日別アーカイブ: 2012/12/11 火曜日

【Amazing Summer 2012】TAKESHI AMAZING!

【Amazing Summer 2012】突然のUTMB

コンタミーヌを出てからも、雨が降る闇の中を駆けていく。また大きな山を越えてコンタミーヌに戻ってくる。20キロちょいだから4時間後ぐらいかなと思いながら。標高を上げていくので、どんどん寒くなる。走っていれば寒すぎることはないかもしれないと思っていたが、想像を超える寒さ。2000メートル以下なのにこんなにも寒いのかと驚く。日本と同じ基準で考えていてはまずいと、改めて身をもって感じた。

送信者 モンブラン登山とUTMB2012
送信者 モンブラン登山とUTMB2012

バルムを通過する頃はあまりにも寒く雪が舞い、トレイルはぐちゃぐちゃだ。エイドステーションやチェックポイントでは焚き火がたかれていた。服を着たかったが狭いトレイルかつ岩がゴツゴツしていたので、止まると渋滞が発生する。そこで、寒さに耐えながら、心拍を上げるように急ぎ足で進んでいった。手袋をしていても指先が冷たくなり、痛くなるほどだった。

送信者 モンブラン登山とUTMB2012ver2

登り終えると拓けた場所に出た。小屋があり何人かが待避していた。中に入ってしまうと、再び出るのが辛いので風をよけるために建物のすぐ脇で防寒着を身に着けた。防水のオーバー手袋をして、スマートウールのアームウォーマー、そしてダウンベスト。バラクラバもつけた。持っている防寒着を総動員した。それでも、寒いほどで手や足の指をグーパーグーパーと動かしながら走った。ぐっちゃぐちゃな下りのトレイルを滑るように下っていった。滑るのが怖かったが、ストックを持っていたのでバランスをとりながら進むことが出来て、転ぶこともなかった。

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ただただ暗闇の中を走って行った。雪が舞い、雨が降り、風が吹く。なかなかハードな条件の中を突き進まなければならない。再びコンタミーヌに戻ってきた。トレイルがぐちゃぐちゃだからか、想定していたよりも時間がかかっている。このコンタミーヌまで70キロだが、もっと走ったように感じていた。コンタミーヌに到着すると、町に戻ってきた感じがしてホッとした。ここで、再びたくさん食べ、たくさん飲んだ。

送信者 モンブラン登山とUTMB2012
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そして、再び走り出した。夜中になり睡魔が襲ってくる。波のようなサイクルで睡魔がやってくる。歌を歌ったり、カフェイン入りのジェルを飲んだり、気合いだっ!と自分を鼓舞したり。なんとか、眠ることなく走り、歩み続けた。ヘッドライトの明りが弱くなってきた頃、空が白んできた。タイミングが良かったが、どんより曇った空だ。ドロドロの下り坂で足を取られながら進み、やっとのことでそのゾーンを脱した。そこで、ヘッドライトからGoProのカメラに付け替えた。

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町中に出て、スタート直後に通ったエイドに再び。ここでもたくさん食べ、飲んだ。しばらくロードを走る。つづら折りの登りのロード。これが単調で眠たくなる。ただでさえ眠たいのに、この試練はなかなかだった。ロードだけれどストックを使って登っていった。気合いを入れて登ったが、そんな気合いも長くは続かず、すぐにスピードが落ちた。

送信者 モンブラン登山とUTMB2012

自分の感覚的な距離と、メモしておいた高低図のエイド位置がどうも違う気がしてならない。もうチェックポイントに着いてもいいころなのに、全く見当たらない。自分が遅すぎるのか、はたまた高低図に示されたチェックポイントがないのか。分からないまま、走り続けた。エイドのスタッフに次のエイドの位置を聞くと20キロと言われ、たくさん水を持ち食料ももらったのに、10キロ弱ぐらいでエイドがあったりもした。

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なんとかアスファルトを抜け、トレイルに。トレイルに入ると元気が戻ってきて、もう走れないと思っていたのに走れるから不思議なのだ。シャモニの裏山を走ると、ゴールのアナウンスが聞こえた。続々と速い選手はゴールしているのだろう。そんなゴールに速く辿り着きたいと思いながら、ゴールからいったん遠ざかるルートに従い、走って行った。ここでも登りが長く、足の筋肉が悲鳴を上げ続けていた。登りの途中で休んでいる選手もたくさんいた。俺は出来るだけ休まず、一定のペースで登っていくことを心がけた。周りの選手はだいたい同じスピードなので、何度も抜いたり抜かれたりを繰り返した。

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トレイルを抜け、アルジョンティエールのエイドに到着した。残りの距離を聞くと10キロだと言われ、力がみなぎってきた。もう大きな登りもないらしい。これで、完走へ近づいた。歩いても完走できる時間だと思うと、喜びが込み上げてきた。19時間切りも狙えそうでいっちょ走ってみるかと思い、走り出した。しかし、細かなアップダウンはあるため、登りがなかなか進まなかった。でも、自分の距離感覚と時計をひたすらにらめっこして進んでいった。出来る限り頑張って走った。しかし、途中でウンコがしたくなり、走るどころじゃなくなった。そんな時に偶然にもトイレがあり、命拾い。そこからも、走りながら応援してくれる人に残りの距離を聞いた。

送信者 モンブラン登山とUTMB2012
送信者 モンブラン登山とUTMB2012ver2
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ゴールが近づいてくる。アナウンスが聞こえる。受付をしたスポーツ施設が見える。もうゴールだ。シャモニの町に帰ってきた!ついに、ゴールだ。うれしさも大きかったが、ギリギリ19時間を切れそうだったので、なんとか走りきって19時間切りを達成したかった。もう無理だったが、なんとか全力で走った。川沿いを走り、シャモニの町を走った。ゴール近くで、渋井さん、前田マン、女王がいて、心折れ部の旗を渡してくれた。ゴールで仲間が迎えてくれるのは本当にうれしい。タイムが気になっていたので、旗を持ちながらゴールまで全速力で駆け抜けた。(このシーンがUTMBの公式動画 get ready forのオオトリで使われた!ビックリ&最高にうれしかった。)

送信者 モンブラン登山とUTMB2012
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距離は短くなったけれどUTMBを走りきった。その充実感とやっぱり100マイル走りたかったと言う物足りなさが心を締め付けた。友達に祝福され、インタビューをされ、HAPPYと大きな声で叫んで、UTMBは終わった。陽気なおっちゃんがマイクで「Takeshi Teramachi Japon」「Takeshi AMAZING!」と!最高に気持よかった。完走ベストをもらって、ホテルに戻り洗濯。そして、再び仲間のゴールを待つためにゴール会場へと戻った。岡野さん、じろうさん、ミックスさん、エディさんと続々とゴールを迎えた。いろいろな思いと経験を積んで、この舞台に立ち、ゴールを迎え、みんなとても満たされた表情だった。

送信者 モンブラン登山とUTMB2012

寝ていないこともあって、部屋に戻りすぐに眠りについた。