船旅は魔法にかかったように。

前回までの旅日記「6日前に始まったBonin Islandsへの旅」はこちら。

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大きな船にゆられて、どこかの島へと向かっている。
人生において、こんな時間ほど穏やかで満たされる時間はないと思う。

送信者 小笠原

大きなフェリーであれば、食べることにも寝ることにも困らない。
もちろん、確率論的に命の危険も限りなく少ない。
生命の安全を確約された中にいる。
でも島に向かって移動しつづけている、何か意味のあることをしているという免罪符。
自分は何もせず、船が動いているだけなのに。

送信者 小笠原

そして、船からはいつもどこまでも続く大海原が見える。
潮風と太陽を浴びる。
そんな美しい風景に包まれる。
音楽を聴いて歌ってもいいし、デッキで寝ても良いし、好きな本を読んでもいい。
夕方になれば夕日を見て、夜になれば星空を、また朝になれば日の出を。

送信者 小笠原

こんな心が解き放たれ、美しい世界と向き合える時間は魔法にかかったようなひとときだ。

そう、翌朝に目を覚ましても、もちろん海の上、そして陸に着いても海の中にいた。
海に向かって、おはよう。そして、父島にはじめまして。

送信者 小笠原

25時間40分の時を経て小笠原に到着した。そう、その前に船内見学をさせてもらった。操縦室とエンジンルームの2つを。操縦室はやはり気持がいい。飛行機のコックピットのように、真正面の視界には青い海が拓けている。舵があったり、いろいろな機器、そして海図が広げられている。この時代だから新大陸を見つける航海なんてありえないけれど、船乗りでない僕に取っては、操縦室は新大陸を発見するための場所に感じられた。そして、エンジンルームは55度という暑さ。

送信者 小笠原
送信者 小笠原
送信者 小笠原

トビウオとカツオドリに出迎えられて、父島に到着した。25時間40分と聞くと長い船旅のように感じるが、あっという間の航海だった。もっと長くてもいいと思える程に。さて、船から降りると「南国荘」と書かれたプラカードをもったおじちゃんがいた。そう、3日間お世話になる宿だ。同宿の数名と車に乗って宿まで3分。7人ぐらいの相部屋に荷物を置いて、その中の1人と昼飯を食いに出かけた。同い年で東京で働く旅人だった。島魚の漬け丼を食べる。なかなかの美味。そして彼と別れ、PAPAYAというマリンショップへ。明日のマッコウクジラ&父島一周ツアーの予約。支払い(1万円)を済ませ、明日の集合時間(8時30分)と場所を確認した。

送信者 小笠原

送信者 小笠原
送信者 小笠原

今日は一日暇なので自転車かスクーターを借りて泳ぎに行こうとしたが、どのレンタルバイクやもフル。事前に予約しておかないと借りれないそうだ。なんてこった。小笠原のピークは恐るべし。しかたなくバスでビーチまで行くことに。1時間に1本ほどバス(200円)が走っている。とりあえずバスが来るまでの1時間弱は、民宿からすぐの大村海岸で泳ぐことに。ここで水中でも使えるコンパクトデジカメを試してみる。港の横のビーチだけど、とっても透き通った水で幸せな気分。海に入り、砂浜で寝転がっているとすぐに時間がきた。小笠原ビジターセンターで小笠原の歴史について少しだけ学び、バス停に。

送信者 小笠原
送信者 小笠原
送信者 小笠原

外にでるといきなり雨が降り出した。かなりの土砂降り。スコールだ。南国だ。ああ、俺は東京から1000キロ南の島にいるんだと感じられた。すぐに雨はやみ、スコール後のジメットした湿度と雨と土の匂いを感じバスに乗り込む。とりあえず一番遠くに行こうと小湊海岸で下車。すぐに海へ行っても良かったのだけれど、もう1本道があってそちらは中山峠と標識があった。とりあえず行ってみる。ヤドカリ、野ヤギ、トカゲなどがガサガサ音をたてる道を登って行く。すると、見晴らしの良い場所に。

