日別アーカイブ: 2011/4/9 土曜日

1票を投じる大変さ

またこの時期がやって来てしまった。
少しの後ろめたさを引きづりながら、夜のランニングをする。

走っていると都知事選と区議会議員選挙があるため、町中の至る所に選挙看板が目に入る。
そして、この歳になると区議などに立候補すると友達から連絡をもらう。
今回の地震や友達の立候補もあってか、選挙や政治というものがより身近に感じている。
そこで、選挙権を持ってから今までずっと感じ続けていたことを書き記しておこうと思う。

選挙が身近に感じるようになっているはずなのに、なぜ後ろめたさがあるかと言えば、自分が納得いく投票をしたことがないからである。そして、今回も納得のいく投票が出来なさそうだからだ。

個人的には選挙は非常に重要だと思っている。国の姿や人々の生活を大きく左右する意思決定なのだから。
それだからこそ、いい加減な理由で特定の人に投票することに後ろめたさを感じているのだ。

数えてはいないけれど、選挙権を得てから今まで何度も選挙の機会はあった。
正直に言って、行かなかった回数の方が多いと思う。
最近の若者の投票率の低さを指摘されるけれど、その要因の一人でもあった。

投票に行った何回かは、誰かの名前を書いたことも、白票を投じたこともある。
ただ、どちらの場合も自分の投票行動には納得がいっていない。
それは、自分がしっかりと調べ、この人に頑張ってほしい!と思える人を見極めた上で投票出来ていないから。

自分のいい加減さを盾に逃げているのかもしれないが、選挙で誰かを選び投票するには下調べにとても時間がかかる。
考えるだけでも膨大な時間がかかりすぎる。選挙は重要といいながら、そこまでの時間を割くことと自分の1票の価値では、自分の時間を優先してしまっていたのだ。

僕個人が何にそんな時間がかかると思っているかと言うと、選挙の前に調べる2種類のことだ。

・ひとつは立候補者およびその政党について
・二つ目は国や都道府県、市区町村の現状

ひとつ目の立候補者および政党については、彼らの政策やその実行可能性、過去の実績など。

ただ、それらを判断するには、前提知識となる国や都道府県などの現状を把握していなければならない。
政治、経済、外交、農林水産業、科学技術、教育、医療、子育て、老人福祉、産業、財政、金融、エネルギーといった幅広い内容。

さらに、もっと前提になるのが、自分自身がどんな国になることを望むのかというビジョンがなければならない。
それがなければ、どのような政策を支持するかは決められないのだから。

まとめて書いてしまえば、これだけのことに過ぎないのかもしれないけれど、一つ一つやろうと思ったらかなり大変だ。それに我々は国会議員の選挙だけではない。国も、都も、区もといったように、様々なレイヤーの人々に投票しなければならない。

それら(区、県、国)の単位で問題の粒感も大きく異なるし、それぞれについて知り、自分の価値観と照らし合わした上で投票せねばならないのは並大抵のことではない。日常的に関心を持って調べていれば、選挙の前だけに右往左往する必要はないのかもしれないが、新聞社の政治部記者や学者、政策をウォッチしているNPOの人ぐらいしか日常的に細かなところまでは追いかけられない。新聞やテレビでは不十分なのは言わずもがなで、議会に足を運んだり、政治家の話を聞きに行ったり、著作を読んだり、シンクタンクのペーパー読んだり、自ら議会議事録などを取り寄せたりしなければ、本当の所は分かりっこないのだから。

さらに、目の前の選挙について調べるだけでは足りない。振り返りという作業もしなければならないからだ。前回の選挙で自分がどのように調べ、どのような判断軸で誰に投票したか。それをもとに、当選した人の活動と成果を調べ、自分の投票行動が良かったのか悪かったのかを見極める。それをやった上で、目の前の投票にいかさなければならない。

