんだろうな。
そう思った。

人には、それぞれその人が輝ける場所があるんだな。
本人が気づいていようが、気づいていなかろうが、そんな輝ける場所があると幸せだな。

学校の勉強では輝けなくても、体育祭で輝けるように。
たとえ今の仕事で輝いていなくても、他で輝く場所があれば良いんだし、たぶんどこかにはあると思う。
音楽かもしれないし、子育てかもしれないし、人を笑わせることかもしれないし、家具を作ることかも、農業かもしれない。

どんな人にも輝ける場所があるんだろうと思う。
そんなこと当たり前だろうし、書くほどのことでもない。

ただ、今まで全く知らなかった人のある一面を偶然見た。
その人と会話もしなければ、普通その人の一面しか知ることはない。
あえて他の一面を想像することもしない。
でも、その人の友だちが偶然にも僕の近くにいたことによって、その人の違う一面の話が耳に入ってきた。
すると、違う一面があることが分かる。
こんな一面もあるのかと、そんな眼でその人を見るようになる。
全く知らない人の人生を見るからこそ、どんな人にも輝ける場所もそうでない場所もあると強く感じた。

送信者 いろいろ

(輝ける頭部)[PENTAX K10D DA16-45mm ISO: 100 露出: 1/25 sec 絞り: f/8.0 焦点距離: 45mm]