日別アーカイブ: 2014/11/18 火曜日

あまりにまともな人が生きづらい世の中なのかもしれない

4年ほど前、それは東日本大震災が起こる前の年。
情熱大陸で、石井一男さんという画家を見て思ったこと。

「あまりにまともな人が生きづらい世の中なのかな」と。

なんで今さら、こんなことを書くのだろうかと言えば、直接的には高倉健さんが亡くなったニュースを聞いたから。そして、先日の奄美大島で田村一村美術館にいったことが重なりあったから。

高倉健さんは、自分と名前の漢字が同じというだけで、昔から一方的な親近感と言うか、何かしらの共通項があるのではという気持ちを勝手に抱いていた。そして、以前から高倉健という人物のエピソードを聞くにつれ、人として本当にすばらしい精神をお持ちで、それを実行されている人間的に魅力的で、本当に尊敬できる方だなと思っていた。なによりも、芸能界という華やかな場所に長く居続けて、それも大御所と呼ばれる地位を確立してもなお、周囲の人に対する気遣いの姿勢や映画に対する姿勢が一貫していることに、尊敬と驚きを抱くと同時に、生きづらくないのかなとも思っていた。

亡くなった後の報道を見ても、高倉健さんのエピソードがいくつもでてきて、ニュースサイトで読んでいたのだが、その場だけじゃない、口先だけじゃない、真摯な姿勢に心打たれた。

そんな高倉健さんの記事を読んでいると、田村一村の生き方や石井一男さんを思い出した。そして、東日本大震災の後に献身的にボランティアをし続けて今も東北にいながら活動を続けている仲間、地震の後に東京を離れそれぞれの地域で活動している友達たち、科学を追究して究極の答えを求めようとしている仲間たち、芸術を追求する芸大時代の仲間たち、山野井さんのような登山家も同じかもしれない、奇跡のリンゴの木村さんも。具体的な名前を挙げた方々は、僕が知っているくらいなので、今も社会でもある程度は認められ、本人もある程度適応し社会の枠組みの中で生きていける方かもしれない。でも、そうでない、あまりにも純粋でまともな人たちが世の中には何人もいるのだろう。

最近Zero to oneという本が話題のPayPal創業者でシリコンバレーでも絶大な影響力をもつPeter Thiel(ピーター・ティール)が、最近こんなことを言っていた。

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科学者達は彼らの素晴らしいイノベーションに対して、それに見合う報酬を得ていない。彼らは、頑張って良い仕事をやればそれに見合う報酬は必ずついてくるはずだ、と信じてきました。

この妄想によって多くの科学者が損をしています。テクノロジー業界も同じで、素晴らしいイノベーションが数多く生まれてきたものの、それを開発したその人がその価値に対して充分な報酬を受けていない。

例えば皆さんが20世紀最大の物理学者であり、世をうならす新発見をしたとしても億万長者にはなれないのです。蒸気機関車、素晴らしいイノベーションです。しかし、蒸気機関車に携わっていた会社のほとんどが倒産しました。なぜなら業界内の競争が激しすぎたから。

http://logmi.jp/28352
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この内容は、事実なんだと思う。でも、科学者がお金儲けをうまくなる必要もないと思う。それは、全く別の能力だから。

まあ、お金が全てではないにしろ、今の地球で生きていくにはある程度お金というものとつきあっていかなければならない。そのつきあい方がヘタというだけで、あまりにもまともな人々が生きづらくなったり、お金との付き合いはヘタだけど他の才能にあふれる人が生きづらい世の中って、何かおかしい気がする。おかしいというよりも、お金との付き合いがうまい人ばかりが表出し、そうでない他の才能を持った人が埋もれる社会ってつまらないと思う。

送信者 ALASKA 2009

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当時、情熱大陸を見た時にメモしたこと。

あまりにまともな人が生きづらい世の中。ある意味、東京で普通に暮らしているヒトこそが精神異常かもと思わせる。これは言い過ぎかもしれないが、ある程度は真であると思う。情熱大陸 石井一男
2010年01月17日
http://www.mbs.jp/jounetsu/2010/01_17.shtml

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