日別アーカイブ: 2008/9/17 水曜日

鮮やかではない人生

人間生きていれば、うまくいくこともあれば、うまくいかないときもある。
人生万事塞翁が馬だとつくづく思う。
うまくいっている時は自分もノリノリだし、何もかもうまくいく(ように感じる)。
さらに、うまくいっている時は、人も寄ってくる。ちやほやされる。

でも、人の本当の魅力というものは、うまくいっていない時に表れると思う。
色々な物事がうまくいかないと、周りから人がいなくなっていく。
それが、世の中だ。

いや、本当はうまくいってようが、うまくいっていまいが、人間の魅力は関係ないと思うのだが。

ある人がうまくいっていない時にでも、他人を魅了するような人は、とてつもなく自分の軸を強く持っている。
かっこいい。俺はそう感じる。

これと同様に、何か分かりやすい、目立つ実績(行為や行動など)を残した人は、ちやほやされやすい。
何と言っても、周りから見て分かりやすいから。
行動の結果や実績というのは、それほどのインパクトを持っているのだろう。
確かに実際に行動したと言うことは、圧倒的なことで、ものすごいことだと思う。

一般的にそういったことで人は評価を受けるものだ。
目立つような実績がないと、周りから評価を受けにくい。

「行動学入門」という三島由紀夫の本を思い出した。
「行動とは何か」という章にこんな一文がある。

行動は迅速であり、思索的な仕事、芸術的な仕事には非常に長い時間がかかる。しかし生はある意味では長い時間がかかり、死は瞬間に終わるのに、人々はどっちを重んじるだろうか。

上手くいってようが、上手くいっていまいが、それでも、自分の道をつらぬく。
周りから評価を受けていようが、周りから全く認めていなかろうが、自分の道を歩む。
周りから注目を浴びようが、浴びまいが。
これこそ、本物だと思う。
(とは言いつつ、認めてもらいたい気持ちはあるし、不安はあると思う。)

だから、うまくいっていない時でも、応援し続けてくれる人は信じられる。
そういった人は表面的なことで、人間を判断していないんだなと思う。
裏切られないという安心感がある。

どんな実績や結果であろうと、その人の今現在そのものであろうと、それに達するまでの紆余曲折いろいろとある。
そんな結果が表面的な結果であり、その人の「今」である。

しばらく前に野茂が引退したが、日々の地味なトレーニングが彼の野球人生のほとんどだ。
話題にならないときの彼の選択、行動に野茂英雄という人間の魅力が詰まっていると思う。
ベネズエラリーグで戦っていた時、どこの球団にも属していなかった時、マイナーで調整していた時。
自分でもコンチクショッ、やってらんねー。苦虫を噛んだこともあるんだろうと思う。
そんな時でも、心の奥底では野球をやりたい気持ちが強くあった、そして自分を信じていた。

華やかではない、鮮やかな人生でない時にこそ、人間の本心が表れ、その時こそ人間の真の姿が現れる。
そんな、愚直な野球への想い、行動に魅了される。
自分の中にある自分の生き方の美学、これだけは何があろうと守って生きているのだと思う。
それは、たとえ法律違反のことであろうと、自分の貫きたいこと、貫くと決めたことは貫く思い。
絶対に譲れないもの。

鮮やかではないときにこそ、人間の真の姿が浮き彫りになる。
人間の鮮やかではない人生に惹かれるものがある。

送信者 大分、熊本、宮崎

[波に打たれる流木](PENTAX K10D DA16-45mm ISO: 100 露出: 1/30 sec 絞り: f/8.0 焦点距離: 20mm)

「つながる旅の記憶~寺町健 写真展~」
期間:9月30日(火)~10月5日(日)
   12:00~20:30(Fri ~22:00、Sun ~20:00)
場所:ウナカメラリーベラ
   中野区中野2-12-5 メゾンリラ101
   最寄り駅は中野駅になります。
   お茶やランチもできます。
   詳しくはコチラ