日別アーカイブ: 2008/10/28 火曜日

島にしかない時間

前回の旅日記 「まるで雲が流れるように、船が動きはじめた」

座間味島について、宿に荷物を置いた。腹も減ったので、近くの食堂に行くと人であふれかえっていた。やはり、飛び石連休ともなると、ダイビングスポットである座間味島(ケラマ諸島)は人が多い。ゴーヤチャンプルーを食べ、満たされたところで、一休みして海へと向かう。古座間味ビーチへ。

青い、那覇で見る海よりも透明だ。浅いから海は鮮やかな色に見えるのだが、水に不純物が少ないことも理由のひとつだろう。海に潜って魚やサンゴを見たり、泳いだり、海にプカプカ浮いていたり、近くの浜を歩いて写真を撮った。翌日は、バナナボートで遊んだ。もちろん乗るのは初めてだ。ゆるーい遊びかと思っていたが、引っ張っている水上バイクが急にカーブしたりするので、後ろのバナナボートもその動きにつられる。ジグザグな動きで、振り落とされそうになる。それが、何とも楽しくてはしゃいだ。

夜は宿でバーベキューなんかをした。外で食うのはうまい。それから、港で寝転がって、星を眺めたり、話したり。それから、カラオケ大会になった。でかい声で沖縄民謡や沖縄のポップスを歌いまくった。ああ、なんとも気持ちよかった。

座間味でやったことと言えば、それぐらいで後はのんびりとしていた。島に来ると、ほっと落ち着く。それまでは、何かに常に追いかけられているような、何かに追いつめられているような気がしている。しかし、島に着くとそういった感情から解き放たれ、心の底からゆったりと、のんびりできる。本州の田舎でゆっくりしていても、この落ち着いた感情にはならない。(正直に言えば東京でそんなに差し迫ったものをいつも感じていないが、島に来ると肩の荷がおりた気がする。その時に、東京だと何かに追いかけられているのかなと振り返って思うのだ。)

ここまで来てしまえば、すぐには誰も追いかけて来れない。東京というビジネス社会で何かトラブルがあっても、ここは東京とは切り離された場所だから大丈夫という安心感があるのだろうか。人は(俺は?)本能的に、地理的なことを考慮に入れて、ほっとしているのだろうか。

島は、その島だけで完結している。もちろん、外部から食料など届くし、電気も水も外部から来ていたり、人も(もちろん俺も)外部から来る。しかし、一部の大きな島をのぞけば、船でしか入って来れない場合がほとんど。すると、何か悪いことをしても逃げる手段がない。(知らない人に殺される可能性が限りなく低い)だから、悪いことをしないし、みんな優しくて、お互いに助け合う。そんな関係性があるから、島というのは落ちつくことができるのだろうか。

他の理由かもしれない。自分の島しか知らない人々が持つ考え方とか価値観にホッとするのかもしれない。必要以上に知識だけあったり、生きることに必要不可欠でない経験ばかりしている人は、どこかで落としてきてしまった感覚。そんな生きることに対して純粋な感覚に触れて、ほっとしているのかもしれない。

これらの理由かもしれないし、他の理由かもしれないが、「島にしかない時間」があると思う。島特有の雰囲気とでも言った方がいいのだろうか、島でしか感じない落ち着く気持ち。そんなんを求めて、これからも島に行くのだろう。

ついでに、沖縄本島も島だが、あのサイズでは感じない。もちろん日本も島だが、「島にしかない時間」は感じない。

小さな島に行くと、感じる島特有の空気感がある。もう少し大きく捉えれば、「島にしかない時間」とは異なるが、沖縄にしかない空気感もあるだろう。日本という島国にしかない空気感もあるんだろう。それが、島国根性といわれたり、日本の常識は世界の非常識と言われるものなのだろうか。それが良いものか悪いものかはどうでもいいが、島の大小に関わらず、島には独特の時間とか空気が流れているのだけは確かな気がする。

話は戻って、最後は那覇に戻り市場に行き、2階で刺身を食べるというお決まりコースでした。(終わり)

送信者 座間味島'08

[島にしかない時間](PENTAX K10D DA16-45mm ISO: 100 露出: 1/60 sec 絞り: f/8.0 焦点距離: 16mm)