しかし、現実問題として毎日仕事をし、子育てをし、それなりの趣味を持って日々の生活を送っている一般の人が、上記のことをやるには時間がない。時間がないという言葉や忙しいという言葉は言い訳に過ぎないかもしれない。もっと、国のことを思っていたり、自分の生活が直接的に大きな問題が生じるようになれば、死ぬ気で調べるだろうから。

とは言っても、いきなりこんな風になるわけではないので、現実的な路線で考えてみたい。

今までの話から4つにフェーズを分ける。
1,ビジョン:自分がこの国や町はこうありたいという姿を思い描く
2,現状調査:政治、経済、教育、外交、農業、医療、エネルギーなどなどの現状調査と自分が考える問題の解決策案を作る
3,振り返り:前回の自分の選挙における投票行動と当選した人の活動の成果振り返り
4,立候補者調査:立候補者とその政党の政策やその実行可能性などの調査

まず1,ビジョン。
正直なところ、どんな国を望むか、どんな国の姿がベストかの明確な意思はない。共産主義国家よりも自由度が高い国家を望むとか、自然が好きなのでそれらを尊重する国家とか、そんなぐらいはあるが、国家のあるべき姿を明確にイメージし、なぜその姿がいいのかという裏付けを持ち合わせていない。例えば小さな島でどんな地域、コミュニティを作りたいかは僕の頭でもイメージできる。ただ、国とかいった大きな単位になるとイメージが沸かない。さっそく一つ目からつまずく。が、自分の価値観があれば、2の現状を調べることによって、あるべき姿を少しずつイメージできてくるような気もする。ので、次へ。

2,現状調査
現在はほとんどがネットのニュースで世の中のことを知る。ただ、ネットのニュースはテレビの様に受動的ではなく、能動的だ。だから、見るニュースは自分の意志でクリックして読む。必然的に偏ってしまうシステムなのだ。そこで、今まで見なかったけれど、現状調査という観点から重要なものは見て、さらに自分でも追加でちょっと調べて背景も理解するように心がける。これの積み重ねで、かなり現状理解が深まると思う。
ついでに、本はエッセイを中心に読んでいるが、もう少し幅広いジャンルの本を読んで知識をつける。そして、友達とも議論をし、自分の考えをブラッシュアップさせる。

3,振り返り
これは最もハードルが高い。というのは心理的なものと、実際の手間という点で。これからの選挙に関しては情報がたくさん落ちているが、過去のことはマスコミなどでもあまり取り上げられない。だから、自らの意思で情報を取りに行かなきゃならないからだ。まずは、1,2,4ができてからにしよう。それか、実績がまとめられたサイトないのかな?あれば多少は需要がある気がする。まあ、すぐに需要はないかもしれないけれど、とても意義のあるサイトになると思うな。

4,立候補者調査
マニフェスト。HPをくまなく読む。街頭演説で人となりを感じ取る。実はこれにはそこまで時間がかからない。2の現状調査と自分の考える問題解決策があれば、それと合致する候補者を見つけるだけだからだ。そんな人が見つかれば、その人が本当に政策を実行できるのかどうかを判断すればOK。まあ、これは直感を含め定性的なので、曖昧な部分はありますが。何度も選挙をしっかりして、3の振り返りをしていれば、この精度も上がってくるだろう。

大人なんだし、これぐらいはやって行きたいなという理想。選挙だからいろいろ書いたけど、いやー、こんなことできるのか?怪しいけど、ちょっとずつ前に進んで行きます。

最後に、ぼやきを。

上記のことがしっかりできたら絶対に生まれてくるであろう、感情がいくつか。

・完全に同意する立候補者なんていることの方が少ないんだから、自分が立候補するのか?ということ。
・いくら調べても結局のところ未来は分からない。だから、結局は感覚で投票するのか。という葛藤。
・例えば「原発は絶対反対」とか、「超自由主義経済」とか、何か一つこれだけ守ってくれる政党や人なら後はなんでもOKというものがあると楽なのかな。

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