送信者 小笠原
送信者 小笠原
送信者 小笠原
送信者 小笠原
送信者 小笠原

ああ、きれいな島だ。青い海、生い茂る緑、そして青い空。いいところに来たなーと思う。それから山を下りて小湊海岸へ。すこし海の中を見たけれど、ここよりも隣のコペペ海岸の方がキレイなんじゃないかと思い、また1人山登り。峠を越えてコペペ海岸に。数人の人がビーチにいたけれど、もう帰るところだった。さて、ひとりで小笠原の海を楽しませてもらう。今日はまず水中での撮影練習だ。明日からマッコウクジラウォッチングやらドルフィンスイムがあるので、上手く撮影するために練習あるのみ。ただ、ピントを合わせるのがなかなか難しい。さらに魚は動き続けるし、どのように動くかが想定しづらいのでフォトジェニックな一枚にはほど遠い。ただ、事前練習は役立った。

送信者 小笠原
送信者 小笠原
送信者 小笠原
送信者 小笠原

サンゴや魚が多いわけでもなかったので、撮影練習がメインで海から上がる。すると最終バスの時間まで15分。ヤバい。時間がない。夢中で撮影しすぎた。でも、こんな時にありがたいのが、山を走る趣味を持っていたこと。走れば間に合うと思い、峠をダッシュ。無事にバスに間に合った。

送信者 小笠原

すこしばかり濡れた体でバスに乗り、おそらく島に2軒しかないスーパーへ。明日の昼飯を買う。弁当は売り切れていた。まあ、船の上で食べるのでパンでいいやとパンを3つとスポーツドリンク1リットルとお茶1リットルを購入。さて、夕食だ。宿に帰ろう。足ヒレやシュノーケルを水で洗い、水シャワーを浴びて、少し日焼けして火照った体を冷やす。

夕食はもちろん魚が中心。あと、島で取れたタケノコの煮付けとハイビスカスのおひたし。初めてハイビスカスを食べたけれど、トロミがあって驚いた。デザートはアナナ。前にもどこかで食べた気がするけれど、こういったフルーツを食べると南国にいることを実感する。こうして徐々に徐々に旅先に馴染んでゆく。それはスコールであり、海の塩でべたつく肌であり、ハイビスカス。

送信者 小笠原

夜風が気持よかったので、大村海岸の砂浜を歩き、ウミガメが産卵していないかを見たけれどそんな気配はなかった。波の音を聞きながら砂浜で寝転がり星を眺める。ボーッとして、そよ風に意識を奪われた。いつの間にか眠っていた。起きるといくつかの星が空を流れ、時間が止まっていないことに気づく。そんな小笠原の時間を堪能して、大神神社へ。山と言うよりも丘の上にある神社なので、夜の小笠原を眺められるかと思って行ってみる。ヘッドライトを持っていたので良かったけれど、本当に真っ暗だった。町の灯りと星の明りが印象的だった。

のんびりとした小笠原の初日はこうして過ぎていった。明日は朝からまた船にのる。マッコウクジラに出会えたらいいなと願いつつ夢の中へ。

4 thoughts on “船旅は魔法にかかったように。

  1. teratownさん、こんにちは。

    ぼくは船に乗ると、よほどの大揺れでなければ、
    暑くても寒くてもビールを持ってデッキにいることが多いけど、
    2時間でも3時間でもずっと海を見ていて飽きないんだよね。
    teraちゃんじゃないけど、
    魔法にかかったようにぼーっとしている。

    それにしてもビールがオリオンって何か不思議だね。

  2. teraちゃん、こんばんは☆

    とっても素敵な所ですね~。
    海も景色もとってもキレイ!

    私も小笠原へ行きたくなりました~。

    先日私は五島列島へ行ってきました。
    フェリーで5時間くらい。船旅っていいですよね。
    ビールが妙に美味しい☆

    そうそう、沢木耕太郎さんの本、買いましたー。
    中には好きな映画もいくつかあって、面白いです。

    タイトルがタイトルなだけに、くれぐれも、どこかに忘れてこないようにしなっくちゃ(笑)

  3. momomoさん

    船旅は本当にいいですね。
    車、飛行機、電車、船の中では船が一番好きです。
    僕も何時間でも海を見ています。

    僕もなんで小笠原でオリオンが売っているのだろう?と思っていたのですが、南国つながりで観光客が求めるのですかね?

  4. ai さん

    フェリーで5時間と言うのもちょうど良い時間ですね。
    本を読むにも、景色を眺めるにも、ビールを飲むにも。

    沢木耕太郎さんの本いいですよね。
    1つのエッセイを読むと映画を見たわけではないのに、映画を1本見たような感じになります。もちろんその映画を見たわけではないけれど、沢木さんがアレンジした別の映画を見たような。

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