日別アーカイブ: 2009/10/21 水曜日

それは夏のはじめのお話し。

今日は夏の初めの話し。
7月19、20日に岐阜県の石徹白にある白山中居神社の創業祭とキハダ取りに行った。岐阜に戻るタイミングで偶然にも友達が石徹白に行くという。それも白山中居神社の創業祭とキハダ取りとセット。これは楽しそうだと思い一緒に行くことにした。

岐阜から車で石徹白へ向かい、まずは白山中居神社の創業祭。白山信仰で有名な白山中居神社のはじまりを祝うお祭りだ。石徹白に住む少女が舞姫となり、「浦安の舞い」という舞いを神前で奉納する。続いて神社の神主さんも神様にお供え物を捧げ、祝詞を読み上げる。とても厳かな雰囲気の中で創業祭は執り行われた。こういった昔から続く文化をもたずに育った身としては、全ての動作に興味があって、食い入るように見ていた。

それからキハダ取りへ。キハダって何だろう?と思っていたが、友達が「水になった村」に出てきた、皮が黄色い木のことだよと教えてくれて、ああ、あれか!と分かった。キハダの木は皮を簡単に剥くことが出来てその皮の色が鮮やかな黄色なのだ。この皮は薬として使われたり、染色の原料として使われる。山の中に入って、地元の人がチェーンソーでキハダの木を切り倒し、僕らは木の皮をむく。手で比較的簡単にズルッズルッと皮をむくことができた。キレイにむけた時は気持がよかった。その後、上村彦左エ門というお宿に。宿へ戻っておいしい食事をいただく。やはり山の幸はうまい。石徹白の静かな夜道をふらりと散歩したり、友達と語らいながら夜は更けていった。

翌朝、目を覚ますと空気の澄んだ一日が始まっていた。空気が気持よく、さらに天気もよく、なんと清々しいのだろうかと思った。何度も石徹白には行ったことがあるが、こんなにもこの集落がいいなと思ったのは初めてだった。朝、一人で道を歩いていると、なんだかそれだけで幸せになってきた。青い空、周囲の山、田畑、水路を流れる水、そして適度な空間をおいて家々が並ぶ。なんともいい所だ。今まで行った日本の田舎の中でもベストだと確信した。

それから、昔からあるお家の中を拝見させてもらう。今もその家に住んでいるおばあさんにお話を伺いながら。2階に上がると、神様の部屋が2部屋あった。先祖様の神棚がある部屋と白山の神がまつられている神棚の部屋があった。非常に興味深い文化だなと実感した。節分の儀式の時は神様の部屋から福は内をして、ふすまを閉めて行く。全ての部屋を終えると鬼は外をするらしい。こういった部屋の作りには背景があって、季節ごとの行事とも密接に関係していることに、文化の奥深さを実感した。白山信仰を広めるために日本中を回って「オシ」と呼ばれる木のハンコを押して回った話しを聞いたり、そのオシを見せていただいた。お日待ちとお月待ちの儀式についても。

おばあさんは自分はできるだけ先祖から聴いた行事を続けるけれど、息子には押し付けることはしないだろうと話した。ただ、続けてくれたらうれしいなとも付け加えていた。これが現実であり、今までずっと続いてきた文化が途切れるから何とか続けてほしいとは言えない。若者が石徹白に住みつづけて年間の行事を続けることはそう簡単なことではない。もちろん無責任に僕が何かを言えることではない。

その後、古い物資料館を見せてもらい、川で水遊びをして滝を見て帰路に。帰る途中にある阿弥陀ヶ滝へより昼食を食べて岐阜に戻った。

※実は5月に行ったトカラ列島の旅日記は書きかけで止まっている。旅をしている間もノートに日記を書いていたので、デジタルで再度書かなくてもいいかなと思っているから、筆が進まない。さらに9月に行った鹿児島の話しも何も書いていない。。。書きたいけど溜まる一方。日記を書くスピードと旅をする頻度のバランスがとれていない。今年中には書き終えよう。