日別アーカイブ: 2008/6/18 水曜日

ニューヨークでの出来事と流れていた音楽

振り返ればムーン・パレス(ポール・オースター著)を読んでいるときにアリシア・キーズ(Alicia Keys)の曲を良く聴いていた。
彼女の歌を聴きながら、本を読んでいたという方が正しいような気もする。

ポール・オースターの作品を読むのもはじめてだったが、アリシア・キーズの歌を聴くのもはじめてだった。
ムーン・パレスは前から知っていたが、アリシア・キーズは全く知らなかった。
正確には聞いたことがあるかもしれないが、いつも歌手名もタイトルも知らずに音楽を聴く僕としては、「アリシア・キーズ」と意識して聞いたことは全くなかった。

どのようにして、彼女を知ったのかも思い出せないが、youtubeで聞いたのがはじめてだと思う。
僕は電車に乗り、アリシアキーズを聞きながらムーン・パレスを読んだ。
普段ならiPodをシャッフルにして聞いているのだが、なぜだかアリシアキーズの数曲ばかりを聞いていた。
とは言っても、アリシア・キーズについて詳しくないので彼女の曲以外にも、彼女がカバーしている曲もあるかもしれない。
「If I aint got you」「No one」「Jane Doe」「Troubles」「Unbreakable」あたりを聞いていた。

ムーン・パレスの中の出来事とアリシアキーズのリズムや歌声が同じ世界にあるような気がした。
ムーンパレスの話の中に音楽は出てこなかったが、たぶん彼女の曲が町中で流れ、主人公のフォッグやキティはこんな曲を聴いていたと思う。
ニューヨークでの出来事と流れていた音楽が当たり前の日常であるかのように思えた。
僕の中で音楽とストーリーそしてニューヨークという町が、ひとつの完結した世界になっていた。

なんで今更こんなことを書くと言えば、ふと思ったからだ。
家でiTunesをシャッフルで流していた。
すると、アリシアキーズの曲が流れ出した。
このとき、僕はその曲をアリシアだとは意識していない。

ただ、この曲を聴いてムーン・パレスを思い出した。
そして、ムーン・パレスを読んでいるときに、彼女の曲を良く聴いたなと初めて気がついたのだ。

そして、調べてみると「アリシア・キーズ」という歌手の曲だと言うことが分かった。
wikipediaを読んでみると、彼女はニューヨーク出身でコロンビア大学に通っていたという。

ムーンパレスの舞台もニューヨークであり、主人公であるフォッグもコロンビア大学出身だ。
ムーンパレスを書いたポール・オースターもコロンビア大学出身。
なんだか、そんなつながりを知り、納得がいった。
偶然の一致なのかもしれないが、同じ場所で過ごした者たちが作り出したもの。

もしかしてアリシア・キーズもムーンパレスを読んだかもしれないと想像して、自分もこのストーリーの中の一部になった気がしてうれしくなった。。