日別アーカイブ: 2008/8/31 日曜日

イントゥ・ザ・ワイルド 荒野へ

イントゥ・ザ・ワイルドの試写会の券をもらったので、新宿へ見に行ってきた。
「荒野へ」というタイトルで、日本語訳の本も出ている。
この本は色々な人から聞いたり、雑誌などでも見かけていて、ずっと前から読みたいと思っていた。
それで、何ヶ月か前に買ってぱらぱらと読んだ。
映画化されることも知っていたので、ぜひ見てみたいと思っていたのだ。

映画が始まる前に、石川直樹さんが、イントゥ・ザ・ワイルドについて話した。
こういった系統の映画にしろ、本にしろ、雑誌の企画にしろ最近はとりあえず石川直樹さんという感じ。
石川さんがどうのこうのと言うより、このイベントを企画した担当者に突っ込みを入れたいところ。

・この映画は生ぬるいロハスとかエコとかいった話ではない。
・生の体験をすることの大切さ。
などについて話した、そして荒野の孤独感に関しては、こんな話をしていた。

クリスが発見されたのは、町から数マイルの所。
すごい人里離れた場所ではない。
でも、クリスに取っては完全なる荒野の中にひとりぼっちだった。
トウキョウで孤独を感じるように。

石川さんの話を聞いた後に、映画を見た。

この映画を通して思ったのは、生き物として都会という環境で生きていくことの違和感。
そして、野性的であること、社会に縛られない自由、そう生きていくことへの憧れめいた感情。
一方で、社会化した人間がそのままの野生で生きることの難しさ。
最後に何と言っても、大切な人への思い。

クリスほどではないが、無人島で暮らしてみたり、東京から実家の岐阜を目指して歩いてみたりする俺だから、ちょっとばかり、クリスの気持ちがわかる。

クリスは複雑な家計に育ったことも、荒野へと進んでいった大きな理由のひとつだろう。
クリスが旅に出て、しばらくして親がクリスを心配し、親の心の変化がおこる。
妹は、同じ境遇に置かれていた兄だけは心を自分に許してくれていると信じ続ける。
そして、クリスにも心の変化が起こる。
家族のこと、旅で親切にしてもらった人のこと、愛する人のこと、そして子供がいたら、その子を大切にしたいと。
ロンという元軍人で革職人、小麦農園の仲間、歌っていた少女、キャンピングカーで旅をしていたヒッピーの夫婦。

出会った人の中でも、ロンは自分の憧れをクリスに見ていたような気がする。
やるかやらないかは別として、男のロマン。夢を見る世界。

映画の最後に、本人の写真が映し出される。
クリスが発見されたバスに寄りかかって座っている、笑顔の写真。
自分にまとわりついていた、仕事やら、名前やら、年齢やら、肩書きやら、レッテルを振り落として、心が軽くなったような笑顔だった。
なんとも澄み切った笑顔なのである。

これは現実にあった話。

幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合ったときだ。

イントゥザワイルドHP


[荒野に刻まれた一本の線@ペルー ナスカ](OLYMPUS OPTICAL CO.,LTD ISO: 80 露出: 1/250 sec 絞り: f/8.0)