男が見た夢~自由の翼~ アラスカ極北飛行 : 湯口 公 

アラスカの空を飛ぶ。
この響きを聞いただけでも、憧れを抱いてしまう。

湯口さんは日本の航空自衛隊で戦闘機のパイロットを10年やったあと、アラスカに単身乗り込み小型飛行機を買い、アラスカの空を、そして北極圏の空を飛んだ方だ。

湯口 公さんのことは、アラスカのことを調べながら色々なサイトを見ているときに知った。
そして、「アラスカ極北飛行」という本が出版されることを知り、湯口さんのサイトから事前に申し込んでいた。
出版予定日が、色々な都合により何度か遅れたのだが、毎回湯口さんは丁寧なメールを送ってくださった。

ついに先日楽しみにしていた「アラスカ極北飛行」が届いた。
まず、手に取った瞬間にずしりと重みを感じた。
良い紙を使っていて、重みがあったのだ。
本の中にはフルカラーのアラスカの写真がたくさんあり、オオっと思った。
こんなにも良い紙を使って、写真もフルカラーでこの値段では、儲けがないんじゃないかと思うぐらい。
そんなおせっかいな心配までしてしまった。

文章も読みやすく、すぐに読み終えた。
この本には等身大の、そして現在進行形の湯口さんが書かれていた。

プロの物書きっぽさはない、でも、夢を追いかけてもがいたことが、そのまま表現されている。
ありありと伝わってくる本だった。

オーロラを飛行機から見る。
このことについて書かれたあたりが良い。

空から見るオーロラは、完璧だった
=中略=
人はある美しい風景に居合わせた時、その瞬間のためだけに生まれてきたのではないだろうかと思うことがあるけれど、まさしくオーロラはそんな感じで、自分が美しいと思える場所や瞬間に身を置くことこそが全てなのだと思い、その時だけあなたは、何かしらの神秘性を持って自分に対峙することができて、そのことはすなわち自分自身のなかの根源的な想いに触れるということなのではないかと。

まずは、オーロラを静寂のなかで眺めたい。そしてその次は飛行機からオーロラを見たいと思う。

美しい風景の連続。
写真を見ているだけでゾクゾクしてくる。
たまらなく美しい。

さらに、ノーススロープという北極海近くの無人地帯がすばらしい。
もちろん、山の写真なども良いのだが、ノーススロープは特別だ。
青い湖沼が続く場所なのだが、この場所の静かなる力強さが好きだ。

こんな景色に自らの意思で、出会うことができる。
自由の翼を持っていることは本当にうらやましい。
それだけ、美しいものに出会える可能性が高まるのだ。
僕も乗り物を攻略したくなる。
やはり、自分で移動手段を持っているのはいいなと思う。
自由に行ける。思ったように行動できる。
僕は歩くことしか、自分で移動できる手段を持っていないので、本当にうらやましい。
かといって、動力のついた乗り物を操縦するのが、いまいちなんだよな。

本の終わり方も現在進行形だった。
これから湯口さんはどのように生きていくのだろうか。

ただ、いろいろやってきてひとつだけ言えることは、
「夢の続きは、また夢だった」ということです。

湯口さんのサイト
http://www.talkeetna.jp/
サイトにある動画もカッコいいです。
男はみんな夢を見るんじゃないでしょうか。


(星野道夫写真展@市川市2008)

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