ゆりかもめに乗っていた。
夕暮れ時に、お台場の海の上をゆりかもめは自動運転でいつものように走っていた。
ふと、顔を外へ向けると橙色の太陽の光がゆりかもめを照らしていた。
東京で真ん丸の夕陽を見るのは久しぶりだなと思いながら。
しばらく、イスに座りながら頬杖をつき窓の外をぼーっと眺めていた。
普通の電車よりも遅いゆりかもめの速度も、僕の気持ちをゆっくりさせた。
突如、太陽が姿を隠した。
芝浦辺りの高層ビルに太陽が遮られたのだった。
車内の暖かみが失われ、何か冷え冷えとした空間にかわった。
僕は相変わらず、頬杖をつき高層ビルを眺めていた。
ビルの壁を見ながら、また夕陽が顔を出してくれないかなと思っていた。
そんな時、ある感情に包まれた。
太陽と僕の間に何も存在しない。
僕が大自然と太陽と、そして宇宙とつながった感覚。
太陽と僕はまるで同一であるかのような感覚。
太陽と僕の間に何もない、ただそれだけで心の奥底から喜びの感情が沸き上がってきた。
実際は太陽と僕の間の距離は永遠と思えるかのように遠い。
そんな太陽と僕の間に遮るものが何もない。
たったそれだけのことが、とても愛おしいことに感じた。